【エジプトの文化を学ぶ!】知っておきたいエジプト生活のリアル ~留学、長期滞在、移住、短期滞在・旅行の参考に~

エジプトってどんな国? 日本からのイメージ

多くの日本人にとって、エジプトといえば「ピラミッド」「スフィンクス」「ツタンカーメン」「ナイル川」といった古代文明のイメージが強いのではないでしょうか。実際、エジプトは5000年以上の歴史を持つ文明の発祥地の一つであり、世界遺産も数多く存在します。 しかし、現代のエジプトは古代遺跡だけの国ではありません。アラブ世界最大の人口(約1億人)を擁する国家であり、中東・北アフリカ地域における政治・文化の中心地でもあります。首都カイロは「千のミナレット(モスクの塔)の街」とも呼ばれ、イスラム文化の豊かな伝統と近代的な都市機能が共存する魅力的な都市です。 また、エジプトは地理的にもユニークな位置にあります。アフリカ大陸の北東部に位置し、アジアのシナイ半島も領土に含み、地中海とアフリカをつなぐスエズ運河を有する戦略的な場所にあります。砂漠が国土の大部分を占める一方で、ナイル川流域には肥沃な農地が広がり、古くから「ナイルの賜物」と称されてきました。 エジプトは観光地としてのイメージが強いですが、実際にはアラビア語を公用語とするイスラム教国家であり、独自の文化や生活習慣を持つ国でもあります。近年は政治的・経済的な変動を経験していますが、エジプト人特有の明るさと温かさは変わらず、「困難な時こそ笑顔で」という精神を持つ人々が多いのも特徴です。

エジプトで暮らすメリットについて

豊かな歴史と文化体験

エジプトに住むということは、世界最古の文明の一つに日常的に触れられるという贅沢な経験です。週末にはピラミッドやルクソール神殿などの世界遺産を訪れることができ、数千年の歴史を身近に感じることができます。また、現代と古代が共存する独特の雰囲気も魅力的です。

人々の温かさと社交性

エジプト人は一般的にとても社交的で温かく、外国人に対しても親切です。「アフワン(Ahlan)」という言葉で表現される「歓迎」の精神は、エジプト社会の基本となっています。特に日本人に対する印象は良く、「ヤバニ(日本人)」と分かると特別な親しみを持って接してくれることも多いでしょう。

リーズナブルな生活コスト

日本と比較すると、エジプトの生活コストは全般的に低めです。特に食料品や交通費は安価で、現地の食材や交通手段を利用すれば、非常にリーズナブルな生活が可能です。また、高級住宅地でなければ家賃も比較的安く、余裕のある生活ができるでしょう。

気候の良さ

エジプトの気候は乾燥していて、特に10月から4月頃までは温暖で過ごしやすい気候が続きます。冬でもほとんど雨が降らず、日本の湿度の高い環境と比べると快適に感じる方も多いでしょう。夏は確かに暑くなりますが、乾燥しているため湿度の高い日本の夏とは暑さの質が異なります。

地理的な利点

エジプトは中東、アフリカ、ヨーロッパの結節点に位置しており、旅行好きな方にとっては多くの行き先にアクセスしやすい拠点となります。カイロ国際空港からは多くの国際線が運航しており、週末旅行でヨルダンやレバノン、ドバイなどの中東諸国、あるいは地中海沿岸のヨーロッパ諸国を訪れることも可能です。    

① 知っておきたいエジプト生活のリアル(買い物)

エジプトでの買い物体験は、近代的なショッピングモールから伝統的な市場まで多様です。

ローカルマーケット「スーク」の魅力

カイロの「ハーン・ハリーリ(Khan El Khalili)」をはじめとする伝統的な市場「スーク」は、エジプトらしい買い物体験ができる場所です。ここでは香辛料、工芸品、衣類、宝飾品など様々な商品が並び、活気に満ちた雰囲気を楽しめます。 スークでの買い物で重要なのは「値段交渉」です。最初に提示される価格は一般的に相場よりも高めに設定されているため、提示価格の50-70%程度を提案するところから交渉を始めるのが一般的です。ただし、交渉はあくまで楽しくフレンドリーに行うのがエジプト流で、笑顔と冗談を交えながら適正価格に近づけていくのがコツです。

