現地人が教える韓国で人気のおすすめカフェ5選

韓国といえば、世界屈指のカフェ大国として知られています。一人当たりのコーヒー消費量が世界1位、コーヒーショップの市場規模は世界3位という驚異的な数字を誇り、ソウル市内だけで10万店以上のカフェが存在する現代のカフェ天国です。
そこで今回は、ソウル在住8年のミンジさん(仮名)に、観光ガイドには載っていない、現地人だからこそ知るカフェ文化と本当に人気のお店を5つ教えてもらいました。韓屋カフェから最新のデザートカフェまで、韓国のリアルなカフェ体験をお届けします。
韓国のカフェ文化の基本と背景
――韓国のカフェ文化って、韓国人からするとどんな意味を持ってるの?簡単に説明してもらえる?
韓国人にとってカフェは、日本人が想像するよりもずっと生活に密着した存在なんだよ。韓国のコーヒー消費量は年間一人当たり367杯で、これは世界平均の161杯の倍以上なんだ。つまり、ほぼ毎日コーヒーを飲んでいる計算になるね。
2022年時点で韓国には10万店以上のコーヒー専門店があって、コンビニの約5万店の2倍の数なんだ。「カフェの隣にカフェがある」なんて光景は韓国では日常茶飯事で、1日あたり平均44店舗の新しいカフェがオープンしているほどなんだよ。
韓国のカフェ文化が特殊なのは、単にコーヒーを飲む場所じゃないってことなんだ。「カゴン族」(카공족)っていう言葉があって、これは「カフェ(카페)で勉強(공부)する人」という意味の造語なんだ。学生から社会人まで、みんなカフェで勉強や仕事をするのが当たり前になってるんだよ。
あとは「コピス族」(커피스족)っていうのもあって、これは「コーヒー(커피)+オフィス(오피스)」を合わせた言葉で、カフェで仕事をする人たちのことを指すんだ。韓国のカフェにはコンセントとWi-Fiが完備されているから、ちょっとしたレンタルオフィスとして機能しているんだよ。
――日本人と韓国人では、カフェに対する考え方ってどう違うと思う?
これは本当に面白い違いがあるね!まず、利用目的が全然違うんだ。
日本人はカフェを「コーヒーを楽しむ場所」「友達とおしゃべりする場所」として使うことが多いけど、韓国人にとってカフェは「第二の勉強部屋・オフィス」なんだ。実際、韓国のカフェで恋人や友達とおしゃべりしている人はごく少数で、ほとんどの人がパソコンや参考書を広げて黙々と作業しているよ。
あとは、コーヒーの好みも全然違うね。日本人はブラックコーヒーを好む人が多いけど、韓国人は圧倒的に「アメリカーノ」が人気なんだ。特に「아아」(アア)って呼ばれる「아이스 아메리카노」(アイスアメリカーノ)は、真冬でも飲む人が多くて、「얼죽아」(オルチュガ)という「凍って死んでもアイスアメリカーノ」という造語まであるほどなんだよ(笑)。
それから、飲食の習慣も違うかな。韓国では食事をした後にカフェに行くのが定番で、「食事をご馳走してくれた人の分のカフェ代を払う」という暗黙のルールがあるんだ。だから、レストランで食事をした後に「カフェでも行こうか」という流れになることが多いんだよ。
サイズ感も全然違うね。韓国のカフェのドリンクは日本より大きくて、その分ゆっくり長時間滞在するのが前提になってるんだ。日本のように「ちょっと一杯飲んですぐ出る」というスタイルじゃなくて、2〜3時間は当たり前に滞在するよ。
現地人おすすめ!人気のカフェ5選
1. Cafe Onion 安国店(カフェオニオン・アングッ店)
――まず最初におすすめのカフェを教えて
ソウルで韓屋カフェといえば、絶対に外せないのがカフェオニオンの安国店だね。2019年3月にオープンして以来、ずっと人気が続いている韓国を代表するカフェなんだ。
ここは築100年を超える韓国の伝統的な建築様式である韓屋を改装したカフェで、3つの韓屋が中庭を囲んで立っているのが特徴なんだ。テーブル席と座敷席があるけど、天気が良ければ中庭を眺められる縁側席が絶対おすすめだよ。まるで韓国ドラマの一場面にいるような気分になれるんだ。
名物は「パンドーロ」っていう巨大なパンで、これがインスタでバズったきっかけなんだよ。見た目のインパクトが凄くて、映えること間違いなしだね。でも、味も本当に美味しくて、外はサクサク、中はふわふわなんだ。
現地の人たちにも愛されていて、平日の朝なんかは地元のおじいちゃんおばあちゃんが新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる光景も見られるよ。でも週末は世界中の観光客で溢れているから、ゆっくり楽しみたいなら平日の午前中がおすすめだね。
場所: ソウル特別市鍾路区桂洞キル62-29
営業時間: 月-日 8:00-22:00
おすすめメニュー: パンドーロ、アイスアメリカーノ、季節のフルーツタルト
2. Thanks, Oat(サンクス・オート)
――2番目のカフェは?
