【日本在住フィリピン人に聞いた!】知っておきたいフィリピンの文化 ~留学、長期滞在、移住、短期滞在・旅行の参考に~

フィリピンってどんな国? 日本からのイメージ
フィリピンといえば、多くの日本人は美しいビーチリゾートや英語留学先としてのイメージを持っているかもしれません。セブ島やボラカイ島の白い砂浜、透明度の高い海、そしてフレンドリーで明るい人々の印象が強いでしょう。
また、近年では介護や看護の分野で働くフィリピン人が増え、日本での身近な存在となっています。カラオケ好きで歌が上手い、家族思いで温かい、といった人柄のイメージも定着しつつあります。
しかし、実際のフィリピンは7,641もの島々からなる多様な文化を持つ国です。スペイン、アメリカ、日本など様々な国の影響を受けながらも、独自の文化を形成してきました。今回は日本在住のフィリピン人に聞いた、あまり知られていないフィリピンの文化や習慣についてご紹介します。
フィリピンで暮らす/フィリピンに行くメリットについて
フィリピンに滞在するメリットは多岐にわたります。まず、物価の安さは大きな魅力です。食事、住居、交通費など基本的な生活コストは日本の3分の1から半分程度で抑えられることが多いでしょう。
また、英語とフィリピン語(タガログ語)が公用語であるため、言語の壁が比較的低いことも大きなメリットです。英語がある程度通じるため、日常生活での困難が少なく、同時に語学力を向上させる環境としても最適です。
さらに、フィリピン人の陽気で親切な国民性に触れることで、人間関係の大切さや困難に立ち向かう強さを学ぶこともできるでしょう。物質的な豊かさより、人とのつながりや家族の絆を重視するフィリピン人の価値観は、忙しい現代社会を生きる日本人にとって新たな視点をもたらしてくれるはずです。
気候についても、年間を通じて温暖な気候を楽しめます。寒さが苦手な方にとっては、冬の厳しい寒さがないのも大きな利点といえるでしょう。
それでは、フィリピンの文化について、もっと詳しく見ていきましょう。
① 知っておきたいフィリピンの文化(歴史)
日本人が知らずにびっくりするフィリピンの歴史ってある?
フィリピンの歴史で多くの日本人が驚くのは、実はフィリピンが300年以上もスペインの植民地だったことですね。1565年から1898年までスペインの支配下にあったため、キリスト教(特にカトリック)が深く根付き、スペイン語由来の単語や習慣が多く残っています。フィリピン人の名前やファミリーネームにスペイン系のものが多いのもこのためです。
また、第二次世界大戦後、アメリカの統治下にあったことも重要です。そのため教育システムやポップカルチャーはアメリカの影響を強く受けています。フィリピンは東南アジアでありながら、西洋的な要素が強い独特の文化を持っているんです。
多くの人が知らないのは、フィリピンと日本の歴史的なつながりの深さでしょう。16世紀には既に日本人町が存在し、商人たちが盛んに交易を行っていました。また、戦前の日本統治時代(1942-1945)は短かったものの、その影響は今も残っています。例えば、「オハヨウ」「アリガトウ」といった日本語がフィリピン人の間で親しまれているのも、この歴史的背景があるからです。
日本人にびっくりされるフィリピンの習慣ってある?
日本人が最も驚く習慣の一つは「フィリピンタイム」でしょうね。約束の時間に30分から1時間遅れることが珍しくなく、これは無礼とは捉えられていません。「マニャーナ習慣」(明日でいいや、という意味)とも呼ばれ、時間に対するゆったりとした感覚があります。
また、「バヤニハン」という相互扶助の文化も特徴的です。これは昔、竹で作った家を移動させる際に村人全員で家を担いで運んだことに由来します。今でも困っている人がいれば、親族以外でも進んで助け合う精神が根付いています。
「パギギング」という指差しではなく唇で方向を示す習慣も、日本人には新鮮に映るでしょう。話しながら唇を尖らせて方向を示すこの習慣は、手が塞がっている時や礼儀正しく指差しを避けたい時に便利です。
シャワーの習慣も違います。フィリピンでは「タボ」と呼ばれる小さなバケツを使って水を汲み、体にかける入浴方法が一般的です。水不足や水圧の問題から発展した方法ですが、今でも多くの家庭で続けられています。
② 知っておきたいフィリピンの文化(コミュニケーション)
フィリピン人は会話の中でどんなことを大切にする?
