【ロシアってどんな国?】知っておきたいロシアの文化 ~留学、長期滞在、移住、短期滞在・旅行の参考に~

グローバル化が進む現代では、様々な国の文化を理解することが、より豊かな国際交流につながります。ロシアは日本と地理的に近い国でありながら、その文化や習慣は大きく異なります。本コラムでは、ロシアの文化的側面に焦点を当て、留学や旅行、ビジネスで訪れる方に役立つ情報をお届けします。

 

ロシアってどんな国? 日本からのイメージ

ロシアと聞くと、多くの人はマトリョーシカ人形、クレムリン、ウォッカ、厳しい冬、バレエ、広大な国土などを思い浮かべるのではないでしょうか。

実際のロシアは、ヨーロッパからアジアまでまたがる世界最大の国土を持ち、11のタイムゾーンを抱える巨大な国です。人口は約1億4600万人で、ロシア人以外にも100以上の民族が暮らす多民族国家です。首都モスクワやサンクトペテルブルグなどの大都市は西欧的な雰囲気を持つ一方、シベリアやウラル地方など地方によって全く異なる表情を見せます。

東西冷戦時代のイメージから「厳格」「冷たい」というステレオタイプを持たれがちですが、実際のロシア人は情熱的で温かく、芸術や文化を深く愛する民族です。

 

ロシアで暮らす/ロシアに行くメリットについて

芸術文化の宝庫

ロシアは芸術大国として知られています。ボリショイ劇場やマリインスキー劇場でのバレエ鑑賞、エルミタージュ美術館やトレチャコフ美術館での美術鑑賞など、世界最高峰の芸術に触れる機会が豊富です。しかも、日本など他の先進国と比べて比較的手頃な価格で楽しむことができます。

多様な自然体験

タイガ(針葉樹林帯)、ステップ(草原)、極寒のシベリア、そして黒海沿岸のリゾート地まで、多様な自然環境があります。バイカル湖やカムチャツカ半島など、世界的にも貴重な自然を体験できるのも魅力です。

深い歴史と伝統文化

帝政ロシア時代の宮殿から、ソビエト時代の建築物まで、様々な時代の歴史的建造物が残されています。また、正教会の教会や修道院など、独特の宗教文化も体験できます。

人々との交流

表面的には無愛想に見えることもあるロシア人ですが、一度打ち解けると非常に親切で情熱的です。もてなしの文化も豊かで、家に招かれれば手作りの料理でもてなされるでしょう。

 

 

① 知っておきたいロシアの文化(歴史)

ロシアの歴史は非常に複雑で豊かです。9世紀のキエフ・ルーシの成立から始まり、モンゴルの支配、イヴァン雷帝による中央集権化、ピョートル大帝による西欧化、帝政ロシア、ソビエト連邦、そして現在のロシア連邦まで、激動の歴史を歩んできました。

この歴史の中で形成された文化的アイデンティティは強く、特に「母なるロシア」という概念は重要です。国家や大地を母と捉え、愛国心と結びついています。また、多くの苦難を乗り越えてきた歴史から、「苦難に耐える精神力」も国民性として根付いています。

ロシアの祝日も歴史と深く結びついています。特に「戦勝記念日」(5月9日)は、第二次世界大戦(大祖国戦争)での勝利を祝う重要な日で、軍事パレードや追悼行事が全国で行われます。この日は多くのロシア人にとって、単なる休日ではなく、先祖の犠牲を思い出す機会でもあります。

 

② 知っておきたいロシアの文化(コミュニケーション)

ロシア人とのコミュニケーションで驚くのは、その率直さです。日本人が「空気を読む」文化を持つのに対し、ロシア人は思ったことをはっきりと口にする傾向があります。これは不誠実さや失礼の表れではなく、むしろ相手を尊重し、本音で話す証とされています。

また、ロシア人は形式的な会話よりも、深い議論を好みます。政治、文学、哲学などの話題で真剣に議論することは、友情を深める重要な要素です。表面的な「世間話」よりも、意見の違いを含む深い対話が尊重されます。

身体的な距離感も日本とは異なります。友人や知人との挨拶ではハグやキスが一般的で、女性同士や男女間では頬にキスをすることもあります。男性同士では強い握手や肩を抱き合うことが普通です。

ロシア語は複雑な言語ですが、基本的な挨拶や感謝の言葉を覚えておくと喜ばれます。「Здравствуйте(ズドラーストヴィチェ):こんにちは」、「Спасибо(スパシーバ):ありがとう」など、簡単なフレーズを使うだけでも親近感が生まれます。

