現地人が教えるニューヨークで人気のピザ店5選

ニューヨークといえば、世界で最も愛される「ニューヨークスタイルピザ」の本場として知られています。薄くて大きな生地、とろけるモッツァレラチーズ、そして手で折って食べるスタイルは、もはやニューヨークの文化そのものです。街角の小さなピザ屋から老舗の名店まで、8,000軒以上のピザ店がひしめくこの街では、「ドル・スライス」(1ドルピザ)から高級ピザまで、あらゆる選択肢が揃っています。

そこで今回は、ブルックリン在住12年のマイクさん(仮名、ニューヨーク出身)に、観光ガイドには載っていない、現地人だからこそ知るニューヨークのピザ文化と本当に美味しいピザ店を5つ教えてもらいました。ニューヨークピザの歴史から正しい食べ方まで、ニューヨークのピザ体験を完全ガイドします。

ニューヨークのピザ文化の基本と背景

――ニューヨークのピザ文化って、ニューヨーカーからするとどんな意味を持ってるの?簡単に説明してもらえる?

ニューヨークのピザ文化は、19世紀後期から20世紀初頭にかけてイタリア系移民によって持ち込まれたんだ。特に1905年にジェナーロ・ロンバルディがマンハッタンのリトル・イタリーに開いた「ロンバルディーズ」が、アメリカ初のピザ屋として有名だよ。

でも、イタリアのピザとニューヨークピザは全然違うものに進化したんだ。ニューヨークの水質(軟水)が生地に独特の食感を与えて、大きな石炭オーブンで焼くことで、薄くてパリッとした、でも適度に柔らかい生地が生まれたんだよ。

ニューヨーカーにとってピザは、ただの食べ物じゃなくて「ライフスタイル」なんだ。朝食代わりに冷めたピザを食べたり、夜遅くに酔っぱらって角の店でスライスを買ったり、デートで高級ピザ店に行ったり。あらゆる場面でピザが登場するんだよ。

「ザ・フォールド」(The Fold)っていう、ピザを縦に半分に折って食べる方法も、ニューヨーク文化の象徴だね。これは大きなスライスを片手で食べやすくするための知恵で、慌ただしいニューヨークの生活スタイルを表しているんだ。

――ニューヨークピザの特徴や、他の地域のピザとの違いは?

ニューヨークピザには明確な特徴があるんだ。まず生地が薄くて大きい。直径18インチ(約45cm)のピザを8等分にカットして、1スライスずつ売るのが基本スタイルなんだよ。

生地はパリッとしているけど、適度な柔軟性があって、先端が少しお辞儀するくらいが理想的なんだ。これを「ザ・フロップ」って呼んでいるよ。チーズは低水分のモッツァレラを使って、ソースはトマトベースのシンプルなもの。派手なトッピングよりも、シンプルな材料の質とバランスを重視するんだ。

シカゴの「ディープディッシュ」とは正反対で、ニューヨーカーはシカゴピザを「キャセロール」(煮込み料理)って呼んでからかうこともあるんだ(笑)。カリフォルニア・スタイルのような創作系ピザに対しても、「それはピザじゃない」って頑固な態度を取ることが多いね。

価格帯も幅広くて、街角の「ドル・スライス」から、1枚50ドル以上の高級ピザまである。でも、多くのニューヨーカーは2.50〜4ドルくらいのスライスを日常的に食べているよ。

ニューヨークの水が生地に与える影響は本当に大きくて、他の都市でニューヨークピザを再現しようとしても、同じ味にならないんだ。これがニューヨークピザの独自性を保っている理由の一つだね。

現地人おすすめ!人気のピザ店5選

1. Joe’s Pizza(ジョーズ・ピザ)- マンハッタン

――まず最初におすすめのピザ店を教えて

Joe’s Pizzaは、ニューヨークの「クラシック・スライス」の代表格なんだ。1975年にジョー・パルマによって設立されて、シンプルで美味しいピザを50年近く提供し続けている老舗だよ。

