現地人が教えるブラジルで人気のおすすめシュラスコ店5選

ブラジルといえば、世界最高峰の肉料理文化を誇る国として知られています。ガウーショ(カウボーイ)たちが生み出した伝統的なシュラスコ(炭火焼肉)は、今やブラジルの国民的料理として愛され続けています。

そこで今回は、ブラジル・サンパウロ在住12年のカルロスさん(仮名)に、観光ガイドには載っていない、現地人だからこそ知るシュラスコが美味しいお店を5つ教えてもらいました。高級シュラスカリアから地元民愛用の隠れた名店まで、本物のブラジルシュラスコ体験をお届けします。

ブラジルのシュラスコ文化の基本と背景

――ブラジルのシュラスコ文化って、ブラジル人からするとどんな意味を持ってるの?簡単に説明してもらえる?

シュラスコ(正確にはシュハスコ/Churrasco)は、ブラジル人にとって単なる料理以上の意味があるんだよ。17世紀から19世紀にかけて、ブラジル南部の草原地帯でガウーショ(カウボーイ)たちが始めた伝統的な調理法が起源なんだ。

当時は粗塩を振りかけた牛のかたまり肉を串やサーベルに刺し、たき火で何時間もかけて焼きあげていたんだよ。「味つけは岩塩のみ」「かたまり肉を使う」「時間をかけてお肉に火を通す」など、基本的な作り方は現在とほとんど変わらないんだ。

ブラジルでは日曜日にお父さんが家族のためにシュラスコを焼くのが伝統で、誕生日やお祝い、週末に家族や仲間が集まった時の特別な料理なんだよ。単に食事をするだけじゃなくて、みんなでワイワイ楽しみながら時間をかけて食べるのがブラジル流なんだ。

全国に「シュラスカリア」と呼ばれるシュラスコ専門レストランが約3,000店舗あって、これは人口比で世界一の数字だよ。ブラジル人にとってシュラスコは、社会的なコミュニケーションツールであり、文化的アイデンティティの一部なんだ。

――日本人とブラジル人では、肉料理に対する考え方ってどう違うと思う?

これは面白い違いがあるね!まず、ブラジル人は肉を「主役」として考えるんだ。シュラスコでは肉が100%メインで、野菜やサラダは完全に脇役。一方、日本人は肉と野菜のバランスを大切にする印象があるよ。

それから、量に対する感覚も全然違うね。ブラジル人は1回の食事で1kgくらい肉を食べることも珍しくないんだ。シュラスカリアの食べ放題では、平均的な男性で800g〜1kgは食べるよ。日本人はもっと上品に、少量ずつ色々な部位を楽しむスタイルだと思う。

調理法へのこだわりも違うかな。ブラジル人は「炭火で焼く」「岩塩だけで味付け」という伝統を絶対に守るんだ。余計な調味料やソースは邪道だと考える人が多いよ。素材の味を100%引き出すのがシュラスコの哲学なんだ。

あとは、食事の時間の概念も大きく違うね。日本人は効率的に食事を済ませることが多いけど、ブラジル人のシュラスコは2〜3時間かけてゆっくり楽しむのが当たり前。家族や友人と語り合いながら、お肉が焼けるのを待つ時間も含めて「シュラスコ体験」なんだよ。

現地人おすすめ!シュラスコが美味しいお店5選

1. Fogo de Chão(サンパウロ/リオデジャネイロ)

――まず最初におすすめのお店を教えて

サンパウロのフォゴ・デ・チャオンは、間違いなく外せないお店だね。1979年にブラジル南部で創業された老舗で、今やアメリカ全土にも展開している国際的なブランドなんだ。でも、やっぱり本場サンパウロの本店で食べるのが一番だよ。

観光客にはバルバッコアが有名だけど、現地のブラジル人の間ではフォゴ・デ・チャオンの方が人気が高いんだ。特にここの「ピッカーニャ」(牛のお尻の部位、日本ではイチボ)は絶品で、脂と赤身のバランスが完璧なんだよ。

店内はエレガントな雰囲気で、ガウーショ姿のパサドール(肉を切り分けるスタッフ)がテーブルを回ってくるシステムなんだ。彼らは本当にプロフェッショナルで、肉の焼き加減や部位について詳しく説明してくれるよ。

価格は少し高めだけど(1人あたり80〜100レアル程度)、品質とサービスを考えれば妥当だね。地元の人は特別な日や接待で利用することが多いよ。予約は必須だから、事前に電話することをおすすめするよ。

場所: Av Moreira Guimaraes, 964, São Paulo(他にも市内に4店舗)
営業時間: 月-日 11:30-15:00、17:30-23:00
おすすめ部位: ピッカーニャ、フィレミニョン、フランゴ(チキン)

2. Barbacoa(サンパウロ本店)

――2番目のお店は?

