現地人が教える台湾で人気の小籠包店5選

台湾といえば、薄皮に包まれた熱々のスープが溢れ出す絶品小籠包の本場として世界中に知られています。ニューヨークタイムズが「世界10大レストラン」に選んだ名店から、台湾人が通う隠れた名店まで、台湾の小籠包文化は驚くほど奥深いものがあります。

そこで今回は、台北在住10年のリンさん(仮名)に、観光ガイドには載っていない、現地人だからこそ知る小籠包文化と本当に美味しいお店を5つ教えてもらいました。小籠包発祥の歴史から正しい食べ方まで、台湾の小籠包体験を完全ガイドします。

台湾の小籠包文化の基本と背景

――台湾の小籠包文化って、台湾人からするとどんな意味を持ってるの?簡単に説明してもらえる?

実は小籠包は台湾発祥の料理じゃないんだよ。小籠包の歴史は古くて、中国の北宋時代(1126年頃)まで遡るんだ。その後、江蘇省と浙江省あたりで現在の調理法が確立されて、1871年頃に上海で現代のスタイルが完成したと言われているんだ。

台湾で小籠包が花開いたのは1945年の太平洋戦争以降で、中国大陸から台湾へ移り住んだ外省人の人々によって持ち込まれたんだよ。特に上海系の移民が多くて、有名な「鼎泰豊」の創業者である楊秉彝氏も山西省出身、「點水樓」の創業者陳飛龍氏も上海育ちなんだ。

でも、台湾に根付いてからは独自の発展を遂げているよ。台湾の小籠包は本場上海よりもさらに薄い皮が特徴で、「世界一皮が薄い小籠包」としてギネスに申請したお店もあるほどなんだ。

台湾では小籠包は完全に庶民の味として親しまれていて、夜市や路面店、朝ごはん屋さんなど至る所で食べることができるんだ。でも面白いのは、台湾では「小籠包」と「小籠湯包」を区別していることなんだよ。

――「小籠包」と「小籠湯包」って違うの?日本人との食に対する考え方の違いは?

これは本当に重要な違いなんだ!台湾では、中にたっぷりのスープが包み込まれているものを「小籠湯包」、スープがあまり入っていない普通の小さな肉まんみたいなものを「小籠包」と呼んで区別しているんだよ。

だから台湾の一般的な店では「湯包」や「小籠湯包」という名前で注文するのが正解なんだ。「小籠包」と注文すると、皮が厚い肉まんを小さくしたような料理が出てくることがあるから注意が必要だね。

鼎泰豊のような有名店では観光客向けに「小籠包」と表記しているけど、地元の人は「湯包」って呼んでいるよ。

日本人と台湾人の食に対する考え方の違いで言うと、まず価格感覚が全然違うね。日本人にとって鼎泰豊は「ちょっと高級な小籠包店」という感覚かもしれないけど、台湾人にとっては「超高級店!」なんだ。一般的な台湾人が食べている小籠包の3倍くらいの価格だからね。

それから、食べ方に対する考え方も違うかな。日本では「小籠包の正しい食べ方」みたいなマナーを重視する人がいるけど、台湾人にとって小籠包はもともと庶民の食べ物だから、自分が一番食べやすい方法で楽しむことが一番大切だと考えているよ。

あとは、台湾人は朝食でも小籠包を食べることが多いんだ。豆漿屋さん(朝ごはん屋さん)に小籠包があることが多くて、1蒸籠80元くらいで安く食べられるからね。だから台湾人はわざわざ高級店に小籠包を食べに行くことは少ないんだよ。

現地人おすすめ!人気の小籠包店5選

1. 鼎泰豊(ディンタイフォン)- 台北本店

――まず最初におすすめの小籠包店を教えて

やっぱり最初は世界的に有名な鼎泰豊を紹介しないといけないね。1958年に油問屋として創業して、1972年に小籠包の販売を始めたんだ。1993年にニューヨークタイムズで「世界の人気レストラン10店」に選ばれて、小籠包を世界に知らしめた立役者なんだよ。

