ヌートバーって誰? WBC日本代表に選ばれたアメリカ人メジャーリーガーの評判と海外の反応

最近、海外の文化に触れていますか? 『ワンコスモポリタン』では、「世界を楽しめばあなたの人生がもっと輝く」をコンセプトに、世界の文化に触れるためのコンテンツを多数お届けしています。

今回ピックアップするのは、ヌートバー選手。野球の世界一を決める大会「WBC」がかなり盛り上がりましたが、日本代表の中になぜか外国人が入っていました。 アメリカ人として初めて日本代表に選ばれた「ヌートバー」っていったい何者でしょう?? 

プロフィール

Kai カイ(アメリカ出身)

ニューヨーク出身でバスケ好き。高校時代に日本語を学び、日本に興味を持つように。それもあり、現在では日本語を含めた3か国語を喋れるトリリンガル。違う文化や言葉を学ぶことが大好きで、フレンドリーに接してくれる、ワンコイングリッシュ吉祥寺校の人気講師です。

そもそもWBCってどんな大会?

WBCは、World Baseball Classic(ワールド・ベースボール・クラシック)の略称で、各国代表チームが競い合う最高峰の国際野球大会です。

2006年に初めて開催され、その後は原則として4年に1度の頻度で行われています。(ただし、コロナ禍の影響でズレが生じ、次回は2026年の開催予定。)

野球ファンにとっては注目の大会で、各国を代表するチームが熱戦を展開。これまでに5回開催され、回を追うごとにヒートアップしていますが、日本代表は3度も優勝しています。

アメリカ人を選出できる日本代表の出場資格、基準は?

WBCで各国の代表選手に選ばれるためには、以下の基準のどれかを満たしている必要があります。

  1. 当該国の国籍を持っている
  2. 当該国の永住資格を持っている
  3. 当該国で出生している
  4. 親のどちらかが当該国の国籍を持っている
  5. 親のどちらかが当該国で出生している
  6. 当該国の国籍またはパスポートの取得資格がある
  7. 過去のWBCで当該国の最終ロースターに登録されたことがある

実は他の国では、外国人を代表に選出している例は珍しくありません。日本戦を観戦した人なら気づいたかもしれませんが、イタリア代表の主力はイタリア系のアメリカ人ばかりでした。また、韓国代表には韓国系のアメリカ人、中国代表には日本人の真砂勇介外野手も選ばれています。

日本代表に選ばればヌートバー選手はアメリカ人ですが、お母さまが日本人で上記の「5」に該当。日本のパスポートを持っているという話もあり、「4」にも該当しるようです。いずれにしても、出場資格を満たしています。

しかし日本には、大谷翔平選手やダルビッシュ有投手に限らず、MLB(メジャーリーグ)で活躍している選手や、活躍した経験のある選手がたくさんいます。

さらに、村上宗隆選手を筆頭にNPB(日本のプロ野球)で大活躍している優秀な選手も豊富です。

しかも、侍ジャパンはこれまで外国籍の選手を代表に迎えたことがありません。そんな中、日本でプレーしたことのないヌートバー選手が選出された理由は何なのでしょうか?

「ヌートバー」が日本代表に選ばれた理由

ヌートバー選手が日本代表に選出された理由はいくつかありますが、まずは何よりも優秀な選手であることが挙げられます。

MLB屈指の選球眼があると評判で、2022年シーズンの出塁率は.340。打率こそ.228と高くはありませんが、出塁する可能性が高い選手なのです。

また、本塁打14本、打点40もなかなかの好成績。さらに、平均打球速度はトップレベルで、MLB全体の上位10%に入っています。

また、メジャーリーガーとしてカージナルスで活躍しているヌートバー選手は、MLB投手との対戦経験が豊富です。データは入手しやすくなっていますが、実戦経験は侍ジャパンにとって貴重な要素。日本のプロ野球で活躍している選手に不足しているポイントです。