モダンなショッピング体験

一方で、カイロやアレキサンドリアなどの大都市には「City Stars」「Mall of Egypt」といった近代的なショッピングモールも増えており、ここでは国際的なブランドや映画館、飲食店などが揃っています。こうした場所では値段は固定されており、エアコン完備の快適な環境で買い物ができます。

日常の食料品買い物

日々の食料品の買い物では、「カルフール」や「スピンネズ」などの大型スーパーが便利です。また、地元の小さな食料品店「バッカラ(Bakkala)」も至る所にあり、基本的な食材や日用品を手に入れることができます。エジプトでは新鮮な野菜や果物が安価で手に入るのも魅力で、特にナイル川流域で栽培されるマンゴーやグアバなどのトロピカルフルーツは絶品です。

支払い方法と注意点

主要な場所ではクレジットカードも使えますが、小さな店や市場では現金(エジプトポンド)が必要です。また、少額紙幣が不足していることが多いため、小さなお金を持ち歩くのが便利です。 買い物の際にはいくつかの習慣を知っておくと役立ちます。例えば、店に入ると店主から「アトファッダル(Atfaddal):どうぞ」と声をかけられ、しばしばお茶やコーヒーが出されることもあります。これはもてなしの一環なので、時間があれば受け入れると良いでしょう。ただし、それに対する義理立てとして無理に商品を買う必要はありません。

② 知っておきたいエジプト生活のリアル(食事)

エジプト料理はアラブ料理の一種で、地中海料理とアフリカの食文化が融合した独自の発展を遂げています。

エジプト料理の特徴

エジプト料理の特徴は、豆類、野菜、穀物をベースにした健康的な食事にあります。肉(特に鶏肉や牛肉、羊肉)も使われますが、日本と比べると肉の使用量は少なめです。スパイスも使われますが、中東の他の国々と比較すると比較的マイルドな味付けが多いのも特徴です。 代表的なエジプト料理には以下のようなものがあります:
  • コシャリ(Koshari):マカロニ、レンズ豆、米、揚げタマネギを層にして、トマトソースをかけた国民食
  • フル・メダメス(Ful Medames):そら豆の煮込み料理で、特に朝食によく食べられます
  • モロヘイヤ(Molokhia):緑色の葉野菜を使ったスープ状の料理で、米や肉と一緒に食べます
  • クーシャ・マフシー(Kousa Mahshi):ズッキーニに肉と米を詰めて煮込んだ料理
  • タアメヤ(Taamiya):エジプト風ファラフェル(ひよこ豆やそら豆のコロッケ)

食事のリズムと習慣

エジプトの食事は通常、朝食「フトゥール(Futur)」、昼食「ガダー(Ghada)」、夕食「アシャー(Asha)」の3食です。一般的に昼食が最も重要で豪華な食事とされ、家族が集まって食べることも多いです。夕食は比較的遅い時間(20時〜22時頃)に取ることが一般的です。 エジプト人はパン「エイシュ(Eish)」を非常に重視します。特に「エイシュ・バラディ(Eish Baladi)」と呼ばれるピタパンのようなパンは、ほぼ全ての食事に欠かせません。このパンは料理をすくったり、包んだりするのに使われます。

外食文化

エジプトでは外食も盛んで、特にカイロなどの大都市では様々なレストランが軒を連ねています。地元の食堂「クシャリ店」や「フル・メダメス店」では数ドルで満足のいく食事ができる一方、高級レストランやインターナショナルチェーンも増えています。 また、カフェ文化も発達しており、「アフワ(Ahwa)」と呼ばれる伝統的なカフェでは紅茶「シャーイ(Shai)」や水タバコ「シーシャ(Shisha)」を楽しみながら長時間過ごすのが一般的です。

食事のマナーとエチケット

イスラム教の国であるため、食事に関するいくつかの宗教的な習慣があります。例えば、多くのエジプト人は豚肉を食べず、ラマダン(断食月)には日の出から日没まで飲食を断ちます。訪問者がこれらのルールに従う必要はありませんが、公共の場での飲食はラマダン中は控えめにするのがマナーです。 また、エジプトでは右手で食べるのが基本的なマナーです。伝統的なレストランや家庭では、手で直接食べる料理も多いです。そのため、食事前後に手を洗う設備が用意されていることが一般的です。    

③ 知っておきたいエジプト生活のリアル(休日)