サンクス・オートは、最近韓国で大ブームになっているグリークヨーグルト専門カフェの代表格だね。特に弘大や安国店が有名で、若い韓国人の間では知らない人はいないほど人気なんだ。
ここの魅力は何といっても、無添加・高濃度のグリークヨーグルトが絶品なことなんだ。「Seasonal fruit & Berry greek yogurt」が一番人気で、季節のフルーツとベリーがたっぷり乗っているよ。韓国らしく「Jeju green tea」(チェジュ島の緑茶)とのセットがおすすめだね。
実は、他のカフェでもグリークヨーグルトを扱っているところはあるんだけど、サンクス・オートの品質は別格なんだ。クリーミーで濃厚なのに後味がさっぱりしていて、健康志向の韓国人にぴったりなんだよ。
いつも行列ができているから、時間に余裕を持って行くことをおすすめするよ。でも、並ぶ価値は絶対にあるカフェだね。SNSでも「#덕스오트」(#サンクスオート)のハッシュタグで数え切れないほどの投稿があるから、チェックしてみて。
場所: ソウル特別市鍾路区安国洞キル26(安国店)
営業時間: 火-日 11:00-19:00(月曜定休)
おすすめメニュー: 季節のフルーツ&ベリーグリークヨーグルト、チェジュ緑茶
3. Blue Bottle Coffee 明洞店(ブルーボトルコーヒー・ミョンドン店)
――3番目のカフェはどこ?コーヒーにこだわる韓国人におすすめの店は?
本格的なコーヒーを求めるなら、ブルーボトルコーヒーの明洞店が絶対おすすめだね。2022年に韓国で10店舗目としてオープンした記念すべき店舗で、韓国の伝統美を現代的にアレンジしたデザインが話題になったんだ。
実は、ブルーボトルは日本の次に韓国に進出したブランドで、韓国のコーヒー文化の発展に大きな影響を与えているんだよ。明洞店は特に立地が良くて、観光の合間にちょっと立ち寄れるのが魅力だね。
韓国人はアメリカーノが大好きだけど、ブルーボトルではちょっと違った本格的なドリップコーヒーを楽しめるんだ。「Hayes Valley Espresso」は韓国限定メニューもあって、地元のコーヒー愛好家の間では「やっぱりブルーボトルは別格」って評価されているよ。
店内はテイクアウト専用だから、コーヒーを持って明洞の街を散策するのが韓国らしい楽しみ方だね。韓国のブルーボトルでしか手に入らない限定グッズも人気で、お土産にも最適だよ。
場所: ソウル特別市中区明洞キル26
営業時間: 月-日 7:00-21:00
おすすめメニュー: Hayes Valley Espresso、アイスアメリカーノ、限定ブレンド
4. 1994 Seoul(1994ソウル)
――4番目のカフェは?若い韓国人に人気の店も教えて
1994ソウルは、韓国の伝統菓子とモダンなお茶文化を融合させた新しいスタイルのティーハウスなんだ。店主は1994年生まれの若い方で、6年間みっちりと韓菓と韓餅を学んだ本格派なんだよ。
ここでは、コース仕立てで韓国の伝統菓子を楽しめるのが特徴なんだ。3種類のお茶に伝統菓子が2種類ずつ付くコース(80,000ウォン)が人気で、2ヶ月ごとにメニューが変わるから何度行っても新しい発見があるよ。
韓国では今、お茶ブームが来ているんだ。コーヒーばかり飲んでいた若い世代が、伝統的な韓国茶に回帰する動きが見られるんだよ。アカシアの花を使った酵素ドリンクや、有機栽培のよもぎ茶など、健康志向の韓国人にぴったりなメニューが揃っているんだ。
完全予約制で、12時、14時、17時、19時からの各回80分制になっているから、事前の予約が必須だよ。ゆっくりと時間をかけてお茶と菓子を味わう贅沢な体験ができるんだ。
場所: ソウル特別市麻浦区城美山路23アンギル20-12
営業時間: 12:00、14:00、17:00、19:00~各回80分制(完全予約制)
定休日: 月・火・水曜
おすすめコース: 3種茶+伝統菓子コース
5. Victoria Bakery(ヴィクトリアベーカリー)
――最後の5番目のカフェは?
