【スペインの文化を学ぶ!】スペインの食文化の日本との違い5選 ~留学、長期滞在、移住、短期滞在・旅行の参考に~

スペインってどんな国? 日本からのイメージ
スペインはヨーロッパ南西部、イベリア半島の大部分を占める国で、多様な文化と歴史を持つ魅力的な場所です。日本人の多くが抱くスペインのイメージは、フラメンコ、闘牛、パエリア、サッカー、情熱的な人々、シエスタ(昼寝の習慣)などでしょう。
実際のスペインは、それらのイメージ以上に多彩で豊かな文化を持っています。北部の緑豊かな地域から、中央部の高原地帯、そして地中海沿岸の温暖な地域まで、地理的にも多様性に富んでいます。また、17の自治州に分かれており、それぞれが独自の言語や文化、伝統を持っています。例えば、カタルーニャ州ではカタルーニャ語が、バスク州ではバスク語が話されています。
この多様性はスペインの食文化にも反映されており、地域ごとに特色ある料理や食習慣が存在します。そのため、「スペイン料理」と一言で表現できないほど、バラエティ豊かな食文化が発達しています。
スペインで暮らす/スペインに行くメリットについて
スペインで暮らしたり旅行したりする魅力は数多くあります。まず、温暖な気候と美しい自然環境が挙げられます。年間300日以上が晴れという地域も多く、アウトドア活動や散策を楽しむのに最適です。
また、歴史的・文化的な見どころが豊富で、ガウディの建築物、中世の城塞、ローマ時代の遺跡など、各時代の芸術や建築を堪能できます。世界遺産の数も多く、文化的な刺激に満ちた環境です。
そして何より、スペインの食文化は世界的に高い評価を受けています。地中海式の健康的な食事は、オリーブオイルや新鮮な野菜、シーフードを中心としており、美味しいだけでなく健康にも良いとされています。各地方の特産品や郷土料理を楽しむだけでも、スペイン訪問の大きな魅力となっています。
生活面では、物価が日本より比較的安く、特に食料品や外食費は手頃な価格で質の高いものが楽しめます。また、スペイン人の「生きる喜び」を大切にする価値観や、人間関係を重視するライフスタイルは、忙しい現代社会に生きる私たちに新たな視点を与えてくれるでしょう。
① スペインの食文化の日本との違い(食事)
スペインの食事って日本と比べてどんな感じ?時間とかも全然違うの?
スペインの食事時間は日本と比べてかなり遅いです。朝食は8時から10時頃で、コーヒーとパン程度の軽いものが一般的です。昼食は14時から16時頃で、一日で最も重要かつボリュームのある食事です。そして夕食は21時以降、夏場は22時や23時に食べ始めることも珍しくありません。
日本では「三食きちんと食べる」という習慣がありますが、スペインでは昼食と夕食の間に「メリエンダ」という軽食の時間があります。子どもは学校から帰ってきた16時〜17時頃に、大人は仕事帰りの18時頃にサンドイッチやペイストリーなどを食べることが多いです。
食事のスタイルも大きく異なります。日本では一人ひとりに料理が供されますが、スペインでは「タパス」と呼ばれる小皿料理を複数人でシェアして食べる文化があります。また、フルコースの食事では、前菜、メインディッシュ、デザートという順番で料理が提供されます。
スペインでは食後の「ソブレメサ」という時間も重要です。デザートやコーヒー、リキュールを楽しみながら会話を続ける時間で、これが1時間以上続くこともよくあります。食事は単に栄養を摂るだけでなく、社交の場として非常に重要視されています。
スペインの食事マナーって何か特別なものある?日本と違う部分は?
スペインの食事マナーは日本のそれとはいくつか異なる点があります。まず、スペインではテーブルに肘をついても失礼にはなりません。また、会話を楽しみながら食べるのが一般的なので、静かに食事することはむしろ珍しいです。
食事の際、パンは常にテーブルに置かれています。これは料理と一緒に食べるためや、ソースをすくうために使います。パン皿が用意されていない場合は、テーブルクロスの上に直接置くこともあります。
また、スペインでは料理が冷めないうちに食べることを重視します。「熱いものは熱いうちに」という考え方で、料理が運ばれてきたらすぐに食べ始めるのがマナーです。全員の料理が揃うのを待つ必要はありません。
レストランでのチップの習慣も日本とは異なります。スペインでは法律上チップは必須ではありませんが、良いサービスを受けた場合は請求額の5〜10%程度を支払うのが一般的です。特に観光地のレストランではチップが期待されることが多いです。
食事を残すことについても考え方が違います。日本では「残さず食べる」ことが美徳とされますが、スペインでは大量の料理が提供されることが多く、すべてを食べきれなくても問題ありません。むしろ、「お腹いっぱい」という状態まで食べさせることがおもてなしと考えられています。
②スペインの食文化の日本との違い(会話)
スペインでは食事中にどんな話題が多いの?日本と違う部分は?