フィリピン人のコミュニケーションで最も大切にされているのは「敬意」と「調和」です。これは「パキキサマ」という概念で、相手との良好な関係を維持することを重視します。そのため、直接的な拒否や批判を避け、婉曲的な表現を用いることが多いです。例えば「考えておきます」と言われたら、実質的には「ノー」を意味することがよくあります。
また、会話の始まりには必ず気さくな挨拶や雑談(スモールトーク)があります。いきなり本題に入るのは無礼とされ、まずは「ご家族はお元気ですか?」「食事はしましたか?」といった個人的な質問から始めるのが普通です。この「クムスタ・カ・ナ?」(調子はどう?)という質問は、単なる挨拶以上の意味を持ちます。
ユーモアも重要な要素です。フィリピン人は困難な状況でも冗談を言い合い、笑いを絶やさない傾向があります。これは「バハラ・ナ」(なるようになる)という楽観的な人生観の表れでもあります。
対面コミュニケーションでは、アイコンタクトを避け、目上の人には視線を下げることが敬意の表れとされることもあります。また、話す距離も日本より近い傾向にあり、友人同士では肩を触れ合うほど近くで会話することも珍しくありません。
日本人とフィリピン人のコミュニケーションの違いは?
日本人とフィリピン人のコミュニケーションスタイルには興味深い違いがいくつかあります。まず、表現の直接性が異なります。日本人はしばしば遠回しに意見を伝えますが、フィリピン人はより明確に感情を表現する傾向があります。ただし、否定的な意見を述べる際は両文化とも間接的なアプローチを好みます。
また、フィリピン人はより声が大きく、表情豊かに会話する傾向があります。日本の「静かに話す」文化と比べると、最初は驚かれる方も多いでしょう。これは感情表現の自由さを重視するフィリピン文化の表れです。
さらに、フィリピン人は会話中に頻繁に相手の名前を呼びます。「これどう思う、マリ?」「そうだね、タカシ」というように名前を入れることで、親しみを表現します。日本では名前を繰り返し呼ぶことは少ないので、この違いに気付く日本人も多いです。
非言語コミュニケーションも異なります。フィリピン人は会話中に相手に触れることが多く、肩を叩いたり、腕に触れたりします。これは親しみの表現ですが、接触の少ない日本の文化からすると戸惑うこともあるでしょう。
最後に、フィリピン人は「イエス」と「ノー」の使い方が特徴的です。不快な状況を避けるため、実際は断りたい時でも「はい」と言うことがあります。これは「ヒヤ」と呼ばれる遠慮や恥の概念によるもので、相手の面子を潰さないための配慮なのです。
③ 知っておきたいフィリピンの文化(プレゼント)
フィリピンでは、友人・家族にどんなプレゼントをあげる?
フィリピンでのプレゼント文化は、実用性と思いやりのバランスが特徴的です。まず、家族や親しい友人には食べ物のギフトが一般的です。特に「パサルボン」と呼ばれる旅行先からの食べ物のお土産は重要な習慣で、職場の同僚や親戚に配ることが期待されています。地元の特産品や珍しいスナック、お菓子などが人気です。
若い世代へのプレゼントとしては、最新のガジェットや携帯電話アクセサリーなどの電子機器が喜ばれます。フィリピンはSNS利用率が世界でもトップクラスなので、写真映えするアイテムやオンラインでのプレゼンテーションに使えるものが特に人気です。
年配の方へは、健康食品やビタミン剤、マッサージ器具など健康に関連するギフトが適しています。特に親や祖父母世代への贈り物は、彼らの健康を気遣う気持ちが込められたものが喜ばれます。
また、「パスコ」(クリスマス)や「フィエスタ」(町の祭り)などの特別な機会には、新しい服や靴などの衣類も定番のプレゼントです。特に子供たちには、新しい服を着せてお祝いの席に参加させることを重視します。
日本人がフィリピン人の友人にプレゼントを贈る場合は、日本らしいお菓子や小物が喜ばれます。特に家族で分け合えるようなお菓子の詰め合わせは、家族を大切にするフィリピン文化にマッチするギフトです。
フィリピンの記念日に食べる特別な食事ってある?
