
グローバル化が進む現代社会において、異文化理解はますます重要になっています。日本人が考える「当たり前」がアメリカでは全く違って見えるように、アメリカ人にとっての「常識」が日本では通用しないことも少なくありません。
本記事では、日本在住のアメリカ人女性・ヘイリー・プライスさん(20代)と、アメリカ在住日本人に対するインタビューを通して、両国の文化や生活習慣の違いを掘り下げていきます。留学、移住、あるいは短期旅行を考えている方々に、リアルな異文化体験をお届けします。

Haylee ★ヘイリー(アメリカ出身)
Haylee はアメリカ出身です!すごく穏やかでいて、フレンドリーでな性格で一緒にいると居心地がいいです♪動画編集、モノ作りが好きで、今も映像の勉強をしています!色々な趣味についてお話ししてみてください ^^
移住の背景 ~なぜ海を越えたのか~
―― まず、どうして日本に来ようと思ったの?
ヘイリー・プライスさん(日本在住4年目):私はアメリカ合衆国生まれアメリカ育ちで、日本に移り住んでからは4年が経ちました。20歳でアメリカを離れ、韓国で6ヶ月間勉強した後、2020年に一人で日本に来て以来ずっとここにいます。初めての一人暮らしのアパート、大学卒業、初めてのフルタイムの仕事、パンデミックの中での生活、そして大人になる方法を学びました。
アメリカを離れる前は、飛行機に乗ったことも東海岸を出たこともありませんでした。人間的に可能な限り自分の快適ゾーンから飛び出したと思います。もし20歳の自分に会えるなら、私たちは全く違う人間になっていると思います。
―― アメリカに住んでみて、どんなところが魅力的だった?
アメリカ在住日本人:アメリカでは「機会の多さと自由度」が魅力的でした。「やりたいことをやる」文化が根付いており、年齢や経歴に関わらず新しいことに挑戦できる環境があります。転職も一般的で、キャリアチェンジも珍しくありません。また、起業のサポート体制も整っており、新しいビジネスを始めるハードルが比較的低いのも特徴です。
多様性と包括性も大きな魅力でした。様々な文化背景を持つ人々が共存しているため、自分らしさを大切にする文化があります。多様な料理や音楽、アート、ライフスタイルに触れる機会が豊富で、視野を広げることができます。
イメージと現実のギャップ
―― 日本に来て、想像と違ってたことってある?
ヘイリーさん:日本の官僚主義や変化への抵抗のレベルを本当に過小評価していました。市役所や入国管理局への訪問、そして今でも広く使われている時代遅れの技術などの話は聞いていましたが、本当に準備ができていませんでした。
最初のアルバイトでは、ファックス機と物理的なタイムカードを使っていました。銀行は通帳を発行し、当時はオンラインバンキングのオプションはありませんでした。テクノロジー先進国というイメージとは大きく異なる経験でした。
―― アメリカの生活で、最初びっくりしたことは?
アメリカ在住日本人:アメリカの生活で最初に驚いたのはその規模感です。スーパーのサイズがとにかく大きく、日本のスーパーの3倍以上あるのが普通で、最初は迷子になりそうでした。ほとんどの店が年中無休で、24時間営業の店も多いんです。
バルク販売(大量販売)の文化にも驚きました。コストコのような会員制倉庫型スーパーでは、トイレットペーパーが36ロールとか、シリアルが2箱セットとか、とにかく大量パックで売られています。最初は「こんなに使い切れるの?」と思いましたが、保存がきくものは大量に買っておく方が結局お得なんです。
文化的価値観の違い
―― 日本人の考え方で、え?って思ったことある?
ヘイリーさん:ここでの人々が「規則通り」にルールに従う様子にとても驚きました。レストランでの注文をカスタマイズできないこと、特定の役割以外の問題を処理できないこと、そして意見を自由に提供しないことなどです。
アメリカでは、「お客様は常に正しい」という考え方があり、要望に応えるための柔軟性が期待されます。しかし日本では、ルールや手順が個人の要望よりも優先されることが多いと感じました。決められた枠組みの中でしか動けないという制約が、時に不便さを感じさせますが、一方で社会の秩序を保つ重要な要素でもあるのだと理解するようになりました。
―― アメリカの家族関係で、日本と違うなーって思うことは?
アメリカ在住日本人:アメリカでは家族間のコミュニケーションのオープンさに驚きました。日本だと親に対して本音を言うのをためらうこともありますが、アメリカでは子供でも親に対して自分の意見をはっきり言うのが普通です。家族会議で重要な決断をしたり、お互いの考えを尊重し合う文化があります。
子育ての考え方も日本と違いますね。子供の「自立」をとても重視します。例えば、子供に小さい頃から家事を手伝わせたり、アルバイトを経験させたりするのが一般的です。また、大学生になると親元を離れて暮らすのが当たり前で、親も子供の独立を応援する文化があります。
食文化の違い
―― アメリカの食事で、え!って思ったことある?