スペインでは食事中の会話が非常に活発です。日本では食事中に静かに食べることも多いですが、スペインではむしろ会話を楽しみながら食べるのが一般的です。話題は多岐にわたりますが、政治、スポーツ(特にサッカー)、食べている料理自体、地域のゴシップなどがよく話されます。
日本では避けられがちな政治や宗教の話題もオープンに議論されます。意見の相違があっても、それを楽しむ文化があるんです。また、食べている料理について「どこの産地の野菜か」「どういう調理法か」など、食材や調理法についての話題も多いです。
興味深いのは、スペイン人は食事中に仕事の話をあまりしないことです。日本では会食が仕事の延長になることもありますが、スペインでは食事の時間は仕事から離れてリラックスするための時間とされています。特に家族との食事では、学校や日常生活の出来事を共有する大切な時間です。
また、スペインでは食事の時間が長いので、一つの話題から次の話題へと自然に移行していきます。2〜3時間かけてゆっくり食事をすることも珍しくなく、その間、様々な話題で会話が弾みます。
食事中のスマホ利用ってスペインではどう思われてる?
スペインでは、食事中のスマートフォン使用は一般的にマナー違反と見なされます。特に家族や友人との食事の場では、会話を重視する文化があるため、スマホに集中することは失礼とされることが多いです。
若い世代ではスマホの利用が増えていますが、年配の方々は特に、食事中はスマホを使わず、目の前の人との会話を楽しむべきだという考えが強いです。家族の食事では、スマホを別の部屋に置いておくか、テーブルの上に積み重ねておいて、最初に手を伸ばした人が支払いをするという「スマホスタック」というゲームが行われることもあります。
レストランでも、テーブルにスマホを置くことは避けるのがマナーとされています。ただし、写真を撮ることは許容されており、特に美味しい料理や特別な機会の写真を撮るのは一般的です。SNSへの投稿も増えていますが、撮影後はスマホをしまって、食事と会話に集中するのが良いとされています。
日本では電車など公共の場では静かにスマホを使うことが多いですが、スペインでは逆に、食事中は控えて、それ以外の場面では自由に使うという傾向があります。
③ スペインの食文化の日本との違い(記念日/祝日)
スペインの祝日や記念日に食べる特別な料理って何かある?
スペインには祝日や記念日に食べる特別な料理がたくさんあります。クリスマスは特に重要な祝日で、12月24日の「ノーチェブエナ(聖夜)」には家族で集まって豪華な食事をします。典型的なメニューは子羊や子豚の丸焼き、シーフード、そして「トゥロン」と呼ばれるアーモンドのお菓子です。
新年は「ノーチェビエハ(大晦日)」に特別なディナーを食べた後、年越しの瞬間に「ラス・ドセ・ウバス(12粒のぶどう)」を食べる伝統があります。時計が12回鳴る間に12粒のぶどうを食べると、その年は幸運に恵まれるとされています。
イースターの時期には「トルティージャ・デ・セマナ・サンタ」という特別なオムレツや「ペスティーニョス」というハチミツをかけた揚げ菓子を食べます。また、聖週間中は肉を控え、魚や野菜の料理が中心となります。
地域によっても特別な料理があります。例えばバレンシア地方では「サン・ホセ(聖ヨセフの日)」に「パエリア」を食べる習慣があり、カタルーニャでは「サン・ジョルディの日」には「パ・デ・サン・ジョルディ」というパンを食べます。
また、「カルナバル(謝肉祭)」の時期には、揚げ菓子の「チュロス」やドーナツ状のお菓子「ロスキーリャス」が特に人気です。
日本の行事食みたいなものってスペインにもあるの?季節ごとに食べるものとか教えて!