 

 

③ 知っておきたいロシアの文化(プレゼント)

ロシアでは贈り物の文化が非常に盛んです。誕生日や記念日はもちろん、初めて人の家を訪問する際にも何か持参するのが一般的です。空手で訪問するのはマナー違反とされています。

花束も人気のギフトですが、花の本数には注意が必要です。偶数の本数(特に2本)は葬儀用とされているため、必ず奇数の本数を贈りましょう。また、黄色い花は「別れ」を意味するという迷信もあります。

ロシアの伝統工芸品もギフトとして喜ばれます。ホフロマ塗り(黒と金の装飾が特徴的な木製品)、グジェリ陶器(青と白の陶器)、パレフ箱(手描きの小箱)などは、芸術性の高いお土産として適しています。

特別な関係の人には、高級チョコレートやケーキなどの甘いものも喜ばれます。ロシア人は甘いものが大好きで、特に手作りのお菓子は大切なもてなしとされています。

 

④ 知っておきたいロシアの文化(食文化)

ロシア料理は、厳しい気候を背景に発展してきました。特に冬の寒さを乗り切るため、栄養価が高く温かい料理が多いのが特徴です。

代表的な料理には、ビーツを使った真っ赤なスープ「ボルシチ」、キャベツの詰め物「ゴルプツィ」、ひき肉や野菜を包んだ「ペリメニ(水餃子)」などがあります。パンも重要な食材で、黒パン(ライ麦パン)は特にロシアの食卓に欠かせません。

食事の流れも独特です。前菜(ザクースカ)、スープ、メインディッシュ、デザートという順番で、特に祝日の食事は何時間も続くことがあります。また、ロシアでは昼食が一日の中で最も重要な食事とされ、温かいものをしっかりと食べる習慣があります。

ロシアの飲み物文化も豊かです。「チャイ(紅茶)」は一日に何度も飲まれ、サモワール(伝統的な湯沸かし器)で淹れたお茶を楽しむ文化があります。アルコール飲料では、もちろんウォッカが有名ですが、飲む際には必ず何かつまみ(ザクースカ)と一緒に飲むのがマナーです。乾杯(「За здоровье!(ザ・ズダローヴィエ):健康のために!」)の掛け声とともに、一気に飲み干すのが伝統的なスタイルです。

 

⑤ 知っておきたいロシアの文化(その他)

 

スーパースティション(迷信)

ロシアには日常生活に根付いた様々な迷信があります。例えば、座った状態で口笛を吹くと「お金がなくなる」、テーブルの上に鍵を置くと「ケンカになる」、旅行前に家の中で座って「良い旅を」と祈る習慣などがあります。これらは若い世代でも意外と信じられています。

バーニャ(サウナ)文化

ロシア式サウナである「バーニャ」は、単なる入浴施設ではなく、社交や健康維持の場として重要な役割を持っています。特に伝統的なバーニャでは、白樺の枝で作った「ヴェーニク」で体を叩き、血行を促進させる習慣があります。その後、冷たい水や雪の中に飛び込むという過激な温度差も楽しみの一つです。

ダーチャ(別荘)文化

多くのロシア人は都市部から離れた郊外に「ダーチャ」と呼ばれる別荘を持っています。週末や休暇には家族でダーチャに行き、野菜や果物を育てたり、自然の中でリラックスしたりします。ソビエト時代から続くこの文化は、都市生活のストレスから解放されるための重要な逃げ場となっています。

芸術と教育の重視

ロシアでは芸術教育が非常に重視されています。子どもの頃から音楽、バレエ、チェスなどの習い事をさせる親が多く、専門的な教育機関も充実しています。これがロシアから多くの世界的な芸術家や音楽家、チェスプレイヤーが輩出される背景となっています。

 

まとめ

ロシアの文化は、その広大な国土と長い歴史を反映して、非常に多様で奥深いものです。厳しい気候や歴史的苦難の中で育まれた強靭さと、同時に芸術や文学を深く愛する繊細さが共存しているのがロシア文化の魅力と言えるでしょう。

表面的なステレオタイプを超えて、実際のロシアの人々と交流することで、温かさやもてなしの心、知的好奇心の強さなど、新たな発見があるはずです。言葉の壁はあるかもしれませんが、少しの勇気と好奇心を持って接することで、きっと素晴らしい文化交流の体験ができることでしょう。

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