アメリカ在住日本人:アメリカの食事で最も驚いたのは量です!レストランの一人前が日本の倍以上あって、最初は食べきれませんでした。だから「doggy bag(持ち帰り容器)」の文化があって、食べきれなかった分は当たり前のように持ち帰ります。日本だと恥ずかしいと思うかもしれませんが、ここでは食べ物を無駄にしないという意味でも普通のことなんです。
朝食も日本とは全然違います。パンケーキやワッフル、卵とベーコン、シリアルなど、かなりしっかり食べる人が多いです。特に週末のブランチ文化は特徴的で、友人や家族と遅めの朝食を楽しむために、人気店には長い行列ができたりします。
面白いのは「meal prep(ミールプレップ)」という文化で、週末に1週間分の食事を事前に準備しておくんです。仕事が忙しい人は、プラスチック容器にランチを5個分作り置きして冷蔵庫に入れておくことも珍しくありません。効率重視の文化を感じますね。
休日の過ごし方
―― アメリカ人って休日どんな感じで過ごすの?
アメリカ在住日本人:アメリカ人は「アクティブに過ごす」のが好きです。週末は朝からハイキングやサイクリング、ジョギングなどの屋外活動を楽しむ人が多いですね。特に国立公園や自然保護区が人気で、キャンプやバーベキュー、釣りなどを家族で楽しみます。
スポーツ観戦も休日の定番です。特に秋のフットボールシーズンは、日曜日にはテレビの前で家族や友人とスナックを食べながら試合を観るのが一種の儀式になっています。地元のチームの試合があれば、スタジアムに行ってテールゲートパーティー(駐車場での試合前のバーベキューパーティー)に参加する人も多いです。
休暇の取り方も特徴的で、日本と違って夏休みが2週間〜1ヶ月あるわけではないんです。その代わり、年間を通じて小刻みに3〜4日の休暇を取って、長い週末を作るスタイルが一般的です。ただ、クリスマスシーズンは例外で、多くの人が1週間以上の休みを取って家族と過ごします。
お気に入りの場所
―― 日本でまた行きたい場所とか、あんまり行きたくない場所ってある?
ヘイリーさん:最初の6ヶ月間は京都にいました。京都は素晴らしい場所で、本当に素敵なお菓子と写真スポットがあります。歴史的な寺社と現代的な街並みが共存する空間に魅了されました。特に季節ごとに表情を変える景色は何度でも見たいと思います。
沖縄も大好きです。海が大好きで、シュノーケリングができ、人々がとても歓迎的でリラックスしていたからです。本土とは全く異なる文化や雰囲気があり、まるで別の国にいるような感覚を味わえました。
そして栃木県も再訪したいですね。地元の小さな地域の旅館で素敵な休暇を過ごしたからです。都会の喧騒から離れ、日本の伝統的なおもてなしを体験できる貴重な場所でした。
一方、東京駅周辺のどこでも避けたいですね。そこで乗り換えをしなければならないたびに大変な思いをします。複雑な構造と人の多さで、毎回ストレスを感じてしまいます。
鎌倉の海岸も特に汚染のために再訪は考えていません。期待していた美しい景色とは異なり、環境問題を目の当たりにして残念に思いました。
―― アメリカ人に人気の観光地って、外国人が知らないところもあるの?
アメリカ在住日本人:アメリカ人に人気の観光地は、実は外国人観光客があまり行かないところが多いんです。例えば、グランドキャニオンやイエローストーン国立公園は有名ですが、アメリカ人の間では「グレート・スモーキー・マウンテンズ国立公園」や「アカディア国立公園」なども人気です。特に夏休みシーズンは、キャンピングカーで国立公園を巡る「ロードトリップ」が定番です。
ビーチリゾートも人気で、フロリダのパナマシティビーチや、南カロライナのマートルビーチなどは、アメリカ人にとっての定番バカンス先です。日本人観光客が集中するハワイやロサンゼルス、ニューヨークとは違う、ローカルな魅力が詰まっています。
あとは「小さな町の魅力」を楽しむ旅行も人気です。例えば、ニューイングランド地方の秋の紅葉ツアーや、中西部の小さな町を巡る旅など、地方の文化や食を楽しむ旅行が増えています。アメリカ人自身が「本物のアメリカ」を発見するような旅を好む傾向があります。
族の絆を確認する文化は、私にとっても新しい視点を与えてくれました。
休日をアクティブに過ごし、オープンなコミュニケーションを大切にする。多様な食文化を楽しみ、自然の中で過ごす時間を作る。子供の自立を重視しながらも、家族の集まりを大切にする。そんなアメリカの生活様式には、現代を生きる私たちへのヒントが詰まっているように思えます。
まとめ ~異文化理解がもたらすもの~
海を越えて新しい生活を始めるということは、言葉の壁だけでなく、価値観や生活習慣の違いにも直面することを意味します。ヘイリーさんにとっての日本は、テクノロジー先進国というイメージとは異なる「伝統とルールが支配する国」でした。一方、アメリカに住む日本人にとっては、「効率と自由を重視する国」という側面が強く印象に残っています。
異文化での暮らしは時に戸惑いをもたらすこともありますが、新たな発見と自己成長の機会でもあります。東海岸から一度も出たことがなかった若い女性が、一人で太平洋を越え、パンデミック下の日本で大人になるという経験。あるいは、日本の「当たり前」を離れ、アメリカの多様性と自由の中で新たな価値観に触れるという経験。どちらも、自分自身を再発見する旅でもあったのでしょう。
文化の違いを理解し、尊重することは、グローバル化が進む現代社会において、ますます重要になっています。本記事が、これから留学や移住を考えている方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。
ワンコイングリッシュでは、英語だけでなく文化などについても教えてくれます。他の先生や生徒とコミュニケーションが取れるイベントも盛りだくさんで、海外の文化を知ろうとしている方におすすめの英会話学校です。体験レッスンも受付中ですので、是非活用をご検討ください。