エジプト人の休日の過ごし方には、独特の文化や習慣が反映されています。

週末の過ごし方

エジプトの週末は金曜日と土曜日です(一部の企業や学校は木曜日も休み)。金曜日は多くのイスラム教徒が「金曜礼拝」に参加するため、午前中は街が比較的静かになります。午後になると家族や友人と集まって過ごすことが多く、公園やナイル川沿いのレストラン、カフェなどが賑わいます。 特に人気なのは「コルニーシュ(Corniche)」と呼ばれるナイル川沿いの遊歩道での散歩です。カイロやアレキサンドリアなどの都市では、週末の夕方になるとコルニーシュは家族連れやカップルで賑わい、路上の露店で軽食を買いながら歩くのが一般的な楽しみ方です。

カフェ文化と社交

エジプト人の休日の過ごし方として特筆すべきは「カフェ文化」です。特に男性は「アフワ」と呼ばれる伝統的なカフェで友人と集まり、紅茶を飲みながらトーキー(バックギャモンに似たボードゲーム)やカードゲームをして何時間も過ごすことがあります。 女性は友人や親族の家を訪問して交流するのが一般的ですが、近年は女性も利用できるモダンなカフェが増え、若い世代を中心に男女問わずカフェでの社交が楽しまれています。

家族との時間

エジプトでは家族との時間が非常に重要視されています。特に週末の昼食は家族が集まる大切な機会で、料理の準備から食事、そして食後のお茶の時間まで、長時間家族と過ごすのが一般的です。 また、夏になると海岸リゾート(アレキサンドリア、シャルム・エル・シェイク、フルガダなど)に家族で出かけて過ごすのも人気です。特にラマダン明けの祝祭「イード・アル=フィトル」など、長期休暇には家族旅行をする習慣があります。

祝日と祭り

エジプトには宗教的な祝日と国民の祝日があります。特に重要なのは上記のイード・アル=フィトルと、イスラム暦の「ズル・ヒッジャ月」に行われるイード・アル=アドハー(犠牲祭)です。これらの祝日中は学校や多くの企業が閉まり、家族との時間や旅行に充てられます。 国民の祝日には「シャム・エル・ネシーム(Sham El Nessim)」という春の訪れを祝う古代からの祭りがあり、この日は宗教を問わず全てのエジプト人が塩漬けの魚「フェシーフ(Feseekh)」を食べたり、公園でピクニックをしたりして春を祝います。

④ 知っておきたいエジプト生活のリアル(家族)

エジプト社会において、家族は最も重要な社会単位とみなされています。

家族の絆と構造

エジプトの家族は非常に結束が強く、拡大家族(祖父母、叔父叔母、いとこなど)との関係も密接です。若者は結婚するまで実家で暮らすことが一般的で、時には結婚後も親と同居または近くに住むこともあります。 家族内では年長者が尊敬され、特に父親や祖父は家の長として重要な決断を下すことが多いです。しかし、母親も家庭内では大きな影響力を持っており、子どもの教育や家庭の運営に関しては主導的な役割を果たします。

結婚と家族形成

結婚はエジプト社会で非常に重要な通過儀礼です。伝統的には家族の紹介による見合い結婚が一般的でしたが、現在の都市部では恋愛結婚も増えています。それでも、結婚は個人の問題ではなく家族全体の関心事とされ、両家の承認を得ることが重要視されます。 結婚式は盛大に行われ、数百人のゲストを招いて何日にも渡って祝うこともあります。また、新居の準備や結婚に関わる費用は、伝統的に花婿側が負担することが多いため、若い男性にとって結婚資金の準備は大きな課題となっています。

子育てと教育

エジプトでは子どもは「神からの贈り物」とされ、大切に育てられます。特に教育は重視され、良い学校に通わせるために多くの家庭が収入の相当部分を教育費に充てています。公立学校の他に私立学校や国際学校も選択肢としてあり、英語やフランス語などの外国語教育にも熱心です。 子どもはしつけられますが、同時に甘やかされる傾向もあり、特に末っ子や男の子は家族の中で特別な地位を持つことが多いです。また、子育ては主に母親の責任とされますが、祖父母や親戚も積極的に関わるのが一般的です。

