トランプ関税についてアメリカ人に聞いてみた!

アメリカのトランプ大統領が再選され、貿易政策、特に関税についての議論が再び活発になっています。日本にいると、アメリカの政策がどのように影響するのか、またアメリカ人自身がどう考えているのかが見えにくいこともあります。

そこで今回は、日本在住アメリカ人のマイクさん(仮名)に、トランプ関税について率直な意見を聞いてみました。日本人とアメリカ人の考え方の違いも垣間見えるインタビューをお届けします。

トランプ関税の基本と背景

ーートランプの関税政策って、アメリカ人からするとどう見えてる?簡単に説明してもらえる?

トランプの関税政策は、アメリカ人の間でもかなり意見が分かれているホットトピックだよ。基本的には、特に中国やEU、そして最近では日本や韓国などからの輸入品に高い関税をかけて、アメリカの製造業を保護しようという考え方なんだ。

トランプ支持者の多くは、これを「アメリカ・ファースト」政策の重要な柱と見ていて、海外に流出した雇用をアメリカに取り戻す手段だと評価しているよ。一方で、批判的な人たちは、これが物価上昇を招き、実際には一般消費者や多くの企業に悪影響を与えていると考えているんだ。

特に第一期のトランプ政権では中国との貿易戦争が大きな話題になったよね。当時、中国からの約3,700億ドル相当の輸入品に対して追加関税が課され、それに対して中国も報復関税を課してきた。そういう意味では、本当の「戦争」のような状態だったんだ。

今回の再選後も、トランプは関税をさらに拡大する意向を示していて、中国からの輸入品には60%以上、その他の国からの輸入品にも10〜20%程度の関税を課す可能性があるって言われているよ。これがどう展開するかは、アメリカ人も注目しているところだね。

ーー日本人とアメリカ人では、関税に対する考え方ってどう違うと思う?

これは面白い質問だね!日本人とアメリカ人では関税に対する見方に違いがあると思うよ。

まず、歴史的な背景が違うんだ。アメリカは建国当初から関税を重要な政策手段として使ってきた歴史があるんだよ。19世紀には高関税で国内産業を保護する政策が主流だったし、20世紀後半になって自由貿易を推進するようになったのも比較的最近のことなんだ。

一方、戦後の日本は自由貿易体制の中で経済成長を遂げてきたよね。特に輸出主導型の経済発展を遂げた日本にとって、自由貿易は経済の血液のような存在だったと思うんだ。だから、関税を上げるという発想自体が、日本人にはやや違和感があるんじゃないかな。

それから、メディアの報道の仕方も影響していると思うよ。日本のメディアでは関税の負の側面(物価上昇や報復措置の懸念など)が強調されがちだけど、アメリカのメディアはもっと多様な視点から報じているんだ。特に保守系メディアでは関税のポジティブな面(雇用保護や貿易赤字削減など)も取り上げられることが多いよ。

あとは、政治文化の違いもあるかな。アメリカ人は「自国の利益を最大化する」という考え方にあまり罪悪感を持たない傾向があるけど、日本人は国際協調や「Win-Win」の関係を重視する傾向が強いように感じるね。この違いが関税政策への見方にも表れているんじゃないかな。

トランプ関税の経済的影響

ーートランプの関税って、実際のところアメリカ経済にどんな影響があったの?

いい質問だね!トランプの関税政策の経済的影響については、様々なデータが出ているよ。

まず、短期的には一部の製造業、特に鉄鋼やアルミニウム産業では雇用が増加したという報告があるんだ。これはトランプ支持者がよく強調するポイントだね。実際、関税保護によって一時的に競争から守られた産業では、設備投資が増えたケースもあったよ。

でも、全体的な経済への影響はもっと複雑なんだ。経済学者の研究によると、第一期トランプ政権の関税政策によって、アメリカの消費者や企業は年間約700億ドル(約10兆円)もの追加コストを負担することになったという試算もあるよ。特に中間財(部品や原材料)に関税がかかると、それを使う製造業者のコストが上昇して、最終的には消費者価格に転嫁されるんだ。

例えば、洗濯機に対する関税は確かにアメリカ国内の洗濯機メーカーを助けたけど、同時に洗濯機の価格は約12%上昇したというデータもあるんだよ。これは消費者にとっては負担増だよね。

それから、報復関税の影響も大きかったと思う。特に農業セクターは中国の報復関税によって打撃を受けて、政府は農家に対して数十億ドルの補助金を出す必要があったんだ。これは本来なら必要なかったコストだよね。