鼎泰豊の小籠包の特徴は、美しく折られた18のひだと、スープや具が透けて見えるほど薄い手作りの皮なんだ。その皮の中に込められた旨味が凝縮した肉汁は、本当に絶品だよ。

台湾人から見ると確かに高級店だけど、その価格に見合うクオリティの高さは認めざるを得ないんだ。味は台湾人も「美味しい」と言うほどの完成度だからね。

台北市内だけで8店舗もあるから、観光の合間に近くの店舗を見つけられるはずだよ。ただし、いつも20〜30分待ちは当たり前で、基本的に予約できないから、時間に余裕を持って行くことをおすすめするね。

場所: 台北市内に8店舗(信義店、復興店、101店、南西店、天母店、A4店、A13店、新生店)
営業時間: 店舗により異なる(大体11:00-21:00)
おすすめメニュー: 小籠包(10個240元)、エビチャーハン、酸辣湯

2. 點水樓(ディエンシュイロウ)- 懷寧店

――2番目のお店は?台湾人にも人気の店を教えて

點水樓は台湾版ミシュランと呼ばれる「台湾レストラン評価」で2度も5つ星を獲得している実力派なんだ。インターネットの小籠包人気投票で1位になったこともある名店だよ。

ここの魅力は、鼎泰豊のような長い行列がないから、静かに食事ができる大人向けのレストランということなんだ。店内はオールド上海を思わせる落ち着いた雰囲気で、中国から取り寄せた古典風インテリアが置かれているよ。

小籠包の餡にはワンランク上の黒毛豚が使用されていて、特に台湾バジル入り小籠包が絶品なんだ。あふれ出す肉汁と一緒に台湾バジルの香りが湯気と共にふわっと香るのが本当に素晴らしいよ。

點水樓は浙江料理のレストランだから、小籠包以外のメニューも充実しているんだ。「薺菜鍋餅」(ナズナをサンドした薄皮焼き)や「點水烤方」(黒豚の角煮)も小籠包に負けず劣らず絶品だから、グループで行って色々注文するのがおすすめだね。

場所: 台北市中正区懷寧街1号
営業時間: 月-日 11:30-14:30、17:30-21:30
おすすめメニュー: 台湾バジル小籠包、黒豚の角煮、薺菜鍋餅

3. 杭州小籠湯包(ハンゾウシャオロンタンバオ)

――3番目のお店はどこ?もう少しリーズナブルで現地の人が通うような店は?

杭州小籠湯包は美味しくてリーズナブル、お客さんが切れない人気店なんだ。小籠包8個で150元という地元の人に優しい価格で、鼎泰豊の半額以下で食べられるよ。

ここの特徴は、透明なガラス越しに師傅(職人さん)が小籠包を作っているのが見えることなんだ。台湾の屋台風情を感じるような低いテーブルもあって、台湾情緒が味わえるいい感じのお店だよ。

小籠包は皮も薄く、脂っぽくないスープとしっかり目の味の餡とのハーモニーが絶妙なんだ。胡椒が少し効かせてあるのが杭州小籠湯包の特徴で、食べると思わずビールが欲しくなるような美味しさだよ。

日本人に人気のメニューは、普通の小籠包、ヘチマの小籠包、焼き餃子、エビ餃子だね。特にヘチマ入り小籠包は、苦みは全くなくてとてもさわやかな味で、女性におすすめだよ。

食事タイムは並ぶこともあるけど、だいたい15分程度の待ちだから、のんびり待てば大丈夫だね。

場所: 台北市大安区杭州南路二段17号
営業時間: 月-日 11:30-21:30
おすすめメニュー: 小籠湯包(8個150元)、ヘチマ小籠包、焼き餃子

4. 明月湯包(ミンユエタンバオ)

――4番目のお店は?

