【日本在住インド人に聞いた!】知っておきたいインドの文化 ~留学、長期滞在、移住、短期滞在・旅行の参考に~

インドってどんな国? 日本からのイメージ
インドは南アジアに位置する世界第2位の人口(約14億人)を持つ国で、29の州と7つの連邦直轄地から成り立っています。多様な言語、宗教、文化が共存する多文化国家であり、公用語はヒンディー語と英語ですが、憲法で認められた言語は22もあります。
日本人からは「カレーの国」「IT大国」「ヨガの発祥地」「カースト制度」「タージマハル」などのイメージが強いようですが、実はそれらのイメージをはるかに超える複雑で多彩な文化や歴史を持つ国です。今回は日本で暮らすインド人の方に、母国の文化について語っていただきました。
インドで暮らす/インドに行くメリットについて
インドを訪れたり、暮らしたりする最大のメリットは、驚くほど多様な文化体験ができることです。一つの国の中で全く異なる言語、食べ物、伝統、自然環境に触れられるのは、インドならではの魅力です。
また、「アティティ・デーヴォ・バヴァ」(客人は神様のようなもの)という考え方があり、おもてなしの心も豊かです。物価が比較的安いため、長期滞在も経済的。さらに、急速に発展するIT産業や新興ビジネスの分野では、多くのチャンスがあるのも魅力の一つです。
① 知っておきたいインドの文化(歴史)
――インドの歴史で日本人があまり知らなさそうな面白いことってある?
実はインドは世界で最も古い文明の一つなんだよ。インダス文明は紀元前2600年頃には都市計画があって、驚くほど発達した下水システムがあったんだ。しかもその時代に既に入浴設備があったことも面白いよね。日本人の友達はよく「そんな昔から風呂文化があったの?」って驚くんだ。
あと、古代インドでは世界最古の大学がいくつもあったってこと。ナーランダ大学は5世紀に創立されて、世界中から1万人以上の学生と2000人の教師が集まってたんだよ。数学、天文学、医学、哲学などが教えられてて、現代の大学システムの原型みたいなものだったんだ。
――インドと日本の歴史的なつながりについて教えて!
実はインドと日本は仏教を通じて古くから深いつながりがあるんだ。特に空海や最澄みたいな日本の僧侶たちはインドの仏教思想を日本に持ち帰ったんだよ。
面白いのは第二次世界大戦のときのこと。インド国民軍の指導者だったスバス・チャンドラ・ボースは日本と同盟を結んで、イギリスからの独立を目指したんだ。彼は今でもインドでは英雄として尊敬されてるよ。あと、東京裁判のときにインド代表のパル判事が日本の指導者たちに無罪判決を出したことも、インド人は誇りに思ってるんだ。この歴史的なつながりが今でも日印関係の基盤になってるんだよ。
② 知っておきたいインドの文化(コミュニケーション)
――インド人のコミュニケーションで日本人が勘違いしやすいことってある?
頭を左右に振る「首振りジェスチャー」が一番わかりやすい例かな。インドでは頭を左右に振るのは「はい」とか「わかりました」という意味なんだけど、日本人には「いいえ」に見えるみたいで、最初はコミュニケーションが混乱することが多いよ。「わかった?」って聞いたとき、頭を振ると「え?わからないの?」ってなっちゃうんだよね。
あとインド人は一般的に話し声が大きいんだ。これは否定的な感情からじゃなくて、ただ普通に会話してるだけなんだけど、日本の静かな環境ではちょっと目立っちゃうみたい。日本に来た当初、電車で友達と話してたら周りの人がびっくりした顔で見てきて、その時初めて「あ、声デカいんだな」って気づいたよ。
――インドではどんなあいさつをするの?地域差はある?