長期的な影響としては、サプライチェーンの再編が起きていることも注目すべきだと思うよ。多くの企業が中国からベトナムやメキシコなどに生産拠点をシフトさせたり、あるいは生産の一部をアメリカに戻したりしている動きが見られるんだ。これがいい影響なのか悪い影響なのかは、立場によって評価が分かれるところだね。

ーー物価上昇とかインフレへの影響はどうだった?日本人が心配していることの一つなんだけど

そうだね、それは日本人だけじゃなくて、アメリカ人も心配していることだよ。関税とインフレの関係は複雑だけど、確かに影響はあったと思うんだ。

トランプ第一期政権中の関税導入時には、対象となった製品カテゴリーでは確かに価格上昇が見られたよ。例えば、洗濯機や乾燥機、太陽光パネル、一部の鉄鋼製品などは明らかに値上がりしたんだ。ただ、当時は全体のインフレ率はそれほど高くなかったから、経済全体への影響は限定的だったという見方もあるね。

でも、現在の状況は少し違うんだ。パンデミック後のインフレがまだ完全には収まっていない中で、もし大規模な関税が導入されると、それがインフレに追い打ちをかける可能性があるよ。経済学者の試算によると、トランプ氏が公約通り10〜20%の包括的な関税と中国に対する60%の関税を導入した場合、インフレ率が1.5%ポイントほど上昇する可能性があるという分析もあるんだ。

特に日常的な消費財(食品、衣類、電化製品など)に関税がかかると、一般の人たちの生活に直接影響するよね。アメリカでも低・中所得層の家庭にとっては大きな負担になる可能性があるという懸念が出ているんだ。

ただ、トランプ支持者の間では「短期的な物価上昇は、長期的なアメリカの製造業復活のための必要なコスト」という見方もあることは理解しておくといいと思うよ。関税を支持する人たちは、一時的な痛みはあっても、最終的にはアメリカ経済のためになると考えているんだ。

アメリカ人の反応と国内の議論

ーーアメリカ人の間では、関税についてどんな議論があるの?賛成派と反対派の主な意見は?

アメリカ国内での関税に関する議論は本当に白熱しているよ。簡単に賛成派と反対派の主な意見をまとめてみるね。

関税賛成派の主な意見はこんな感じだよ:

  • 「アメリカの製造業の雇用を守るために必要だ」
  • 「中国などの不公正な貿易慣行に対抗するための有効な手段だ」
  • 「アメリカの貿易赤字を減らし、経済主権を取り戻せる」
  • 「短期的な痛みはあっても、長期的には国内産業の競争力を高める」
  • 「他国に比べてアメリカは関税が低すぎる。相互主義が必要だ」

一方、反対派はこんな意見を持っているんだ:

  • 「関税は実質的に消費者への税金増加と同じで、普通のアメリカ人が負担している」
  • 「グローバルなサプライチェーンを混乱させ、かえってアメリカ企業の競争力を弱める」
  • 「報復関税を招き、特に農業など輸出産業に打撃を与える」
  • 「関税によって保護された産業は革新性を失い、長期的に衰退する」
  • 「世界的な貿易紛争を引き起こし、地政学的な緊張を高める」

興味深いのは、この議論が必ずしも伝統的な共和党対民主党の構図になっていないということなんだ。共和党は伝統的に自由貿易を支持してきたけど、トランプ氏の影響で保護主義的な立場に移行する議員も多くなったよ。一方、民主党もバイデン政権下では一部のトランプ関税を維持するなど、完全な自由貿易一辺倒ではなくなってきているんだ。

あと、地域による違いも大きいね。ラストベルト(中西部の製造業地帯)では関税支持が強い傾向があるけど、輸入に依存する小売業が強い地域や、輸出志向の農業地帯では反対の声が大きいよ。

ーーアメリカのメディアはトランプの関税政策をどう伝えてるの?日本とは違う視点とかある?

アメリカのメディアの関税報道は、政治的な立場によってかなり色が違うんだよ。これは日本のメディアとの大きな違いかもしれないね。

保守系メディア(FOXニュースや保守系オンラインメディアなど)は、関税政策を概ね肯定的に伝える傾向があるよ。「アメリカの労働者を守る強い政策」「中国に対する強硬姿勢の証」といった文脈で報じることが多いんだ。成功事例として、関税導入後に雇用が増えた企業や工場を取り上げたりするね。

一方、リベラル系メディア(CNN、MSNBC、ニューヨーク・タイムズなど)は批判的な論調が強いよ。「消費者への隠れた増税」「経済学的に誤った政策」といった枠組みで伝えることが多く、関税によって打撃を受けた業種や価格上昇の実例を強調する傾向があるんだ。