さらに、ムードメーカーとしても役割も期待されていました。テレビを通じても伝わる明るいキャラクターは、チームの盛り上げ役にぴったり。実際、ヌートバー選手が出塁したりダイビングキャッチしたりする度、ベンチだけでなくスタジアム全体が大いに沸きました。

なぜ「ヌートバー」は日本代表を選んだのか

日本でのプレー経験がないヌートバー選手ですが、日本代表に対する想いが強いことで知られています。

日本人であるヌートバー選手のお母さんも野球好きということで、日本のプロ野球や甲子園の話を幼い頃から聞いてきたのです。

そして、大きなきっかけとなったのが2006年。ヌートバー選手が9歳の頃です。

高校野球の日本代表がアメリカに遠征した際、ヌートバー選手と家族がホストファミリーに。田中将大投手をはじめ、日本を代表する高校球児たちと交流する機会に恵まれたのです。

それがきっかけで、日本代表を夢見るようになったのだとか。ヌートバー選手は、今回のWBCで長年の夢を叶えたとも言えます。

日本代表は「たっちゃんTシャツ」を着て歓迎ムード

日本代表としてプレーすることを決めたヌートバー選手に対し、チームメンバーは「たっちゃん」と書かれたオリジナルTシャツを着用することで、歓迎していることをわかりやすく伝えました。

ヌートバー選手の本名は、ラーズ・テイラー=タツジ・ヌートバー。ミドルネームが「タツジ」なので「たっちゃん」というわけです。

ちなみに、日本名は榎田達治(えのきだ たつじ)。祖父の名前から取ったというか、祖父と同じ名前を受け継いでいます。

普段は明るいヌートバー選手ですが、日本語を話せないという言葉の壁もあって当初は少しナーバスになっていたのだとか。「たっちゃんTシャツ」での歓迎はそんな彼の緊張を和らげ、チームに馴染むきっかけとなりました。

パフォーマンスの影響でペッパーミルも爆売れ

ヌートバー選手と言えば、「ペッパーミルパフォーマンス」も一躍有名に。得点やチャンスのタイミングで、両拳をグリグリ回すポーズです。チーム内はもちろん、ファンの間にも一気に広がりました。

「ペッパーミルパフォーマンス」はMLBのカージナルスでも行っているのですが、チームを鼓舞する意味合いがあります。

「ペッパーミル(胡椒挽き)」は海外では「pepper grinder (ペッパーグラインダー)」と呼ぶのが一般的。その「grind」という単語には「歯ぎしりをする、臼でひく、細かく砕く」といった意味があります。

そこから転じて「身を粉にして働く、一生懸命に働く」というスラング的な意味合いもあるのです。つまり「ペッパーミルパフォーマンス」には、「チームのためにコツコツ粘り強くプレーしよう」という想いが込められています。 

実は「ペッパーミルパフォーマンス」が流行した影響で、実物のペッパーミルも爆売れしました。

ペッパーミルを世界で最初に作ったのは自動車で知られるフランスのメーカー「プジョー」だと言われていますが、その商品が通常の3~4倍もの勢いで売れたそうです。

侍ジャパンやヌートバー選手の人気の高さがうかがい知れます。

アメリカ人に聞いた!「ヌートバー」ってどんな選手?

ヌートバー選手のことがいろいろとわかったところで、日本在住のアメリカ人講師Kaiにインタビュー!  アメリカでのヌートバー選手の評判、WBCでの活躍に対するリアルな反応などを聞いていきます。

――ヌートバー選手はアメリカではどのような選手という評判でしょうか?

実をいうと、WBCの前までヌートバー選手のことを知りませんでした。

僕がバスケットボール好きだということもありますが、誰もが知っているすごく有名なメジャーリーガーというわけではないと思いますよ。

私がヌートバー選手のことを覚えているのは、彼がアメリカ人と日本人のダブル(ハーフ)というのが印象に残っているからです。

「ヌートバー」を日本代表に取られて悔しい?