フィリピンには様々な記念日や祝日があり、それぞれに特別な料理があります。まず、クリスマスはフィリピンで最も重要な祝日の一つで、「ノチェブエナ」と呼ばれるクリスマスイブの食事には特別なメニューが並びます。「レチョン」(豚の丸焼き)、「キェソ・デ・ボラ」(赤いワックスで覆われたチーズ)、「ハム」、そして「ビビンカ」や「プト・ブンボン」といった伝統的な米菓子が定番です。
新年(バゴン・タオン)には、丸い形の果物が豊富に並びます。これは一年の繁栄と円満を象徴しています。また、12種類の丸い果物を用意する習慣もあり、これは12ヶ月の幸福を願うものです。「メディアノチェ」(真夜中の食事)では、麺類(パンシット)を食べることが多く、これは長寿を象徴しています。
誕生日(カアラワン・ン・カパンガナカン)には「パンシット」(フィリピン風焼きそば)が欠かせません。長い麺は長寿のシンボルとされ、お祝いの席には必ず登場します。また、子供の誕生日では「スパゲッティ」も人気ですが、フィリピン風スパゲッティは甘いソースとホットドッグが入った独特の味わいです。
フィエスタ(町の守護聖人を祝う祭り)では、家々で祝宴が開かれ、訪問者をもてなします。この日には「アドボ」(肉や魚を酢とニンニクで煮込んだ料理)、「メヌード」(豚肉と野菜のスープ)、「カレカレ」(牛のすね肉をピーナッツソースで煮込んだ料理)などの伝統的なフィリピン料理が用意されます。
また、「ウンダス」(万霊節・11月1日)には、墓地で故人を偲ぶ集まりが行われ、家族揃って食事をします。この日には特に「ビビンカ」「プト・ブンボン」といった伝統的なお菓子が用意されることが多いです。
④ 知っておきたいフィリピンの文化(食文化)
フィリピンで、お袋の味と言えば?
フィリピンの「お袋の味」として真っ先に思い浮かぶのは「シニガン」です。タマリンドを使った酸味のあるスープで、魚や豚肉、さまざまな野菜が入っています。各家庭によって酸味の強さや具材の組み合わせが異なり、まさに「母の味」として親しまれています。風邪を引いた時などに母親が作ってくれた思い出がある人も多いですね。
また、「アドボ」も定番の家庭料理です。肉や魚を酢、醤油、ニンニクで煮込んだ料理で、冷蔵庫のない時代に保存食として発展しました。シンプルな調味料ながらも深い味わいがあり、各家庭独自のレシピがあります。「母のアドボは特別」と言うフィリピン人は本当に多いですね。
「カレカレ」も伝統的な家庭料理で、牛や豚のスネ肉をピーナッツソースで煮込んだ料理です。長時間煮込むため手間がかかりますが、その分愛情が感じられる一品です。祖母から母へ、母から娘へと受け継がれるレシピも多く、家族の歴史が詰まった料理とも言えます。
「パンシット」(フィリピン風焼きそば)も家庭料理の定番で、誕生日や特別な日に必ず作られます。使う麺や具材は家庭によって様々で、母親独自の「パンシット・レシピ」を誇りに思うフィリピン人も多いです。
これらの料理は、単なる食べ物以上の意味を持ちます。家族の集まりや特別な日に作られることが多く、母親や祖母の愛情を感じる大切な文化的シンボルとなっています。
日本人にびっくりされるフィリピン料理ってある?
フィリピン料理で多くの日本人を驚かせるのは、まず「バロット」でしょうね。これは発育途中のアヒルの卵を茹でたもので、ヒヨコの形が既に見えるほど成長した状態で食べます。見た目のインパクトは強いですが、フィリピンでは栄養価が高いスナックとして親しまれています。特に男性の間では強壮効果があると信じられていますよ。
また、「ディナグアン」(豚の血のシチュー)も初めて見る方には驚きかもしれません。豚の血とさまざまな内臓を酢とスパイスで煮込んだ料理で、見た目は少し怖いかもしれませんが、実は酸味と深いコクがあり、一度食べると病みつきになる人も多いです。
「カマヤン」という素手で食べる習慣も日本人には新鮮かもしれません。特にレチョン(豚の丸焼き)などの料理は、バナナの葉の上に盛り付けられ、手で直接食べるのが伝統的です。実は手で食べることで料理の温度や食感をより楽しめるんですよ。
味の面では、甘さと酸っぱさ、そして塩気が同時に楽しめるフィリピン料理の特徴に驚く方も多いです。例えば「スィニガンサ・ミソ」は味噌が入った酸っぱいスープで、一見相反する味が調和した独特の料理です。また、スパゲッティも甘いソースで調理されるなど、日本人の予想を裏切る味付けが多いのも特徴です。
そして「ハロハロ」というデザートも面白いですよ。かき氷の上に豆、ゼリー、フルーツ、アイスクリーム、フラン、紫色のウベ(紫芋)などが一緒に盛り付けられた、文字通り「ごちゃ混ぜ」のデザートです。一見合わないように思える食材の組み合わせですが、実は絶妙なバランスで美味しいんです。
⑤ 知っておきたいフィリピンの文化(その他)
フィリピンで人気のスポーツや娯楽って何?
