「年齢とともに変わる日本観」タイ人が語る8年間の発見と変化

30代のTemiさんは、タイ出身で日本での滞在が5~10年になります。長期間の日本生活を通じて、彼女自身の価値観や日本に対する見方も大きく変化してきました。今回のインタビューでは、8年間の日本体験から見えてきた日本社会の実像と、自身の成長について語っていただきました。
――日本での滞在はどれくらいになりますか?
「5年から10年くらいですね。30代のうちに来日しました。」
――日本に来てから、ご自身の中で何か変化を感じることはありますか?
「人や周囲のことをより気にかけ、特に自分の意見を共有する時には慎重に考えるようになりました。これは私が成長したからなのか、日本での生活がそうさせたのかもしれません。
また、支出により注意深くなり、貯蓄や新NISAなどの投資を上手に管理できるようになりました。
社会生活はあまり活発ではなくなりました。日本での生活を始めた8年前と比べると、当時はあちこち旅行をしたり、混雑した観光地を探索したり、クラブに行ったりすることを楽しんでいましたが、もうそういうことは楽しめなくなりました。」
――来日前の日本のイメージと、実際に経験した日本との間にギャップはありましたか?
「期待していたことがどんなことだったかはっきりしませんが、実際に経験したところでは、一部の日本人は遅刻をしたり、特に仕事について無責任だったりしました。例えば、実際には1〜2時間で済む会議なのに、顧客との会議のために会社を6時間も離れ、何時間もだらだらしてから、最後の勤務時間に会社に戻ってくるような人もいました。これは前の職場で経験したことです。
日本人は創造的で新しいものに対してオープンマインドだと思っていました。でも実際には、私が期待していたほどではありませんでした。『メイド・イン・ジャパン』の製品は最高だと思っていましたし、その考えにはある程度同意していましたが、すべてが最高というわけではありません。
日本のやり方でこれやあれをする方がより論理的、または最も論理的だという考え方を持つ人もいます。彼らは心を開いたり、物事を異なる角度から見ようとしたりすることがあまりないようです。同じ結果を得るために異なる方法で物事を行うということが存在しないと思っているのです。」
――日本でまた訪れたい場所はありますか?
「石垣島、沖縄ですね。すべてがゆったりしていて、時間を忘れることができます。素敵な人たちで、本物だと感じます。彼らが本当の人間だと感じられるのです。
大阪も大好きです。食べ物と人々が素晴らしい。私の性格とライフスタイルは大阪の人々と200%マッチしています。お互いを理解し合えるし、彼らにはプライドがありません。私たちの間に違いのギャップがないと感じます。
九州エリアも良いですね。私は地元の人に似ているようで、大阪の人のように温かく接してくれます。温泉と自然があり、そこの人たちとは簡単に仲良くなれます。」
――逆に、もう訪れたくないと思う場所はありますか?
「原宿、渋谷、新宿ですね。上記の場所すべてに共通する理由は、あまりにも混雑していて息ができないからです。以前はそれらの場所を愛していましたが、もうそうではありません。おそらく年を取ったのでしょう。」
Temiさんの話からは、8年間という長期滞在を通じて、日本に対する理解が表面的なものから深いものへと変化していった様子がうかがえます。来日当初の活動的な生活から、より内省的で慎重な生活スタイルへの変化は、日本社会への適応とともに個人的な成熟も表しているようです。日本人の働き方や思考パターンに対する率直な指摘は、長期滞在者ならではの鋭い観察眼を示しています。一方で、沖縄や大阪、九州といった地方での人との繋がりに深い愛着を感じている点からは、日本の多様性と地域性への理解の深まりが読み取れます。