老人ケア

エジプトでは高齢の親の世話は子どもの責任とみなされています。老人ホームはあまり一般的ではなく、親が年をとると子どもの家で暮らしたり、子どもが親の家に住んで世話をしたりすることが期待されます。 この家族主体のケアシステムは社会的なセーフティネットとして機能している一方で、若い世代が都市部や海外に移住するにつれて、いくらか変化も見られるようになってきています。

⑤ 知っておきたいエジプト生活のリアル(その他)

宗教と日常生活

エジプト人口の90%以上がイスラム教徒(主にスンニ派)で、残りはコプト正教会などのキリスト教徒です。宗教は社会生活の多くの側面に影響を与えており、一日に5回のお祈りの呼びかけ「アザーン(Adhan)」がモスクから聞こえてくることが日常の一部となっています。 ラマダン(断食月)は特に社会全体に大きな影響を与え、この期間は日没後の食事「イフタール(Iftar)」を家族や友人と共にする特別な時間となります。また、宗教に関係なく休日となる宗教的祝日も多く、イスラム暦に基づいて毎年日付が変わります。

交通事情

特に大都市では交通渋滞が深刻で、道路や交通ルールはしばしば「提案」程度にしか捉えられていません。カイロなどでの移動にはタクシーやUberが便利ですが、メトロ(地下鉄)も安価で効率的な選択肢です。 長距離移動には列車や長距離バスが利用でき、国内航空網も発達しています。ただし、時間感覚はやや緩やかで、予定通りに物事が進まないことも多いため、余裕を持ったスケジュールを立てると良いでしょう。

言語コミュニケーション

公用語はアラビア語(エジプト方言)ですが、観光地や都市部では英語も比較的通じます。特に若い世代や教育水準の高い層では英語能力が高い人も多いです。 エジプト人のコミュニケーションスタイルは一般的に表現豊かで直接的です。会話では身振り手振りを多用し、感情を隠さずに表現することが珍しくありません。また、個人的な質問(結婚しているか、子どもはいるかなど)も普通に尋ねられるので、驚かないようにしましょう。

時間感覚

エジプトの時間感覚は日本よりもゆるやかで、「インシャーアッラー(Insha’Allah:神のご意志があれば)」という言葉がよく使われます。約束の時間に数十分の遅れは珍しくなく、社交的な集まりでは開始時間が大幅に遅れることもあります。 ただし、ビジネスや公式な場での時間厳守の意識は高まってきており、文脈によって時間の捉え方は変わることを理解しておくと良いでしょう。

服装と社会規範

エジプトは比較的リベラルなイスラム国家ですが、特に女性は控えめな服装が推奨されます。女性の場合、肩と膝を覆う服装が基本で、特に宗教施設訪問時には頭にスカーフをかけるのが礼儀です。男性も短パンよりも長ズボンの方が適切とされます。 また、公共の場での男女の身体的接触(特に異性間での抱擁やキス)は避けるべきですが、同性間での身体的接触(腕を組んで歩くなど)は友情の表れとして一般的です。

まとめ

エジプトは歴史的遺産と現代的な生活が共存する魅力的な国です。古代文明の名残を日常的に目にしながらも、活気ある現代社会の中で暮らすという独特の体験ができます。 人々の温かさとおもてなしの精神は、言語や文化の壁を越えて訪問者を魅了します。カイロやアレキサンドリアなどの大都市では、伝統的な市場からモダンなショッピングモールまで、様々な買い物体験が可能です。 食文化も豊かで、コシャリやフル・メダメスといった地元料理から国際的な料理まで、幅広い選択肢があります。また、週末のナイル川沿いの散歩やカフェでの長時間の談笑など、ゆったりとした時間の過ごし方も魅力の一つです。 家族を中心とした社会構造や、宗教が日常生活に与える影響など、日本とは異なる価値観や生活リズムを理解することで、よりスムーズにエジプト社会に溶け込むことができるでしょう。 エジプトでの生活は時に予想外の出来事に遭遇することもありますが、「マレーシュ(Malesh:気にしないで)」という言葉に表されるように、柔軟な姿勢で対応することが大切です。そうすることで、この古くて新しい国での滞在が、かけがえのない経験となることでしょう。 ワンコイングリッシュでは、英語だけでなく文化などについても教えてくれます。他の先生や生徒とコミュニケーションが取れるイベントも盛りだくさんで、海外の文化を知ろうとしている方におすすめの英会話学校です。体験レッスンも受付中ですので、是非活用をご検討ください。  

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