フィリピンで圧倒的に人気があるスポーツはバスケットボールです。街のあちこちにコートがあり、子供から大人まで熱心にプレイしています。フィリピンバスケットボール協会(PBA)のリーグは国民的な人気を誇り、試合がある日はバーやレストランのテレビの前に人々が集まります。また、NBA(アメリカのプロバスケットボールリーグ)も非常に人気で、スタープレイヤーの動向は常に話題になります。
ボクシングも大変人気のあるスポーツで、特にマニー・パッキャオは国民的英雄となっています。彼の試合がある日は、一時的に犯罪率が下がるとさえ言われているほど、国民が一体となって応援します。最近では総合格闘技(MMA)の人気も高まっています。
娯楽としては、カラオケが国民的な趣味と言えるでしょう。フィリピン人の歌好きは有名で、どんな小さな町にもカラオケバーがあります。家庭にカラオケマシンを持っている家も多く、パーティーの定番アクティビティとなっています。
また、「サボン」と呼ばれる闘鶏も伝統的な娯楽として今でも人気があります。週末には闘鶏場に多くの観客が集まり、賭けをしながら観戦します。これは特に地方部で人気があり、男性の社交の場として機能しています。
近年ではソーシャルメディアの利用も爆発的に増えており、TikTokやFacebookでの動画制作が新たな娯楽となっています。フィリピンは「世界でソーシャルメディアの利用時間が最も長い国」としても知られており、オンラインでのコミュニケーションが重要な娯楽となっています。
フィリピン人に人気の観光地はどこ?
フィリピン人に人気の国内観光地で、外国人観光客があまり訪れないところとしてまず挙げられるのは「バタネス」です。台湾との間に位置する最北端の島々で、独特の石造りの家屋や牧歌的な風景が魅力です。強風に耐えるため厚い石壁で建てられた家々は「イヴァタン様式」と呼ばれ、フィリピン国内でも独特の建築文化として注目されています。ここでは、羊と緑の草原が広がる風景を見たり、地元の料理「ウヴド」(フライドフィッシュボール)を味わったりできます。
「アンティケ州」も地元民に人気のスポットです。特に「マラライソン島」は「小さなボラカイ」とも呼ばれる美しい島で、まだ商業的な開発が進んでいないため、静かで自然豊かな環境を楽しめます。「カウユ・カヨ・フェスティバル」という地元のお祭りでは、島の歴史や文化を表現した色鮮やかなパレードが行われます。
「ソルソゴン州」にある「ドンソル」も地元民のお気に入りスポットです。ここではジンベイザメとのスイミングが体験でき、比較的リーズナブルな価格で世界的にも貴重な体験ができます。地元フィリピン人家族の週末旅行先として人気があります。
また、「ビコル地方」の「カラマネス諸島」も穴場スポットです。透明度の高い海と手つかずの自然が魅力で、特にコロン島周辺の沈没船ダイビングは地元のダイバーに人気があります。第二次世界大戦中の日本船が沈んでおり、歴史的にも興味深いダイビングスポットとなっています。
これらの場所は、外国人観光客向けのパッケージツアーにはあまり含まれていないため、現地の人々と触れ合いながら、より本物のフィリピンを体験できるスポットと言えるでしょう。地元の食べ物や文化に触れられる機会も多く、冒険好きな旅行者には特におすすめです。
まとめ
フィリピンの文化は、長い歴史の中でスペイン、アメリカ、日本など様々な国の影響を受けながらも、独自の魅力を育んできました。特に家族や地域社会の絆を大切にする価値観、困難な状況でも前向きさを失わない「バハラ・ナ」の精神、そして人とのつながりを重視する「バヤニハン」文化は、現代の日本人が見直すべき価値観かもしれません。
フィリピン人のコミュニケーションスタイルは、表情豊かで感情表現が自由であると同時に、相手との調和を大切にする繊細さも持ち合わせています。また、食文化においても、シンプルながらも家族の絆を深める「お袋の味」が大切に受け継がれています。
フィリピンへの訪問や滞在を考えている方は、ぜひ現地の人々との交流を大切にしてください。彼らの温かい心に触れることで、ビーチリゾートや観光名所だけでは味わえない本当のフィリピンの魅力を発見できるはずです。
特に、地元の人々が行くようなレストランや市場、お祭りに参加することで、ガイドブックには載っていない貴重な文化体験ができるでしょう。言葉の壁を恐れず、笑顔で接することが、フィリピン文化を理解する第一歩となります。
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