現地人が教えるドイツで人気のビールが美味しいお店5選

ドイツといえば、世界最高峰のビール文化を誇る国として知られています。ビール純粋令(ラインハイツゲボート)に基づいた伝統的な醸造法や、地域ごとに異なる個性豊かなビールスタイルは、世界中のビール愛好家を魅了し続けています。

そこで今回は、ドイツ在住15年のマルクスさん(仮名)に、観光ガイドには載っていない、現地人だからこそ知るビールが美味しいお店を5つ教えてもらいました。伝統的なビアホールから隠れた名店まで、本物のドイツビール体験をお届けします。

ドイツのビール文化の基本と背景

――ドイツのビール文化って、ドイツ人からするとどんな意味を持ってるの?簡単に説明してもらえる?

ドイツ人にとってビールは単なる飲み物以上の意味があるんだよ。1516年に制定されたビール純粋令は、水、ホップ、麦芽、酵母だけでビールを作るという世界最古の食品法で、これが今でもドイツビールの誇りの源になっているんだ。

地域によって全く違うビール文化があるのも面白いところだね。バイエルン州では白ビール(ヴァイスビア)、ケルンではケルシュ、デュッセルドルフではアルトビールといった具合に、その土地のアイデンティティと密接に結びついているよ。

ドイツには約1,500の醸造所があって、5,000種類以上のビールが作られているんだ。これは人口比で世界一の数字だよ。ビアガルテン(ビール庭園)文化も重要で、特に夏は仕事帰りや週末に同僚や友人とビアガルテンで過ごすのが定番なんだ。

日本人がお茶や米にこだわりを持つように、ドイツ人はビールに対して深い愛着と誇りを持っているんだよ。単に酔うための飲み物ではなく、社会的なコミュニケーションツールであり、文化的アイデンティティの一部なんだ。

――日本人とドイツ人では、ビールに対する考え方ってどう違うと思う?

これは面白い質問だね!日本人とドイツ人ではビールに対するアプローチが結構違うと思うよ。

まず、ドイツ人はビールを「日常の一部」として捉える傾向が強いんだ。昼食と一緒にビールを飲むのも普通だし、仕事帰りにビアガルテンで一杯というのも日常的な光景だよ。一方、日本人にとってビールは「特別な時間」や「お疲れ様」の象徴という面があるんじゃないかな。

それから、味に対するこだわり方も違うね。ドイツ人は地元の醸造所や特定のビールスタイルに強い愛着を持っているんだ。例えば、ミュンヘン出身の人はアウグスティナーやレーベンブロイを愛飲するし、ケルン出身の人はケルシュ以外は認めないという頑固さもあるよ(笑)。

日本人はどちらかというと、様々なビールを試してみる好奇心が強いように感じるな。クラフトビールブームもそうだけど、新しい味や珍しいビールへの関心が高いよね。

あとは、飲み方の違いもあるかな。ドイツ人はゆっくりと時間をかけてビールを楽しむことが多いけど、日本人は乾杯文化や一気飲みなど、よりソーシャルな飲み方をする傾向があるように思うよ。

現地人おすすめ!ビールが美味しいお店5選

1. Augustiner-Bräu München(ミュンヘン)

――まず最初におすすめのお店を教えて

ミュンヘンのアウグスティナーブロイは、間違いなく外せないお店だね。1328年創業の世界最古の醸造所の一つで、ミュンヘン市民の間では「最高のビール」として愛され続けているんだ。

観光客にはヘルブランドやスパーテンが人気だけど、現地人の間ではアウグスティナーが圧倒的に人気なんだよ。特にここの「エーデルシュトフ」は、他では味わえない深みのある味わいが特徴で、一度飲んだら忘れられないよ。

店内は伝統的なバイエルン様式で、木製のテーブルと椅子、樽から直接注がれる新鮮なビールが楽しめる。地元の人たちと相席になることも多いから、ドイツ語を話せなくても身振り手振りで交流できるのも魅力の一つだね。

料理も本格的で、特にシュヴァイネハクセ(豚のすね肉)とアウグスティナーの組み合わせは最高だよ。価格も観光地価格ではなく、地元価格なのが嬉しいポイントだね。

場所: Landsberger Straße 19, 80339 München
営業時間: 月-金 10:00-24:00、土-日 9:00-24:00
おすすめビール: エーデルシュトフ、ヘル

2. Brauerei Heller-Trum(バンベルク)

――2番目のお店は?