日本のメディアとの違いで言うと、アメリカのメディアはもっと「人間ドラマ」に焦点を当てる傾向があるかな。例えば、「関税のおかげで工場が再開して仕事を取り戻した労働者」や逆に「中国の報復関税で農産物が売れなくなった農家」など、個人の物語として伝えることが多いよ。

また、アメリカのメディアは経済的な側面だけでなく、関税を「地政学的な力の誇示」や「アメリカの世界的地位の再確立」といった大きな文脈で語ることも多いんだ。この点は、より実務的・経済的な視点から報じる傾向がある日本のメディアとは少し違うかもしれないね。

あと、日本のメディアではあまり取り上げられないけど、アメリカでは関税収入の使い道についても議論があるよ。トランプ政権時代に集められた関税収入は数百億ドルに達したんだけど、これをどう使うかについてもメディアで取り上げられているんだ。

関税政策と国際関係

ーー日本とアメリカの貿易関係は、トランプの関税政策でどう変わると思う?

日米の貿易関係はトランプの関税政策によって間違いなく変化すると思うよ。第一期トランプ政権では日本はある程度守られた部分もあったけど、今回はより広範囲に影響があるかもしれないね。

まず、トランプ氏は再選キャンペーン中に「すべての国」からの輸入品に10〜20%の関税をかけると述べていたから、これが実現すれば日本からの自動車や電子機器、機械などの輸出に直接影響するだろうね。特に自動車セクターは要注目だよ。日本の自動車メーカーはアメリカで現地生産を増やしてきたけど、それでも日本からの輸出も多いからね。

それから、間接的な影響もあると思うよ。例えば、中国に対する高関税が続けば、グローバルなサプライチェーンの再編が進むだろうし、それは日本企業の戦略にも影響するんだ。日本企業の中には、中国での生産をベトナムや他の東南アジア諸国、あるいは北米にシフトするところがさらに増えるかもしれないね。

ただ、一つ注目すべき点は、トランプ氏が日本に対して安全保障面での「負担増」も求めていることだよ。関税と在日米軍駐留経費の交渉がリンクされる可能性もあるんだ。つまり、「安全保障面での協力を深めれば、関税面で譲歩する」といった取引が行われる可能性もあるんだよ。

日本政府の対応としては、個別交渉による例外獲得を目指すことになると思うけど、第一期よりも交渉環境は厳しくなるかもしれないね。ただ、日米関係は安全保障を含む多層的な関係だから、単純な関税の問題だけでは語れない複雑さがあることも忘れないでほしいな。

ーーもし関税が上がったら、日本の企業や消費者にどんな影響があると思う?

関税が上がれば、日本の企業と消費者の両方に影響があると思うよ。まず企業側から見てみよう。

日本の輸出企業、特に自動車、電子機器、機械製造業などは直接的な打撃を受ける可能性が高いね。これらの企業は、関税コストを自社で吸収するか、価格に転嫁するか、あるいはアメリカでの現地生産を増やすかという難しい選択を迫られるだろうね。多くの企業はすでにアメリカでの生産拠点を持っているけど、完全に移行するには時間とコストがかかるんだ。

サプライチェーンの観点では、日本企業が中国で部品を調達し、日本で組み立ててアメリカに輸出するというケースも多いよね。こういった場合、中国からの部品にも関税がかかり、二重の打撃になる可能性もあるんだ。

一方、日本の消費者への影響はどうだろう。直接的には、アメリカからの輸入品(農産物、飛行機、医薬品など)が値上がりする可能性があるよ。でも、より大きいのは間接的な影響かもしれないね。

もしアメリカの関税によって世界経済が減速したり、貿易紛争が拡大したりすれば、円高や株安を通じて日本経済全体に悪影響が出る可能性があるんだ。特に日本は輸出依存度が高い経済だから、グローバルな貿易の縮小は大きな打撃になりかねないよ。

ただ、チャンスもあるかもしれないね。例えば、アメリカと中国の貿易摩擦によって、中国市場でアメリカ製品のシェアが落ちれば、その分を日本企業が獲得できる可能性もあるし、アジアでの地域統合が進めば日本企業にとっての新たな機会になるかもしれないんだ。

いずれにしても、企業も消費者も、より複雑で不確実な貿易環境に適応していく必要があると思うよ。柔軟性と多様化が鍵になるんじゃないかな。

今後の見通しと対応策

ーー今後、トランプの関税政策はどう展開すると思う?短期・中期的な予測を教えて

トランプの関税政策の今後については、短期的にはかなり積極的な展開が予想されるよ。トランプ氏は選挙中の公約をかなり真剣に実行に移す傾向があるからね。

短期的(最初の100日程度)には、まず中国に対する追加関税の導入が最も可能性が高いと思うよ。現在の平均25%程度から60%以上に引き上げるという公約は、割と早い段階で実行に移されるかもしれないね。それと並行して、メキシコやカナダに対しても、移民問題とリンクさせる形で関税の脅しを使う可能性が高いと思うんだ。