Joe’sの魅力は、まさに「これぞニューヨークピザ」という王道の味なんだ。薄くてパリッとした生地、適度に油っぽいチーズ、甘すぎないトマトソースの絶妙なバランスが、多くのニューヨーカーの「ピザの基準」になっているんだよ。

特に彼らのプレーンスライス(チーズピザ)は、余計なものを一切加えない潔さが素晴らしいんだ。生地の端は少し焦げていて、チーズは完璧に溶けていて、一口食べるとニューヨークの街の匂いまで感じられるような、まさに「ニューヨークの味」なんだ。

マンハッタンに複数店舗があって、特にグリニッジビレッジの本店は観光客にも人気だけど、地元の人たちも変わらず通っているから、本物の証拠だね。1スライス3ドル前後で、コスパも抜群だよ。

場所: マンハッタン内複数店舗(グリニッジビレッジ、タイムズスクエア等)
営業時間: 店舗により異なる(多くが11:00-深夜2:00頃)
おすすめメニュー: プレーンスライス($3.00)、ペパロニスライス、シシリアンスライス

2. Prince Street Pizza(プリンス・ストリート・ピザ)- ノリータ

――2番目のお店は?最近話題のピザ店を教えて

Prince Street Pizzaは、2012年にオープンした比較的新しい店だけど、もうすでにニューヨークピザの新たなスタンダードになっているんだ。特にペパロニピザが絶品で、インスタグラムでも大人気なんだよ。

ここの特徴は、ペパロニの乗せ方なんだ。通常のピザ店よりもたっぷりとペパロニを乗せて、焼くとペパロニがカップ状にカールして、その中に油がたまるんだ。これが「カップ・アンド・チャー」スタイルって呼ばれていて、見た目も味も最高なんだよ。

チーズも他の店より多めに使っていて、生地との絶妙なバランスが取れているんだ。一口食べると、ペパロニの油とチーズが一緒に口の中に広がって、これぞアメリカンピザという感じの贅沢な味わいなんだ。

週末は特に行列ができるけど、回転が早いから15分程度で順番が来るよ。ノリータ(ノース・オブ・リトル・イタリー)にあるから、ショッピングの合間に立ち寄るのもおすすめだね。

場所: マンハッタン・ノリータ地区 Prince Street
営業時間: 月-木 11:00-23:00、金土 11:00-24:00、日 11:00-22:00
おすすめメニュー: ペパロニスライス($4.50)、プレーンスライス、シシリアンペパロニ

3. L’industrie Pizzeria(ランダストリー・ピッツェリア)- ブルックリン

――3番目のお店はどこ?もう少しアップスケールなピザ店は?

L’industrie Pizzeriaは、ブルックリンのウィリアムズバーグにある、ちょっと高級志向のピザ店なんだ。2017年にオープンして以来、ピザ愛好家たちの間で「次世代ニューヨークピザ」として注目されているんだよ。

ここの最大の特徴は、「ザ・スクエア」っていう正方形のピザなんだ。通常の丸いピザとは違って、厚めの生地に濃厚なソース、そして大量のチーズとペパロニが乗っているんだ。見た目のインパクトもすごくて、インスタグラム映えもバッチリだよ。

味も従来のニューヨークピザとは一線を画していて、よりリッチで濃厚なんだ。チーズはブレンドされた高品質なもので、ソースはハーブが効いていて複雑な味わい。生地ももちもちしていて、満足感が全然違うんだ。

価格は1スライス6〜8ドルと少し高めだけど、その価値は十分にあるよ。特にデートや特別な日には、ここのピザを食べながらニューヨークの夜景を楽しむのがおすすめだね。

場所: ブルックリン・ウィリアムズバーグ
営業時間: 火-日 17:00-23:00(月曜定休)
おすすめメニュー: ザ・スクエア(ペパロニ)、バーラタピザ、トリュフピザ

4. Di Fara(ディ・ファーラ)- ブルックリン

――4番目のお店は?

