タイと日本の文化の違いってなに?日本在住タイ人とタイ生活のリアルをを聞いてみた

グローバル化が進む現代社会において、異文化理解はますます重要になっています。日本人が考える「当たり前」がタイでは全く違って見えるように、タイ人にとっての「常識」が日本では通用しないことも少なくありません。

本記事では、日本在住のタイ人女性・Temiさん(30代、滞在8年)へのインタビューと、タイでの生活経験を通して、両国の文化や生活習慣の違いを掘り下げていきます。留学、移住、あるいは短期旅行を考えている方々に、リアルな異文化体験をお届けします。

移住の背景 ~なぜ海を越えたのか~

―― まず、どうして日本に来ようと思ったの?

Temiさん(日本在住8年目): タイから日本に来て5~10年が経ちました。30代のうちに来日したのですが、最初は短期のつもりでした。でも実際に住んでみると、日本での生活が私を大きく変えてくれたんです。初めは日本の文化や習慣に戸惑うことも多かったのですが、今では日本での経験が私の人生にとって貴重な財産になっています。

―― タイに住んでみて、どんなところが魅力的だった?

タイ生活の魅力: タイでは「機会の多さと温かさ」が魅力的です。「サバーイサバーイ(のんびり、リラックス)」の文化が根付いており、ストレスを感じることが少ない環境があります。また、家族や友人との絆を大切にする文化があり、困った時はお互いに助け合うコミュニティが存在します。

物価の安さと美味しい食事、そして何より人々の温かさも大きな魅力でした。タイでは笑顔でのコミュニケーションが基本で、初対面の人でも気軽に話しかけることができる開放的な雰囲気があります。仏教の教えが生活に根付いているため、寛容で優しい人が多いのも特徴です。

イメージと現実のギャップ

―― 日本に来て、想像と違ってたことってある?

Temiさん: 期待していたことがどんなことだったかはっきりしませんが、実際に経験したところでは、一部の日本人は遅刻をしたり、特に仕事について無責任だったりしました。例えば、実際には1〜2時間で済む会議なのに、顧客との会議のために会社を6時間も離れ、何時間もだらだらしてから、最後の勤務時間に会社に戻ってくるような人もいました。

日本人は創造的で新しいものに対してオープンマインドだと思っていました。でも実際には、私が期待していたほどではありませんでした。日本のやり方でこれやあれをする方がより論理的だという考え方を持つ人もいて、物事を異なる角度から見ようとすることがあまりないようでした。

―― タイの生活で、最初びっくりしたことは?

タイ生活のリアル: タイの生活で最初に驚くのは交渉文化です。観光地やローカル市場では値段交渉が当たり前で、最初に提示される価格の半額以下になることもよくあります。でも大型ショッピングモールでは定価販売なので、どこで買い物するかによって全然違います。

また、バイクタクシーや露店での買い物文化にも驚きます。朝市や夜市では新鮮な果物や野菜、調理済みの食べ物がとても安く手に入ります。特にドリアンやマンゴスチン、ランブータンなどの南国フルーツは、日本で買うよりも格段に安くて新鮮です。

文化的価値観の違い

―― 日本人の考え方で、え?って思ったことある?

Temiさん: ここでの人々が「規則通り」にルールに従う様子にとても驚きました。レストランでの注文をカスタマイズできないこと、特定の役割以外の問題を処理できないこと、そして意見を自由に提供しないことなどです。

タイでは、もっと柔軟性があり、個人の要望に応える文化があります。しかし日本では、ルールや手順が個人の要望よりも優先されることが多いと感じました。決められた枠組みの中でしか動けないという制約が、時に不便さを感じさせますが、一方で社会の秩序を保つ重要な要素でもあるのだと理解するようになりました。

―― タイの家族関係で、日本と違うなーって思うことは?

タイの家族文化: タイでは家族間のコミュニケーションのオープンさと、大家族制の文化があります。日本の核家族化とは異なり、タイの家族には両親、子供だけでなく、祖父母、おじ、おば、いとこまで含まれることが多く、特に地方では3世代が同じ家に住むこともよくあります。

おじいちゃん、おばあちゃんは家族の中でとても尊敬される存在で、孫の面倒を見ることも多いです。タイでは共働きの家庭が多いため、子供の世話を祖父母に任せるケースがよくあります。そのため、祖父母と孫の絆がとても強いのが特徴的です。

食文化の違い

―― タイの食事で、え!って思ったことある?

タイの食文化: タイ料理といえば辛いというイメージがありますが、実はすべての料理が辛いわけではありません。でも確かに本場のトムヤムクンやグリーンカレーは日本で食べるものより何倍も辛くて、初めて食べた日本人は「水!水!」と叫ぶことが多いです。

食事のスタイルも日本と違って、複数の料理を一度に出して、みんなでシェアするのが基本です。一人一皿ではなく、真ん中に料理を置いて、各自がご飯とおかずを取ります。それから、タイ人はスプーンとフォークで食べることが多く、右手にスプーン、左手にフォークを持って、フォークで食べ物をスプーンに寄せて食べるのがタイ流です。

路上の屋台文化も特徴的で、バンコクなどの都市部では、本当にあらゆる場所に食べ物の屋台があって、朝から夜遅くまで営業しています。タイ人は「外食天国」を楽しんでいて、自宅で料理するより外で食べる方が安くて便利なことも多いのです。

休日の過ごし方

―― タイ人って休日どんな感じで過ごすの?