バンベルクにあるシュレンケルラ(Schlenkerla)は、燻製ビールの聖地として有名なんだ。正式名称はBrauerei Heller-Triumだけど、地元では「シュレンケルラ」で通じるよ。

ここの「ラオホビア」(燻製ビール)は、麦芽をブナの木で燻すことで独特のスモーキーな香りと味わいを生み出しているんだ。初めて飲む人は驚くかもしれないけど、これこそがバンベルクの伝統的な味なんだよ。

1405年創業という歴史の重みを感じる店内で、燻製ソーセージや燻製ハムと一緒にラオホビアを楽しむのは、他では体験できない特別な時間だね。観光客も多いけど、夜遅い時間になると地元の常連客でにぎわうよ。

意外かもしれないけど、ラオホビアは女性にも人気が高いんだ。燻製の香りが食欲をそそるし、アルコール度数もそれほど高くないから飲みやすいんだよ。

場所: Dominikanergasse 6, 96049 Bamberg
営業時間: 月-日 9:30-23:30
おすすめビール: メルツェン・ラオホビア、ウアボック・ラオホビア

3. Früh am Dom(ケルン)

――3番目のお店はどこ?

ケルンのフリュー・アム・ドームは、ケルシュビールの代表的な醸造所だね。ケルン大聖堂のすぐそばにあって、1904年から続く老舗なんだ。

ケルシュは0.2リットルの小さなグラス「シュタンゲ」で提供されるのが伝統で、飲み終わるとウェイターが自動的に新しいビールを持ってくるシステムなんだ。もう飲まない時は、コースターをグラスの上に置くのがルールだよ。

フリューのケルシュは、すっきりとした軽やかな味わいで、暑い夏の日には最高なんだ。地元の人たちは仕事帰りに立ち寄って、同僚と軽くケルシュを飲みながら一日の出来事を話すのが日課になっているよ。

料理は典型的なライン地方の家庭料理で、ヒンメル・オン・アード(マッシュポテトとリンゴ、ブラッドソーセージ)やハルヴァー・ハーン(ライ麦パンにチーズ)などが人気だね。

場所: Am Hof 12-18, 50667 Köln
営業時間: 月-日 8:00-24:00
おすすめビール: フリュー・ケルシュ

4. Hofbräuhaus München(ミュンヘン)

――4番目のお店は?観光地のホフブロイハウスもおすすめ?

実は、多くの現地人は「ホフブロイハウスは観光客向け」と言うんだけど、それでもおすすめする理由があるんだよ。確かに観光客が多いし、価格も少し高めだけど、あの雰囲気とエンターテイメント性は他では味わえないからね。

特に夜の時間帯になると、バイエルンの民族音楽の生演奏があって、世界中の人たちが一緒に歌って踊って、本当に楽しいんだ。ビール自体もホフブロイは老舗醸造所だから、品質は確かだよ。

ただし、現地人としてのアドバイスは、昼間の早い時間(11時〜14時頃)に行くことだね。この時間帯は観光客が少なくて、地元の人たちも昼食を取りに来るから、よりオーセンティックな雰囲気を楽しめるよ。

1リットルの大ジョッキ「マス」でビールを飲むのは、ドイツビール体験の王道だからね。一度は経験しておくべきだと思うよ。

場所: Platzl 9, 80331 München
営業時間: 月-日 9:00-23:30
おすすめビール: ホフブロイ・オリジナル、ヴァイスビア

5. Katz Orange(ベルリン)

――最後の5番目のお店は?

ベルリンのカッツ・オレンジは、少し変わり種だけど絶対におすすめしたいお店なんだ。元々は郵便局だった建物を改装したモダンなレストランで、クラフトビールと革新的なドイツ料理で有名なんだよ。

伝統的なビアホールとは全く違う雰囲気だけど、ここではベルリンの新しいビール文化を体験できるんだ。地元のクラフト醸造所と提携して、常に5〜6種類の樽生ビールをローテーションで提供しているよ。

特に注目なのは、ベルリン・ヴァイセという地元の酸味のあるビールや、IPA、ポーターなど、従来のドイツビールとは違うスタイルも楽しめることだね。若いベルリンっ子たちにはこういう新しいビール文化が浸透しているんだ。

料理も素晴らしくて、特に豚の肩ロースト「ポーク・ナックル」は絶品だよ。伝統的なドイツ料理をモダンにアレンジしていて、ビールとの相性も抜群なんだ。

場所: Mitte, Rosenthaler Str. 17, 10119 Berlin
営業時間: 月-日 17:00-2:00
おすすめビール: 日替わりクラフトビール、ベルリン・ヴァイセ

ドイツビールの楽しみ方とマナー

――ドイツでビールを飲む時のマナーや楽しみ方で、日本人が知っておくべきことは?

ドイツでビールを楽しむ時のマナーは、実はそれほど堅苦しくないんだけど、いくつか知っておくといいポイントがあるよ。

まず乾杯の時は「プロースト!」(Prost!)と言って、必ず相手の目を見ながらグラスを合わせることが大切だね。ドイツ人はこれをとても重視するんだ。目を見ないで乾杯すると、「7年間セックスに恵まれない」というジンクスがあるほどだよ(笑)。

それから、ビールグラスは必ず底から3分の1程度までしか一度に飲まないのがマナーなんだ。一気に飲み干すのではなく、ゆっくりと味わいながら飲むのがドイツ流だよ。

ビアガルテンでは、大きなテーブルに知らない人同士が相席になるのが普通だから、座る時に軽く挨拶するといいね。「ハロー」や「グーテン・アーベント」(こんばんは)で十分だよ。

あとは、チップ文化も重要だね。ビール代の10%程度をチップとして渡すのが一般的だから、覚えておくといいよ。

――地域によって違うビールの特徴や飲み方の違いはある?