スペインには確かに季節ごとに食べる料理があります。春には新鮮な野菜や豆類を使った料理が登場します。「メネストラ・デ・ベルドゥラス」という野菜の煮込みや、「ハバス・コン・ハモン」という生ハムと空豆の炒め物などです。
夏は暑さを和らげる冷製スープが人気です。有名な「ガスパチョ」はトマトやきゅうり、ピーマンなどの野菜をミキサーにかけた冷製スープで、アンダルシア地方の郷土料理です。同様に「サルモレホ」や「アホブランコ」も夏に欠かせない冷製スープです。
秋になると、きのこや栗、かぼちゃなどの秋の味覚を使った料理が増えます。「セタス・ア・ラ・プランチャ」という鉄板で焼いたきのこ料理や、「クレマ・デ・カラバサ」というかぼちゃのスープなどが秋の定番です。
冬は温かい煮込み料理やシチューが中心になります。「コシド・マドリレーニョ」はマドリードの郷土料理で、豆、野菜、肉を煮込んだ料理です。また、「ファバダ・アストゥリアーナ」はアストゥリアス地方の白インゲン豆の煮込み料理で、寒い冬に体を温めます。
日本のように「ひな祭りにはちらし寿司」といった明確な対応関係ではありませんが、季節の食材を大切にする点では日本の食文化と共通しています。また、カトリックの宗教行事に合わせた食文化も豊かで、断食期間の「四旬節」には肉を控えた料理が中心になるなどの習慣があります。
④ スペインの食文化の日本との違い(おふくろの味)
スペイン版の「おふくろの味」って何?家庭料理の代表的なものを教えて!
スペインの「おふくろの味」と言えば、真っ先に挙げられるのは「トルティージャ・デ・パタタス(スペイン風オムレツ)」です。じゃがいもと玉ねぎを炒めて卵と混ぜ、両面を焼いた料理で、各家庭によって作り方が異なります。玉ねぎを入れるか入れないか、中をどれくらい固めるかなど、家庭の好みによって変わる、まさに「おふくろの味」です。
地域によって異なりますが、「レンテハス(レンズ豆の煮込み)」も家庭料理の定番です。レンズ豆にニンジン、玉ねぎ、セロリ、ニンニク、そしてチョリソやモルシージャといったソーセージを加えた煮込み料理で、寒い日に体を温める料理として親しまれています。
「ポタヘ」も典型的な家庭料理で、野菜と豆類を煮込んだスープです。地域や季節によって使う材料が変わり、冬はひよこ豆とほうれん草、夏はひよこ豆とトマトなど、さまざまなバリエーションがあります。
また、「アルボンディガス(ミートボール)」もスペインの家庭でよく作られる料理です。トマトソースで煮込まれたミートボールは、子どもから大人まで人気のメニューです。
「カルド・デ・ラ・アブエラ(おばあちゃんのスープ)」も心温まる家庭料理で、鶏肉や牛肉、野菜、麺などを使った優しい味のスープです。風邪をひいたときや体調が悪いときに作ってもらう、まさに「おふくろの味」です。
スペインの家庭料理って作るの難しい?基本的な調味料とかテクニックとか教えて!
スペインの家庭料理は意外と簡単に作れるものが多いです。基本的な調味料としては、オリーブオイル、塩、ニンニク、パプリカ、サフランなどがあります。特にオリーブオイルはスペイン料理の基本で、炒めもの、ドレッシング、時には仕上げにかけることもあります。
スペイン料理で重要なテクニックの一つは「ソフリート」と呼ばれる玉ねぎ、ニンニク、トマトなどの野菜を弱火でじっくり炒める方法です。これが多くの料理のベースとなります。パエリアやシチューなど、様々な料理に使われる基本的な調理法です。
また、「ア・ラ・プランチャ」という鉄板で簡単に焼く調理法も一般的です。魚や肉を塩コショウだけで味付けし、熱した鉄板で素早く焼きます。素材の味を活かした調理法で、家庭でも簡単に再現できます。
スペインの家庭料理で特徴的なのは、「シンプルだが素材の味を大切にする」という点です。例えば「トルティージャ・デ・パタタス」は卵、じゃがいも、玉ねぎ、オリーブオイル、塩だけで作りますが、それぞれの素材の質が良ければ、シンプルながらも奥深い味わいになります。
調理器具も特別なものは必要なく、フライパンや鍋、土鍋などで十分です。パエリアを作るなら「パエリェーラ」という専用の浅い鍋があると理想的ですが、なければ大きめのフライパンでも代用できます。
スペインの家庭料理は、時間をかけて煮込む料理が多いですが、手間はそれほどかかりません。材料を切って鍋に入れ、あとは火加減を調整するだけというものも多く、忙しい現代の生活にも取り入れやすい料理が多いです。
⑤ 知っておきたいスペインの文化(その他)
スペインのレストランの種類って日本と違う?どんなところがあるの?
