「見えないものを大切にする」インドネシア人が見た日本の価値観

20代のChristopher(クリストファー)さんは、インドネシア出身の中国系インドネシア人。来日して5~10年が経ち、日本での生活を通じて様々な発見をしてきました。今回のインタビューでは、彼の目に映る日本の姿と、自身の変化について語っていただきました。
――日本での滞在はどれくらいになりますか?
「5年から10年くらいですね。20代のうちに来日しました。」
――日本に来てから、ご自身の中で何か変化を感じることはありますか?
「時間に対する考え方が大きく変わりました。人が自分に割いてくれる時間、自分が他者に与える時間の価値をより深く理解するようになりました。何に時間を使うべきで、何に使うべきではないのか。自発性に頼るのではなく、物事を事前に計画することの大切さも学びました。
そして最終的には、すべてのものは本質的に儚いものだという感覚を持つようになりました。日本での生活を通じて、時間とその使い方について多くの気づきがありましたね。」
――来日前の日本のイメージと、実際に経験した日本との間にギャップはありましたか?
「テクノロジー大国としての日本のイメージと現実のギャップには驚きました。電子メールやPDFが存在するのに、まだファックス機を使っている場所があるのは本当に驚きでした。
ただ、これは日常生活の利便性をそれほど損なうものではないんです。なぜなら、日本のシステムは市民によって非常によく守られているからです。テクノロジーの面で予想外の部分はありましたが、全体的なシステムはしっかり機能しているという印象です。」
――日本人の価値観や考え方で驚いたことはありますか?
「人間関係に対する日本人の姿勢は非常に興味深いですね。自分の本性を隠すという概念自体はどの文化にも存在しますが、日本ではほとんどの状況でそれが行われています。これは精神的にかなり疲れることだろうと思います。
また、日本人が自分の持ち物をどれほど大切に扱うかにも驚かされました。物を大切にする姿勢、モノとの関係性の築き方は特別だと感じます。」
――日本でまた訪れたい場所はありますか?
「京都、岡山、大阪にはぜひもう一度行きたいです。理由はどの場所も同じで、まだ十分に探索できていないからです。特に岡山は大学のイベントで訪れただけだったので、街を見て回る時間がほとんどありませんでした。次回はじっくりと街の魅力を体験したいと思っています。」
――逆に、もう訪れたくないと思う場所はありますか?
「大宮はもう行かないかもしれません。基本的には大きな都市ですが、他の場所では見られないような特別なテーマや観光スポットがないと感じたからです。
また、仏教寺院については、多くが似たような印象で、宗教的な場所が単なる観光スポットとして扱われるのは少し違和感があります。
由比ヶ浜も以前ほど魅力を感じなくなりました。混雑し過ぎていて、最近は少し汚くなってきたように思います。」
クリストファーさんの話からは、日本での生活を通じて「時間」や「物との関係」という目に見えない価値観に対する理解が深まったことがうかがえます。テクノロジーの進化と伝統的な慣行が共存する日本社会の複雑さと、そこに住む人々の関係性の在り方は、外国人の目には特に印象的に映るようです。岡山をはじめとする日本の地方都市への関心も強く、今後も日本での発見の旅は続きそうです。