これは本当に面白いところで、ドイツのビール文化は地域によって全く違うんだよ。

バイエルン州(ミュンヘン周辺)では、1リットルの大ジョッキ「マス」で飲むのが一般的で、ヴァイスビア(小麦ビール)が人気だね。朝からビールを飲む文化もあって、「フリューショッペン」という朝のビール習慣もあるんだ。

ライン地方(ケルン、デュッセルドルフ)では、小さなグラスで頻繁に飲み替えるスタイルが特徴的だよ。ケルンのケルシュは0.2リットルの「シュタンゲ」、デュッセルドルフのアルトビアも小さめのグラスで提供されるんだ。

ベルリンなど北部では、より国際的でモダンなビール文化が発達していて、クラフトビールやIPA、ポーターなどの新しいスタイルも人気だね。

面白いのは、ドイツ人は自分の地元のビール以外を「あまり良くない」と言う傾向があることだよ(笑)。バイエルン人はケルシュを「薄すぎる」と言うし、ライン地方の人はバイエルンのビールを「重すぎる」と言うんだ。でも、それが地域のアイデンティティを保つ秘訣でもあるんだね。

ビール体験をより深めるためのアドバイス

――観光客がドイツでビールを楽しむ時に、より本格的な体験をするためのコツは?

本格的なドイツビール体験をしたいなら、いくつかのコツがあるよ。

まず、観光地のど真ん中ではなく、地元の人が通うお店を見つけることが大切だね。現地の人に「どこでビールを飲む?」と聞いてみるのが一番確実だよ。彼らは喜んで教えてくれるし、時には一緒に飲みに行こうと誘ってくれることもあるんだ。

時間帯も重要で、夕方の5時〜7時頃の「フェイアーアーベント」(仕事終わり)の時間に行くと、地元の人たちのリアルなビール文化を体験できるよ。この時間帯はビアガルテンが最も活気づくんだ。

ビールの種類についても、メジャーブランドだけでなく、地元の小さな醸造所のビールも試してみるといいね。「ハウスビア」(自家醸造ビール)があるお店は特におすすめだよ。

料理との組み合わせも大切で、ビールに合わせた地元料理を注文することで、より本格的な体験ができるんだ。店員さんに「このビールに合う料理は?」と聞けば、きっと良いアドバイスをもらえるよ。

――初心者におすすめのビールスタイルや飲み方の順番は?

初心者の方には、軽やかなビールから始めて、徐々に重いものに移るのがおすすめだね。

最初はヘルビア(淡色ビール)やヴァイスビア(小麦ビール)から始めるといいよ。これらは飲みやすくて、ドイツビールの基本的な特徴を理解できるんだ。ミュンヘンなら、アウグスティナーやスパーテンのヘルが良いスタートになるね。

次に、ケルシュやアルトビアなど、地域特有のスタイルに挑戦してみて。これらは個性があるけど、それほど癖が強くないから、違いを楽しめると思うよ。

慣れてきたら、ラオホビア(燻製ビール)やボック(強いビール)など、より個性的なスタイルに挑戦してみるといいね。これらは好みが分かれるけど、ドイツビールの多様性を実感できるよ。

大切なのは、一つのスタイルを決めつけずに、様々なビールを少しずつ試してみることだね。ドイツには本当に多様なビールがあるから、きっと自分好みのスタイルが見つかるはずだよ。

まとめ

ドイツのビール文化は、単なる飲み物を超えた深い文化的意味を持っています。地域ごとに異なる伝統と個性、そして現代的な革新が共存する多様性こそが、ドイツビールの魅力なのです。

今回紹介した5つのお店は、それぞれ異なる角度からドイツビール文化を体験できる場所です。伝統的なビアホールから最新のクラフトビールバーまで、現地人だからこそ知る本物の体験を楽しんでください。

重要なのは、ビールを通じて地元の人々と交流し、その土地の文化に触れることです。言葉の壁があっても、「プロースト!」の一言で始まる友情は、きっと忘れられない旅の思い出となるでしょう。

ワンコイングリッシュでは、こうした海外での体験をより豊かにするための語学力を身につけることができます。ドイツ語はもちろん、英語でのコミュニケーション能力を高めることで、現地の人々との交流がさらに深まります。他の先生や生徒とコミュニケーションが取れるイベントも盛りだくさんで、海外旅行をより楽しみたい方におすすめの英会話学校です。体験レッスンも受付中ですので、是非活用をご検討ください。

この記事を書いた世界人

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