インドでは地域や宗教によってあいさつが全然違うんだ!北インドでは「ナマステー」と言って、両手を胸の前で合わせるのが一般的。でも南インドだと「ヴァナッカム」って言ったりするんだよ。
イスラム教徒なら「アッサラーム・アレイクム」、シク教徒なら「サット・スリー・アカール」、キリスト教徒なら「プラナーム」など、宗教ごとに違うあいさつがあるんだ。面白いのは、インド人同士だと相手の宗教や出身地に合わせてあいさつを変えることも多いってこと。これは相手への敬意を表す方法なんだよ。
あと、年上の人にはあいさつするとき足に触れて敬意を示す「プラナーム」っていう習慣もあるよ。これは「あなたの知恵と経験を尊重します」っていう意味があるんだ。日本の「お辞儀」に少し似てるかもしれないね。
③ 知っておきたいインドの文化(プレゼント)
――インドでプレゼントをあげるときの注意点ってある?
プレゼントを左手だけで渡すのはNG!インドでは左手は不浄な手とされてるから、プレゼントは必ず右手か両手で渡すのがマナーなんだ。これはインドに限らず南アジアではよくある習慣だよ。
あと、白い花や白い包装紙は避けた方がいいかも。白は喪の色とされることが多いからね。それから奇数の花束(特に1本や3本)もあまり良くないとされてるんだ。偶数(特に2本や4本)か、たくさんの花束がベターだよ。
結婚式のプレゼントなら、現金が一番喜ばれるかな。きれいな封筒やカードに入れて渡すと良いよ。あとは新しい生活の始まりを象徴する家庭用品なんかも喜ばれるね。
――インドのお土産で絶対喜ばれるものってある?
スイーツは間違いないね!「ミタイ」と呼ばれるインドの伝統的なお菓子は、お祝い事やプレゼントに最適なんだ。特に「カジュ・カトリ」(カシューナッツで作ったひし形のお菓子)とか「ラドゥー」(ひよこ豆の粉で作った丸いお菓子)は定番だよ。
地域によって特産品も違うから、例えばカシミールに行くなら「パシュミナ」のショールや「サフラン」、ラジャスタンならカラフルな「バンダニ」(絞り染めの布)、タミルナドゥなら「ブロンズ像」みたいな地域の特産品も喜ばれるよ。
あと、意外と知られてないけど、日本製品もインドではすごく価値があるんだ。特に電子機器や日本の伝統工芸品は「高品質」というイメージがあって、喜ばれることが多いよ。
④ 知っておきたいインドの文化(食文化)
――インドのベジタリアン文化について教えて!
インドは世界で最もベジタリアンが多い国の一つなんだよ。人口の約30%くらいがベジタリアンで、北インドや西インドではもっと多いかも。これは主にヒンドゥー教やジャイナ教の「アヒムサー」(非暴力)の教えから来てるんだ。
面白いのは、インドのベジタリアンは卵も食べない人が多いってこと。「純ベジ」って言われる人たちは、卵、肉、魚を一切食べないんだ。だからインドのレストランでは「ピュア・ベジ」と「ノン・ベジ」がはっきり分かれてて、メニューにも緑のマーク(ベジ)と赤のマーク(ノン・ベジ)がついてるよ。
それから地域によってもベジタリアンの割合は全然違うんだ。例えばグジャラート州ではほとんどの人がベジタリアンだけど、ケララ州や北東部の州では肉や魚をよく食べるんだよ。
――インドのスパイス文化で知っておくと便利なことは?
インドでは料理によって使うスパイスが全然違うんだ。北インドではガラムマサラ(シナモン、カルダモン、クローブなどを混ぜたスパイス)が人気で、南インドではカレーリーフやマスタードシードが多く使われるよ。
スパイスには料理の味を良くするだけじゃなく、健康効果もあるんだ。例えばターメリックは抗炎症作用があるし、カルダモンは消化を助けるとされてるよ。だからインド料理を食べると、単においしいだけじゃなくて体にも良いんだ。
あと、インドではスパイスを炒めるタイミングがすごく重要なんだよ。最初に油で炒めるスパイス(タドカ)と、後から加えるスパイス(ガラム・マサラ)があって、この順序を間違えると全然違う味になっちゃうんだ。インド料理を作るときはこの「スパイスの順序」を守ることが大事だよ。
――インドの食事マナーで日本と違うところは?