Di Faraは、ニューヨークピザ界の「生きる伝説」ドム・デマルコが営む老舗なんだ。1965年からブルックリンで営業していて、ドム自身が一枚一枚手作りで作るピザは、まさに芸術品なんだよ。

Di Faraの特徴は、ドムのこだわりがすべて詰まっていることなんだ。彼は注文が入ってから生地を伸ばし始めて、ソースを手で塗り、チーズを丁寧に散らして、最後にバジルの葉を一枚一枚ハサミで切って乗せるんだ。この一連の作業を見ているだけでも価値があるよ。

味は「オールド・スクール・ニューヨークピザ」そのもので、生地は薄めだけど適度に厚みがあって、チーズは高品質なモッツァレラとパルメザンのブレンド。ソースは甘すぎず、バジルの香りが全体を引き立てているんだ。

ただし、ドムが一人で作っているから、注文してから30分以上待つこともあるんだ。でも、その待ち時間も含めてDi Faraの体験だと思って、のんびり楽しんでほしいね。近年はドムの息子たちも手伝っているけど、ドム本人が作るピザは格別だよ。

場所: ブルックリン・ミッドウッド地区
営業時間: 火-日 12:00-21:00(月曜定休)
おすすめメニュー: クラシックチーズピザ、マルゲリータ、シシリアンピザ

5. Roberta’s(ロベルタズ)- ブルックリン

――最後の5番目のお店は?

Roberta’sは、ブルックリンのブッシュウィックにある、薪焼き窯で焼くナポリスタイルのピザを提供する人気店なんだ。2008年にオープンして以来、「ニューヨークで最もクールなピザ店」として多くのセレブリティも訪れているんだよ。

ここの特徴は、伝統的なナポリスタイルと現代的なクリエイティビティの融合なんだ。薪焼き窯で800度以上の高温で焼かれるピザは、生地の端が豹柄のように焦げていて、中心部分はもちもちした食感。これがナポリの伝統的な「ピッツァ・ナポレターナ」のスタイルなんだ。

Roberta’sの人気メニュー「ビー・スティング」は、トマトソース、モッツァレラ、ソプレッサータ(サラミの一種)、チリオイル、そしてハチミツがトッピングされた創作ピザで、甘さと辛さのバランスが絶妙なんだ。従来のニューヨークピザとは全く違うけど、これも「ニューヨークの新しいピザ文化」として受け入れられているんだよ。

店内は工業的でカジュアルな雰囲気で、若いカップルやアーティストたちで賑わっているんだ。ピザ以外にも野菜料理やカクテルも充実していて、ディナータイムには予約をおすすめするよ。

場所: ブルックリン・ブッシュウィック地区
営業時間: 月-日 17:00-24:00
おすすめメニュー: ビー・スティング、マルゲリータ、ホワイトピザ、クラフトカクテル

ニューヨークピザの正しい楽しみ方とマナー

――ニューヨークでピザを食べる時のマナーや食べ方で、観光客が知っておくべきことは?

ニューヨークでピザを食べるのは、実は全然難しくないんだ。基本的なマナーを覚えておけば、地元の人と同じように楽しめるよ。

基本的な食べ方:

  1. ザ・フォールド: 大きなスライスを縦に半分に折って食べる。これが最も一般的で実用的な食べ方だ
  2. 先端から: 折らずに手で持って、先端から一口ずつ食べる方法もある
  3. ナイフとフォーク: 高級店では使うこともあるけど、一般的ではない

重要なのは、「正しい」食べ方にこだわりすぎないことなんだ。ニューヨーカーも人それぞれで、フォークを使う人もいれば、手で食べる人もいる。自分が食べやすい方法で楽しむのが一番だよ。

スライスを買う時は、「One slice of plain」(プレーンスライス1枚)や「Pepperoni slice」(ペパロニスライス)って注文するのが一般的だね。チップは必要ないけど、カウンターのチップジャーに小銭を入れることもあるよ。

――ニューヨークピザの種類や、注文時のコツは?