ーーヌートバー選手は日本代表を選びましたが、それに対してアメリカではどのような反応がありましたか?

アメリカでは、彼が日本代表を選んだことに対して誰も問題にしていなかったと思いますよ。

というのも、彼は昨年ルーキーで、これからの活躍が期待される選手です。それに、彼は日本とのダブル(ハーフ)なので、日本チームに参加することは不自然なことではありません。

優勝した日本代表に対する評価は?

――アメリカ代表はとても豪華な顔ぶれでした。そんな中で日本が優勝したことにみんな驚いていましたか?

いや、驚きませんでした。日本は本当に野球がうまいってみんな知っていますから。むしろ、いい試合だったし「おめでとう! また次回お会いしましょう!!」という感じです。

大谷翔平選手もいますし、勝っても不思議ではないですよね。僕は普段はバスケ派だけど、彼のおかげで野球のハイライトを見るようになったんです。

 ――アメリカでも「日本チームは強い」と思われていたんですね。

それは間違いないんですが、アメリカも万全のチームではなかったという事実は付け加えたいと思います。

MLBの各チームでは、選手がWBCで怪我をするのを避けるために制限を設けていました。一定の時間しかプレーできないとか、そもそもピッチャーの出場は認めないとか。

アメリカ代表はいいラインナップではありましたが、パーフェクトな状態ではなかったと思います。

アメリカ人はWBCをどう捉えている?

ーーアメリカ人にとって、WBCはどういった存在なのでしょうか?

これについては、2つのグループに分かれると思います。

1つは、WBCを気軽なエキシビションマッチのようなものだと考えているグループ。なぜなら、多くのチームが選手を制限し「あまり真剣にプレイするな」とも言っているからです。

もう1つは対局で、最高の選手でWBCのアメリカ代表チームを作るべきと考えているグループです。WBCは多くの人の興味を引くものだし、参加した選手たちも「国を代表する選手になろう」という意欲を持ってプレーしています。だからこそ全力を出して欲しいと考えている人たちもいるのです。

引き続き日本からヌートバーを応援しよう!!

今大会でアメリカでのWBCの評価が上がったという話も聞きますが、次回以降にパーフェクトなアメリカ代表vs全力の日本代表の戦いが見れるかどうかは、WBCに参加したメジャーリーガーの活躍に掛かっているのではないでしょうか。

参加選手がWBCでの経験によって成長し、メジャーリーグで大活躍をしたら、WBCに参加することに意味があると思われるはずです。

当然、ヌートバー選手もカギを握っている選手のひとり。WBCは終わってしまいましたが、引き続きヌートバー選手の活躍を願い、応援を続けてみませんか?

ヌートバー選手が活躍することで、日本に興味を持つアメリカ人が増えるかもしれませんし、メジャーリーグに興味を持つ日本人も増えるかもしれません。

大谷翔平選手が日本とアメリカの架け橋になっているように、ヌートバー選手も違う意味での架け橋となりえる存在です。そんな意味でも、ヌートバー選手の応援を続けていきましょう!

【まとめ】英語を活用して世界を広げませんか?

WBCの日本代表、侍ジャパンとして活躍したヌートバー選手について、少しは理解が深まったでしょうか?

この記事を読んでヌートバー選手やメジャーリーグ、大谷翔平選手などのアメリカで戦っている日本人に興味を持った方は、ぜひ自身で調べたり観戦したりしてみてください。その際は「英語」が世界を知る手助けになるはずです。

英会話スクール「ワンコイングリッシュ」では、日本在住の外国人が英語だけでなく文化などについても教えてくれます。他の先生や生徒とコミュニケーションが取れるイベントも盛りだくさんで、外国人の友人を作りたい方におすすめの英会話学校です。

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この記事を書いた世界人

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