ヴィクトリアベーカリーは、まるで絵本の世界に入ったかのようなキュートな空間で有名なカフェなんだ。元々は大邱から始まったカフェで、2022年に西村に移転してリニューアルオープンしたんだよ。
ここの魅力は何といっても、そのメルヘンな世界観だね。アンティークなインテリアや食器がとにかく可愛くて、乙女心をくすぐる空間になってるんだ。韓国の若い女性たちには「인생카페」(人生カフェ)と呼ばれているほど愛されているよ。
デザートもどれも美味しくて、特にクロワッサンやデニッシュなどのパンが絶品なんだ。焼きたてのクロワッサンは翌日の朝食用に追加購入する人も多いほどなんだよ。
週末はウェイティングが発生するから、韓国の電話番号が必要になることもあるんだ。でも、それでも行く価値がある特別なカフェだね。現地の人は平日の午前中に行くことが多いから、その時間帯を狙ってみて。
場所: ソウル特別市オウルマダン路2キル10 1F
営業時間: 火-日 9:00-21:00(月曜定休)
おすすめメニュー: 焼きたてクロワッサン、季節のデニッシュ、ヴィンテージブレンドコーヒー
韓国カフェの楽しみ方とマナー
――韓国でカフェを利用する時のマナーや楽しみ方で、日本人が知っておくべきことは?
韓国のカフェでのマナーは、基本的にとても自由なんだけど、いくつか知っておくと良いポイントがあるよ。
まず、長時間滞在が前提だから、急かされることは一切ないんだ。むしろ、2〜3時間いるのが普通だから、ゆっくりとカフェタイムを楽しんで欲しいね。勉強や仕事をしている人も多いから、静かに過ごすのがマナーだよ。
注文の仕方も日本と少し違って、多くのカフェでセルフサービスシステムを採用しているんだ。番号札をもらって、呼ばれたら自分で取りに行くスタイルが一般的だね。
あと重要なのは、2021年から使い捨てコップの使用が禁止されているってことなんだ。店内で飲む場合は必ずマグカップやグラスで提供されるよ。もし途中で出かけることになったら、レジで「테이크아웃 잔으로 바꿔주세요」(テイクアウト用の容器に変えてください)と言えば、使い捨てコップに移してくれるんだ。
支払いも現金が使えない店が増えているから、クレジットカードやモバイルペイを準備しておくと安心だね。
――カフェで人気のメニューや、韓国ならではの飲み物はある?
韓国のカフェメニューには、日本では見られない独特なものがたくさんあるよ!
まず、ドリンクでは「아이스 아메리카노」(アイスアメリカーノ)が圧倒的に人気だね。真冬でも飲む人が多くて、韓国人のコーヒー愛を象徴するドリンクなんだ。あとは「고구마 라떼」(さつまいもラテ)や「말차 라떼」(抹茶ラテ)など、韓国らしい味のラテも人気だよ。
韓国の伝統茶もカフェで楽しめるのが特徴で、「유자차」(ゆず茶)や「오미자차」(五味子茶)、「대추차」(なつめ茶)なども定番メニューになってるんだ。
デザートでは、最近グリークヨーグルトが大ブームだね。あとは「パッピンス」(かき氷)も韓国ならではで、季節を問わず人気があるんだ。特に「망고 빙수」(マンゴービンス)や「딸기 빙수」(いちごビンス)は定番だよ。
韓国独特なのは、チキンとコーヒーの組み合わせなんだ。「치킨과 커피」(チキンとコーヒー)は韓国人の大好きな組み合わせで、実際にチキンを提供するカフェも多いんだよ。これは韓国の社会背景とも関係していて、就職難の影響でチキン店を開業する人が多いことから生まれた文化なんだ。
カフェ体験をより深めるためのアドバイス
――観光客が韓国でカフェを楽しむ時に、より本格的な体験をするためのコツは?