中期的(1〜2年)には、より広範な「すべての国」に対する10〜20%の基本関税の導入が段階的に進められる可能性があるよ。ただし、実際の実施にあたっては、国別・品目別に様々な例外や猶予期間が設けられると予想されるんだ。特に同盟国や安全保障上重要なパートナーとの交渉次第では、一部緩和される可能性もあるね。

また、バイデン政権から引き継いだ半導体や先端技術に関する対中輸出規制は、関税政策と組み合わせてさらに強化される可能性が高いと思うよ。これは単なる貿易問題を超えて、技術覇権競争の一環として位置づけられるだろうね。

注目すべきは、トランプ氏が関税収入をどう使うかという点だと思うよ。税金減税の財源として使うという案が出ているけど、これが実現すれば関税政策と国内経済政策が直接リンクすることになるから、関税撤廃への圧力が弱まる可能性もあるんだ。

もちろん、他国の報復措置や経済への影響次第では、政策の修正を余儀なくされる可能性もあるよ。第一期でも、中国との「第一段階合意」のように、一部妥協した事例もあったしね。重要なのは、関税が単なる経済政策ではなく、外交・安全保障・国内政治が絡み合った複合的な政策ツールとなっていることを理解することだと思うよ。

ーー日本の企業や政府は、トランプの関税政策にどう対応すべきだと思う?アメリカ人の視点から見て

アメリカ人の視点から見ると、日本の企業や政府には以下のような対応が効果的だと思うよ。

まず企業レベルでは、サプライチェーンの多様化と柔軟化が重要だね。中国一極集中から脱却して、東南アジアやインド、メキシコなど複数の生産拠点を持つことでリスクを分散できるよ。また、アメリカでの現地生産をさらに強化することも有効な戦略だと思うんだ。トランプ政権は「アメリカでの雇用創出」を高く評価するからね。

製品戦略としては、高付加価値製品や代替が難しい製品にフォーカスすることも大切だよ。関税があっても需要が大きく変わらない製品や、アメリカ国内で生産できない製品に集中することで、関税の影響を軽減できるんだ。

日本政府レベルでは、個別交渉による例外獲得を目指すべきだと思うよ。特に安全保障面での協力強化をレバレッジにして、関税面での譲歩を引き出す戦略が考えられるね。日米同盟の重要性や、インド太平洋地域での中国に対する共通の懸念など、関税以外の分野での協力を強調するのが効果的だと思うんだ。

また、日本はTPP(CPTPP)やRCEPなどの地域貿易協定をさらに強化することで、アメリカへの依存度を下げることも検討すべきだね。アジア太平洋地域での貿易ルール作りで主導権を握ることで、長期的には米国に「置いていかれる」という焦りを生み出せるかもしれないよ。

企業と政府の両方に言えることだけど、アメリカの州政府や議会との関係構築も重要だと思うよ。トランプ政権は一枚岩ではないし、特に日本企業が雇用を生み出している州の政治家は、極端な関税措置に反対する可能性が高いんだ。こういった国内の「味方」を増やすための地道な努力も必要だと思うな。

最後に言いたいのは、日本はアメリカにとって単なる貿易相手国ではなく、重要な同盟国だということ。経済的な利害だけでなく、より広い文脈での関係強化を図ることが、結果的に関税問題でも有利に働くと思うよ。

まとめ

アメリカのトランプ関税政策は、単なる経済政策を超えた複合的な意味を持っています。アメリカ国内では雇用保護や製造業復活の手段として支持される一方、消費者負担増やグローバル経済への悪影響を懸念する声も強くあります。

日本を含む他国への影響は避けられませんが、この状況をただ受け身で捉えるのではなく、サプライチェーンの見直しや二国間関係の強化など、積極的な対応策を考えることが重要です。日米関係は貿易だけでなく、安全保障や文化交流など多層的な関係であり、そうした広い文脈の中で関税問題も捉える必要があります。

アメリカと日本の考え方の違いを理解しつつ、共通の利益を見出していくことが、この複雑な状況を乗り切るカギとなるでしょう。

ワンコイングリッシュでは、こうした国際的な話題について、ネイティブの講師と英語で議論することができます。言語だけでなく、文化や社会情勢についての理解も深めることができる貴重な機会です。他の先生や生徒とコミュニケーションが取れるイベントも盛りだくさんで、グローバルな視点を身につけたい方におすすめの英会話学校です。体験レッスンも受付中ですので、是非活用をご検討ください。

この記事を書いた世界人

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Translate »