スペインには様々なタイプの飲食店があり、それぞれが異なる雰囲気や料理スタイルを提供しています。まず「バル」はスペインで最も一般的な飲食店で、カウンターでドリンクやタパスを気軽に楽しめる場所です。立ち飲みスタイルが基本ですが、テーブル席もあることが多いです。日本の居酒屋に近い雰囲気かもしれません。
「タベルナ」は伝統的な酒場で、主にワインを提供し、シンプルな料理やタパスも楽しめます。歴史的な建物内にあることも多く、独特の雰囲気があります。
「レストラン」はフルコースの食事を楽しめる場所で、前菜、メインディッシュ、デザートという順番で料理が提供されます。「メニュー・デル・ディア(日替わりメニュー)」を提供するレストランも多く、これは前菜、メインディッシュ、デザート、ドリンク、パンがセットになった定食のようなもので、価格も手頃です。
「マリスケリア」はシーフード専門のレストランで、新鮮な魚介類を使った料理を楽しめます。特に沿岸部では人気があります。
「アサドール」は肉専門のレストランで、子羊や子豚の丸焼きなどが名物です。特にセゴビアやブルゴスなどの内陸部に多く見られます。
最近では「ガストロバル」という新しいタイプの飲食店も増えています。これは伝統的なバルの雰囲気に創作料理を取り入れたもので、スペイン料理の革新を担っています。
スペインの食文化で絶対知っておくべきことって何?これだけは押さえておくべきポイントを教えて!
スペインの食文化で絶対に知っておくべきことは、まず「食事の時間帯」です。スペイン人は日本人よりもかなり遅い時間に食事をします。昼食は14時頃、夕食は21時以降が一般的です。レストランも日本よりかなり遅くまで営業しているので、現地の時間に合わせるとよいでしょう。
次に「タパス文化」を理解しておくことも重要です。タパスとは小皿料理のことで、様々な種類の料理を少しずつ味わえます。一つの場所で食べ終わったら、次のバルに移動して別のタパスを楽しむ「タパス巡り」も人気があります。マドリードやセビリアなどの都市では、この楽しみ方が特に盛んです。
また、「地域による料理の違い」も押さえておくべきポイントです。北部のガリシア地方は魚介類、バスク地方はピンチョスと呼ばれる一口サイズの料理、地中海沿岸のカタルーニャ地方はパンとトマトを合わせた「パン・コン・トマテ」、バレンシア地方はパエリア、南部のアンダルシア地方はフライ料理やガスパチョなど、地域ごとに特色ある料理があります。
「食事は社交の場」という認識も重要です。スペイン人にとって食事は単に栄養を摂るだけでなく、家族や友人と交流する大切な時間です。そのため、食事はゆっくりと時間をかけて楽しみます。特に休日の昼食は数時間かけることも珍しくありません。
最後に「オリーブオイルの重要性」も理解しておくとよいでしょう。スペインはオリーブオイルの生産大国で、料理だけでなく、朝食のパンに直接かけて食べることもあります。品質の良いエクストラバージンオリーブオイルは、スペイン料理の味を左右する重要な要素です。
まとめ
スペインの食文化は、地域の多様性、歴史的背景、そして人々の「食を楽しむ」という価値観によって形作られてきました。日本の食文化との違いは多くありますが、どちらも素材の鮮度や季節感を大切にするという共通点もあります。
スペインを訪れる際は、現地の食事時間に合わせ、様々なタイプの飲食店を訪れて多彩な料理を楽しんでみてください。特に、地元の人々が集まるバルやタベルナでは、本場のタパス文化を体験できます。
また、スペイン人にとって食事は社交の大切な機会であることを理解し、ゆっくりと時間をかけて料理を楽しみ、会話を楽しむことも大切です。食事中のスマホ利用を控え、目の前の人々と食事を共有する喜びを味わいましょう。
スペインの食文化を知ることは、単に美味しい料理を楽しむだけでなく、スペイン人の生活様式や価値観を理解することにもつながります。留学や長期滞在、また短い旅行であっても、現地の食習慣を理解し、尊重することで、より豊かな経験ができるでしょう。
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