一番大きな違いは手で食べる文化かな。特に南インドや東インドでは、右手の指を使って食べるのが伝統的なんだ。最初は難しいかもしれないけど、慣れると食感が直接伝わってきて、料理をより楽しめるよ。でも心配しないで、スプーンやフォークを頼んでも全然大丈夫だから。
あとはシェアする文化も強いね。インドではみんなで一緒に食べるのが基本で、大皿から取り分けて食べることが多いんだ。特に家庭では「ターリー」と呼ばれる大きな皿に色々なおかずを盛り付けて、家族みんなで食べることも多いよ。
日本と違って「いただきます」や「ごちそうさま」みたいな挨拶はないけど、イスラム教徒は食事の前に「ビスミッラー」(神の名において)、ヒンドゥー教徒は時々食べ物に感謝の意を表すこともあるよ。
⑤ 知っておきたいインドの文化(その他)
――インドの結婚文化について教えて!
インドの結婚式は本当に大規模で華やかなんだよ!3日から5日かけて行われることも多くて、招待客は500人から1000人以上になることもあるんだ。これは「結婚は二人だけのものじゃなく、二つの家族の結合」と考えられてるからなんだよ。
お見合い結婚(アレンジド・マリッジ)も今でも一般的で、最近は「親が紹介して、あとは二人で決める」っていう「セミ・アレンジド」が増えてきてるね。面白いのは、都市部では恋愛結婚が増えてるけど、それでも結婚式自体は伝統的な儀式を大切にしてることかな。
あと、ダウリー(持参金)の習慣はいまだに残ってて、特に地方では社会問題になってるんだ。法律では禁止されてるけど、実際には「贈り物」という形で続いてることも多いよ。若い世代は少しずつこういう習慣を変えていこうとしてるんだけどね。
――インドの若者文化はどんな感じ?
インドの若者は今、伝統と現代のバランスを取るのに苦労してる感じかな。一方では伝統的な価値観や家族の絆を大切にしながら、他方ではグローバルなトレンドも取り入れたいって思ってるんだ。
SNSの普及はすごくて、特にInstagramとYouTubeが若者の間で大人気だよ。インドはスマホユーザーが急増してて、データ通信料が世界で最も安い国の一つだから、村の若者でもYouTubeを見たりTikTokを使ったりしてるんだ。
音楽だとボリウッド(インド映画)の曲が依然として人気だけど、最近はヒップホップやインディーポップも増えてきてるよ。「ディバイン」とか「ヌクレアヤ」みたいなインドのヒップホップアーティストは若者の間で大人気なんだ。
ファッションも変わってきてて、伝統的なサリーやクルタ(長いシャツ)を現代風にアレンジしたり、西洋の服と組み合わせたりするスタイルが流行ってるよ。インドの若者はとても創造的で、自分たちのアイデンティティを表現する新しい方法を常に探してるんだ。
まとめ
インドは「多様性の中の統一」を体現する国です。29の州と7つの連邦直轄地、数百の言語と方言、様々な宗教や文化習慣を持ちながらも、一つの国としてのアイデンティティを保っています。
インドを理解するには、その多様性を受け入れ、一般化を避けることが大切です。北インドと南インド、都市部と農村部では生活スタイルが大きく異なります。また、急速に変化する現代インドでは、伝統と革新が共存している点も魅力の一つです。
インドを訪れる際は、オープンな心で多様な文化体験を楽しみ、現地の人々との交流を大切にしてください。混沌としているように見えても、その中には独自の秩序と調和があることに気づくでしょう。
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