タイの休日文化: タイ人の休日の過ごし方は本当に多様です。都市部に住む人たちは、巨大なショッピングモールで買い物したり、映画を見たり、エアコンの効いた空間でリラックスすることが多いです。バンコクには本当にたくさんのショッピングモールがあって、それが休日の定番の過ごし方になっています。

自然が好きな人は、国立公園や海岸に行くこともあります。タイは美しいビーチや山、滝がたくさんあるため、週末に小旅行する人も多いです。特に地方出身者は実家に帰省して家族と過ごすことも多いですね。

それから、タイでは寺院参りも休日の過ごし方として一般的です。仏教徒が多いタイでは、寺院に行ってお坊さんにお供え物をしたり、瞑想したりする人も多いのです。

個人的な変化と成長

―― 日本に来てから、ご自身の中で何か変化を感じることはありますか?

Temiさん: 人や周囲のことをより気にかけ、特に自分の意見を共有する時には慎重に考えるようになりました。これは私が成長したからなのか、日本での生活がそうさせたのかもしれません。

また、支出により注意深くなり、貯蓄や新NISAなどの投資を上手に管理できるようになりました。

社会生活はあまり活発ではなくなりました。日本での生活を始めた8年前と比べると、当時はあちこち旅行をしたり、混雑した観光地を探索したり、クラブに行ったりすることを楽しんでいましたが、もうそういうことは楽しめなくなりました。

お気に入りの場所

―― 日本でまた行きたい場所とか、あんまり行きたくない場所ってある?

Temiさん: 石垣島、沖縄ですね。すべてがゆったりしていて、時間を忘れることができます。素敵な人たちで、本物だと感じます。彼らが本当の人間だと感じられるのです。

大阪も大好きです。食べ物と人々が素晴らしい。私の性格とライフスタイルは大阪の人々と200%マッチしています。お互いを理解し合えるし、彼らにはプライドがありません。私たちの間に違いのギャップがないと感じます。

九州エリアも良いですね。私は地元の人に似ているようで、大阪の人のように温かく接してくれます。温泉と自然があり、そこの人たちとは簡単に仲良くなれます。

一方、原宿、渋谷、新宿はもう行きたくありません。上記の場所すべてに共通する理由は、あまりにも混雑していて息ができないからです。以前はそれらの場所を愛していましたが、もうそうではありません。おそらく年を取ったのでしょう。

―― タイ人に人気の観光地って、外国人が知らないところもあるの?

タイのローカル観光地: 外国人観光客があまり訪れないけれど、タイ人に人気の観光地はたくさんあります。

例えば「カオヤイ国立公園」は、バンコクから車で数時間の場所にある自然豊かな場所で、タイ人の週末旅行先として人気です。ここではハイキングやキャンプ、野生動物観察などが楽しめます。

「パーイ」は北部のメーホンソーン県にある小さな町で、美しい景色や温泉、洞窟などが楽しめる静かな避暑地として人気があります。

東北部(イサーン地方)の「サムパンボーク」は、乾季にメコン川の水位が下がると現れる奇岩群で、タイ人の間では「タイのグランドキャニオン」として知られています。

タイの独特な文化と習慣

日本人が知らずにびっくりされたタイの習慣ってある?

タイ独特の習慣はたくさんありますが、特に日本人が驚くのは「挨拶の仕方」です。タイでは「ワイ」という合掌の挨拶をするのですが、相手の社会的地位や年齢によって手の位置が変わります。目上の人には高い位置で、同等の人には胸の前で、目下の人にはあごの下でワイをします。

また、タイでは頭は体の中で最も神聖な部分と考えられており、逆に足は最も低い部分と見なされています。だから、人の頭に触ったり、足で何かを指したりするのはとても失礼なことです。

それから、王室に対する尊敬の念もタイ文化の大きな特徴です。映画館では映画の前に国王賛歌が流れ、全員が起立します。街中には王室メンバーの肖像画が飾られており、王室に対する不敬な言動は法律で禁じられているほど、タイ人にとって王室は特別な存在です。

まとめ ~異文化理解がもたらすもの~

海を越えて新しい生活を始めるということは、言葉の壁だけでなく、価値観や生活習慣の違いにも直面することを意味します。Temiさんにとっての日本は、規則やルールが重視される国である一方で、個人的な成長と学びの場でもありました。一方、タイの文化は「サバーイサバーイ」精神に代表される温かさと柔軟性が特徴です。

異文化での暮らしは時に戸惑いをもたらすこともありますが、新たな発見と自己成長の機会でもあります。8年間の日本生活を通じて、より慎重で内省的になったTemiさんの経験は、長期滞在がもたらす深い変化を物語っています。

文化の違いを理解し、尊重することは、グローバル化が進む現代社会において、ますます重要になっています。本記事が、これから留学や移住を考えている方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

タイは「微笑みの国」と呼ばれるだけあって、人々の温かさと優しさが溢れる国です。食文化の豊かさ、伝統と現代の調和、家族を大切にする価値観など、日本人が学べる点も多くあります。タイに旅行や長期滞在を考えている方は、ぜひこうした文化の違いを楽しみながら、現地の人々と交流してみてください。

この記事を書いた世界人

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