明月湯包は台北ナビの口コミでも常に高評価を得ている、知る人ぞ知る名店なんだ。ここの小籠包の特徴は、「冷めてからも美味しい」ことなんだよ。

お持ち帰りのお客さんのために開発された、冷めても美味しい小籠包は本当に画期的なんだ。一般的な店では小籠包と餃子が同じメニューに並ぶことはまずないんだけど、明月湯包はそのどちらも楽しめるのが魅力だね。

小籠包は気持ちやや厚めの皮の中にたっぷりの肉汁が入っていて、これが「湯包」と呼ばれる理由なんだ。ちょっと大きめだけど、思いきって一口で食べると、肉汁が口の中にパーッと広がって、やわらかいお肉がほろほろとほぐれていく至福の瞬間を味わえるよ。

あとは、パリパリのハネが大きな焼き餃子も絶品なんだ。パリッとした食感としっとりした中身が一度に味わえるから、小籠包と一緒に注文することをおすすめするよ。

場所: 台北市信義区基隆路二段162-4号(本店)
営業時間: 火-日 11:00-14:00、17:00-20:30(月曜定休)
おすすめメニュー: 明月湯包(8個120元)、焼き餃子

5. 盛園絲瓜小籠湯包(シェンユエンスーグアシャオロンタンバオ)

――最後の5番目のお店は?

盛園絲瓜小籠湯包は、鼎泰豊は高くて予算的に厳しいという人に特におすすめしたい穴場店なんだ。価格は一般的なものと鼎泰豊の中間くらいで、味も鼎泰豊に負けず劣らず美味しいんだよ。

店名にもなっている「絲瓜」(ヘチマ)の小籠包が看板メニューなんだ。水分の多いヘチマを豚肉と一緒に包んで蒸すから、ヘチマから出る水分と豚肉の味が合わさって、とても濃厚で甘みのあるスープになるんだよ。

普通の小籠包よりもジューシーな味わいで、これが台湾プラス編集部のイチオシ小籠包なんだ。ヘチマと聞くと苦そうに思うかもしれないけど、実際は全然苦くなくて、とてもさわやかで優しい味なんだよ。

中正紀念堂の近くにあるから、観光の合間に立ち寄りやすいのも魅力の一つだね。地元の人にも愛されている老舗で、コストパフォーマンスは最高だと思うよ。

場所: 台北市中正区中正紀念堂近く
営業時間: 月-日 11:00-21:00
おすすめメニュー: ヘチマ小籠包、普通の小籠包

小籠包の正しい楽しみ方とマナー

――台湾で小籠包を食べる時のマナーや食べ方で、日本人が知っておくべきことは?

小籠包の食べ方には基本的な方法はあるけど、必ずその方法を守らなければいけないという厳格なマナーではないんだよ。元々庶民の食べ物だから、自分が一番食べやすい食べ方で楽しんで食べることが一番大切なんだ。

台湾人も必ずしもこの食べ方をしない人が多いから、あまり神経質にならなくて大丈夫だよ。

基本的な食べ方:

  1. 小籠包を醤油に付けてレンゲに乗せる
  2. 箸で皮を破ってスープを出し、先にスープを飲む
  3. 千切りにした生姜を乗せ、小籠包を食べる

でも、実際は皮の中のスープが熱いから、一口で食べると口内を火傷したり、中のスープをこぼして衣服を汚すこともあるんだ。だから、まずは少しかじってスープを出してから食べるのが安全だね。

基本的にはすでに味付けが完了しているから、タレは不要でそのまま食べても美味しいよ。でも、お好みで黒酢(鎮江香醋)や醤油と酢を混ぜたものを使う人も多いね。日本のように細く切った生姜(針生姜)が添えられることもあるよ。

――小籠包の種類や、台湾ならではの特徴的なメニューはある?

台湾の小籠包は本当にバリエーションが豊富なんだ!基本的な豚肉のもの以外にも、エビが入ったもの、カニみそ、ヘチマ、タロイモ、椎茸味、さらには抹茶餡を使ったスイーツ風の小籠包まであるんだよ。

特に台湾ならではのユニークなものを紹介すると:

カラフル小籠包: 白(プレーン)、緑(朝鮮ニンジン)、ベージュ(フォアグラ)、黒(トリュフ)、黄色(チーズ)、オレンジ(蟹みそ)、灰色(ニンニク)、赤(麻辣)の8色の小籠包が楽しめる店もあるんだ。

煎湯包: 最近日本でも話題になった、小籠包を焼き餃子と同じ方法で調理したものだよ。焼く際に肉汁が含まれたスープで焼くことで、小籠包の周りに薄い焦げの羽ができて、パリパリとした食感を楽しめるんだ。

スイーツ小籠包: タロイモ餡や抹茶餡を使った甘い小籠包もあるよ。デザート感覚で楽しめるから、食事の最後にもおすすめだね。

小籠包体験をより深めるためのアドバイス

――観光客が台湾で小籠包を楽しむ時に、より本格的な体験をするためのコツは?