ニューヨークピザの基本的な種類を覚えておくと便利だよ:

プレーン/チーズ: チーズとソースだけのシンプルなピザ。これが基準だ
ペパロニ: 最もポピュラーなトッピング
シシリアン: 四角くて厚めの生地のピザ
ホワイト: トマトソースなし、リコッタチーズベース
マルゲリータ: フレッシュモッツァレラとバジル

注文のコツとしては、まずは店の「プレーンスライス」を試すことをおすすめするよ。これがその店の実力を測るベンチマークなんだ。美味しいプレーンスライスを作れる店は、他のメニューも美味しいことが多いからね。

時間帯も重要で、ランチタイム(12:00-14:00)と夕方(17:00-19:00)は新しく作ったばかりのピザが食べられる確率が高いんだ。夜遅い時間だと、温め直したピザになることもあるから注意してね。

立ち食いの店では、紙皿とナプキンをたくさんもらっておくといいよ。ニューヨークピザは油っぽいから、ナプキンで軽く油を吸い取ってから食べる人も多いんだ。

ピザ体験をより深めるためのアドバイス

――観光客がニューヨークでピザを楽しむ時に、より本格的な体験をするためのコツは?

本格的なニューヨークピザ体験をしたいなら、まずは地元の人が通う「ネイバーフッド・ピザ・ショップ」を訪れることをおすすめするよ。観光地にあるピザ店も良いけど、住宅街にある小さな店の方が、本当のニューヨークピザ文化を感じられるんだ。

ピザウォークツアーに参加するのも面白いね。いくつかの会社がニューヨークピザの歴史を学びながら、複数の店を回るツアーを提供しているんだ。一人では行きにくい穴場の店にも連れて行ってもらえるよ。

地元の人との会話も楽しんでほしいな。ピザ店の店主やお客さんに「どこのピザが一番好き?」って聞けば、必ず熱い議論が始まるんだ。ニューヨーカーはピザについて語るのが大好きだからね。

――初心者におすすめの店や楽しみ方は?

初心者の方には、まずはJoe’s Pizzaから始めることをおすすめするよ。クラシックなニューヨークピザの基準を理解してから、他の店の個性を楽しむといいんだ。

食べ比べも楽しいから、一日で2〜3軒回ってみるのもおすすめだね。同じプレーンスライスでも、店によって全然違う味わいがあることに驚くはずだよ。

夜遅い時間(22:00以降)にピザを食べるのも、ニューヨークらしい体験だね。バーの帰りや遅い夕食として、多くのニューヨーカーがピザを食べているんだ。

お土産として冷凍ピザを買って帰ることもできるよ。Joe’sやPrince Street Pizzaでは冷凍ピザを販売していて、家で再加熱すれば、ニューヨークの味を再現できるんだ。

写真を撮るなら、ザ・フォールドの瞬間や、チーズが伸びている様子がおすすめだね。でも、混雑している時は他のお客さんの迷惑にならないよう、さっと撮影するのがマナーだよ。

まとめ

ニューヨークのピザ文化は、イタリア系移民によって持ち込まれた伝統が、ニューヨークの水と気候、そして住民の生活スタイルと融合して生まれた、まさにアメリカンドリームの象徴です。薄くて大きな生地を手で折って食べるスタイルは、せっかちなニューヨーカーの知恵から生まれた、機能美の極致といえるでしょう。

今回紹介した5つのピザ店は、それぞれ異なる時代とスタイルを代表する名店ばかり。クラシックなスライスから創作ピザまで、ニューヨークピザ文化の幅広さと深さを体験できる場所です。大切なのは、完璧な食べ方を求めるのではなく、ニューヨーカーのように気軽に、そして情熱的にピザを楽しむことです。

「ザ・フォールド」という現地の食べ方を覚えて実践すれば、きっとニューヨーカー気分を味わえるはずです。

今回紹介したピザ店のまとめ:

  1. Joe’s Pizza – ニューヨークピザの王道を守る老舗
  2. Prince Street Pizza – インスタ映えペパロニの新定番
  3. L’industrie Pizzeria – 次世代ニューヨークピザの代表格
  4. Di Fara – 生きる伝説ドムの芸術的ピザ
  5. Roberta’s – ナポリスタイルとニューヨーク創作の融合

ニューヨークのピザ体験は、きっと忘れられない美味しい思い出となるでしょう。Fuhgeddaboutit!(忘れられないよ!)

この記事を書いた世界人

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