本格的な韓国カフェ体験をしたいなら、まずは地元の人が多いエリアのカフェを探すことだね。明洞や東大門などの観光地ではなく、弘大、聖水洞、延南洞あたりの若者が多いエリアがおすすめだよ。
時間帯も重要で、韓国人学生の「カゴン」(カフェ勉強)文化を体験したいなら、平日の午後2時〜6時頃に行ってみて。この時間帯はカフェが勉強する人たちで静かに賑わっているから、韓国の日常を感じられるよ。
韓国語で簡単な注文ができると、より楽しめるね。「아이스 아메리카노 하나 주세요」(アイスアメリカーノ一つください)や「여기서 마실게요」(ここで飲みます)くらい覚えておくと、店員さんも喜んでくれるよ。
あとは、韓国のカフェはSNS映えを意識したメニューが多いから、写真を撮って楽しむのも韓国流だね。「#카페스타그램」(#カフェスタグラム)のハッシュタグでInstagramに投稿すれば、現地の人と交流のきっかけにもなるよ。
――初心者におすすめのカフェの選び方や注文のコツは?
初心者の方には、まずチェーン店から始めることをおすすめするよ。スターバックスやイディヤコーヒーなど、韓国のチェーン店なら韓国限定メニューも楽しめるし、注文システムも分かりやすいんだ。
個人経営のカフェに挑戦する時は、メニューに写真があるお店を選ぶと安心だね。韓国のカフェは視覚的に分かりやすいメニューを作っているところが多いから、言葉が分からなくても指差しで注文できるよ。
ドリンクの注文では、まず「아이스」(アイス)か「핫」(ホット)を決めて、それから飲み物を選ぶのが基本だね。韓国人は圧倒的にアイスを好むから、迷ったらアイスを選んでおけば間違いないよ。
サイズは日本より大きめだから、最初は一番小さいサイズから試してみることをおすすめするね。それでも日本のMサイズくらいはあるから、十分な量があるよ。
あとは、カフェでの長時間滞在が当たり前だから、急いで飲む必要はないんだ。ゆっくりと韓国のカフェ文化を体験してみて欲しいね。
まとめ
韓国のカフェ文化は、単なる飲み物を楽しむ場所を超えた、現代韓国社会の縮図とも言える存在です。世界1位のコーヒー消費量と10万店を超えるカフェの数が示すように、カフェは韓国人の日常生活に深く根ざした文化的空間なのです。
今回紹介した5つのカフェは、それぞれ異なる魅力を持つ現地おすすめの名店ばかり。伝統的な韓屋カフェから最新のデザートカフェまで、韓国のカフェ文化の多様性を体験できる場所です。観光だけでなく、現地の人々と同じようにゆっくりとカフェタイムを楽しむことで、より深い韓国体験ができるでしょう。
重要なのは、カフェを通じて韓国の現代文化に触れ、地元の人々の日常を感じることです。「카공」(カゴン)や「아아」(アア)といった韓国のカフェ用語を使えば、現地の人との距離もぐっと縮まるはずです。
今回紹介したカフェのまとめ:
- Cafe Onion 安国店 – 韓屋カフェの代表格
- Thanks, Oat – グリークヨーグルトブームの火付け役
- Blue Bottle Coffee 明洞店 – 本格コーヒーの名店
- 1994 Seoul – 伝統とモダンが融合するティーハウス
- Victoria Bakery – 絵本の世界のようなメルヘンカフェ
韓国のカフェ文化を通じて、きっと新しい韓国の魅力を発見できるでしょう。맛있게 드세요!(マシッケ ドゥセヨ!=美味しく召し上がってください!)