本格的な台湾小籠包体験をしたいなら、まずは有名店だけじゃなく地元の人が通うお店も訪れることをおすすめするよ。

朝ごはん屋さん(豆漿店)で小籠包を食べてみるのも面白い体験だね。MRT雙連駅から徒歩10分くらいのところにある朝ごはん屋さんでは、皮が厚めでふかふかした小籠包が食べられるんだ。日本人がイメージしている薄皮の小籠包とは違うけど、台湾の庶民的な小籠包を体験できるよ。

あとは、小籠包を作っているところを見学できる店を選ぶのもおすすめだね。杭州小籠湯包のように、ガラス越しに職人さんの技を見られる店では、小籠包作りの奥深さを実感できるよ。

台湾の中国語で「小籠湯包」と注文できるようになると、現地の人にも喜ばれるし、より本格的な体験ができるね。「我要一籠小籠湯包」(ウォーヤオイーロンシャオロンタンバオ)=「小籠包一蒸籠ください」って言えれば完璧だよ。

――初心者におすすめの店や注文のコツは?

初心者の方には、やっぱり最初は鼎泰豊をおすすめするよ。値段は高いけど、クオリティが安定していて、サービスも良いから、「これが小籠包のスタンダード」というものを体験できるんだ。

その後で、杭州小籠湯包のような地元の人気店に行くと、価格の違いや味の違いを楽しめると思うよ。

注文のコツとしては、小籠包は1蒸籠(8個入り)単位で注文するのが基本なんだ。一人なら1蒸籠、二人なら2蒸籠が目安だね。あとは、エビチャーハンや酸辣湯なども一緒に注文すると、バランスの良い食事になるよ。

火傷に注意することが一番大切で、特に初心者の人は慌てずにゆっくり食べることをおすすめするね。熱々のスープが口の中に飛び出してくるから、最初は小さくかじって様子を見ながら食べてほしいな。

食べ比べも楽しいから、時間があるなら一日で2〜3店舗回ってみるのもおすすめだよ。それぞれの店の個性や特徴を比較できて、より深く小籠包文化を理解できるはずだ。

まとめ

台湾の小籠包文化は、中国大陸から伝わった伝統的な料理が台湾独自の発展を遂げた、まさに台湾グルメの象徴といえる存在です。薄皮技術の極限への挑戦、多様な具材へのチャレンジ、そして庶民の味としての親しみやすさが共存する、奥深い食文化なのです。

今回紹介した5つのお店は、それぞれ異なる魅力を持つ現地おすすめの名店ばかり。世界的に有名な鼎泰豊から地元の人が愛する隠れた名店まで、台湾の小籠包文化の多様性を体験できる場所です。高級店で特別な日を祝うも良し、ローカル店で庶民の味を楽しむも良し。

重要なのは、小籠包を通じて台湾の食文化に触れ、地元の人々の日常を感じることです。「小籠湯包」という現地での呼び方を覚えて使えば、現地の人との距離もぐっと縮まるはずです。

今回紹介したお店のまとめ:

  1. 鼎泰豊 – 世界的に有名な老舗の代表格
  2. 點水樓 – 台湾版ミシュラン5つ星の実力派
  3. 杭州小籠湯包 – コスパ最強の地元人気店
  4. 明月湯包 – 冷めても美味しい画期的な名店
  5. 盛園絲瓜小籠湯包 – ヘチマ小籠包の元祖

台湾の小籠包体験は、きっと忘れられない美食の思い出となるでしょう。好吃!(ハオチー!=美味しい!)

この記事を書いた世界人

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