バルバッコア・サンパウロ本店は、1990年創業のシュラスカリアで、日本にも進出している有名チェーンの本場だね。ここの素晴らしいところは、ブラックアンガス牛にこだわっていることなんだ。

チルドで輸入して、ウェット熟成22日以上という最も肉の柔らかさが楽しめるベストなタイミングで提供しているんだよ。特に「ピッカーニャ」と「アルカトラ」(赤身中心のもも肉)の質は本当に高いね。

ここの特徴は、焼いたお肉を5分以内にお客様に提供することにこだわっていることなんだ。パサドールが常に最高の状態のシュラスコを持ってくるように心がけているから、いつ食べても焼きたての美味しさを楽しめるよ。

サラダバーとデザートバーも充実していて、40種類以上から選べるんだ。特にポン・デ・ケージョ(チーズパン)は絶品だから、肉ばかりじゃなくてこれも試してみて。

場所: 神宮前4-3-2(表参道の青山本店スタイル)
営業時間: 平日・土 11:30-15:00、17:30-22:00、日祝 11:00-16:00、17:30-22:00
おすすめ部位: ピッカーニャ、アルカトラ、フラウジーニャ

3. Tendall Grill(サンパウロ)

――3番目のお店はどこ?地元の人が通うようなお店もある?

サンパウロのテンダル・グリルは、まさに地元の人が愛用するコスパ最強のシュラスカリアなんだ!観光ガイドには載っていない隠れた名店で、現地在住の日本人の間でも「知る人ぞ知る」お店として有名だよ。

ここの魅力は何といっても価格だね。2人でお腹いっぱい食べて、デザートとコーヒーまで頼んで合計5,000円程度なんだ。でも、安いからといって質が悪いわけじゃない。むしろ、どの部位も最低2回はテーブルに回ってきて切り分けてくれるし、肉の質も申し分ないよ。

特に「ナスのスパイス焼き」がサイドメニューで出てくるんだけど、これが絶品なんだ。ブラジルらしいスパイス使いで、肉の合間の口直しに最高だよ。

ウェイターはポルトガル語しか話さないけど、ボディーランゲージで十分通じるし、みんな親切だから安心して行けるよ。地元の家族連れや若いカップルが多くて、本当にローカルな雰囲気を楽しめるんだ。

場所: Rua Augusta 近郊(詳細住所は現地で確認)
営業時間: 火-日 11:00-23:00(月曜定休)
おすすめ部位: ピッカーニャ、コステーラ(骨付きリブ)、リングイッサ(ソーセージ)

4. Porcão Rio(リオデジャネイロ)

――4番目のお店は?リオデジャネイロのおすすめも教えて

リオのポルカオンは、リオデジャネイロで最も有名なシュラスカリアの一つだね。コパカバーナビーチから近くて、観光客にも人気だけど、地元の人もよく利用するバランスの良いお店なんだ。

ここの特徴は、ビュッフェの充実度が半端ないことだよ。ポン・デ・ケージョはもちろん、野菜、シーフード、なんとお寿司まであるんだ!日本人には嬉しいサプライズだね(笑)。でも、あくまでメインは肉だから、ビュッフェは控えめにしておくことをおすすめするよ。

肉の質も素晴らしくて、特に「ピッカーニャ」と「フランゴ」(若鶏)が絶品なんだ。ブラジルの若鶏は小ぶりだけど、うまみが凝縮されていてジューシーなんだよ。意外かもしれないけど、牛肉と同じくらい人気が高いんだ。

テーブルにある札システム(緑が「もっと欲しい」、赤が「もういらない」)も分かりやすくて、初心者でも安心だね。リオの美しい景色を楽しみながらシュラスコを食べられるのも魅力の一つだよ。

場所: Barra da Tijuca, Rio de Janeiro
営業時間: 月-日 11:30-16:00、18:00-24:00
おすすめ部位: ピッカーニャ、フランゴ、コラサォン(ハツ)

5. Villa Country(サンパウロ)

――最後の5番目のお店は?

ヴィラ・カントリーは、少し変わり種だけど絶対におすすめしたいお店なんだ。厳密にはシュラスカリア専門店じゃなくて、カントリーミュージックのライブハウス兼レストランなんだけど、ここのシュラスコは本格的で美味しいんだよ。

毎週末にはブラジルのカントリーミュージック「セルタネージョ」の生演奏があって、地元の若者たちがカウボーイハットをかぶって踊り回るんだ。まさにガウーショ文化の現代版を体験できる場所だね。

シュラスコは週末限定のビュッフェスタイルで、値段もリーズナブル(1人50レアル程度)なんだ。肉の種類は少し限られるけど、ピッカーニャとリングイッサ(ブラジルソーセージ)の質は素晴らしいよ。

何より、現地の若いブラジル人たちがどんな風にシュラスコを楽しんでいるかを間近で見られるのが貴重な体験だね。みんなフレンドリーだから、一緒に踊ったり写真を撮ったりできるよ。

場所: Avenida Francisco Matarazzo, São Paulo
営業時間: 金-日 20:00-4:00(シュラスコは22:00-2:00)
おすすめ部位: ピッカーニャ、リングイッサ

シュラスコの楽しみ方とマナー

――ブラジルでシュラスコを食べる時のマナーや楽しみ方で、日本人が知っておくべきことは?

シュラスコのマナーは、実はそれほど堅苦しくないんだけど、知っておくと楽しさが倍増するポイントがあるよ。

まず、食べ放題のシステムについてだね。ほとんどのシュラスカリアでは、テーブルに二色の札が置いてあるんだ。緑色を上にすると「お肉をください」、赤色を上にすると「もういりません」の合図なんだよ。

パサドールが肉を切り分ける時は、「ミディアム」「ウェルダン」など焼き加減をリクエストできるんだ。串の下の方は火が強く当たるからウェルダン、上の方はミディアムになってるから、好みを伝えてね。

あとは、肉の食べ方にもコツがあるよ。一度にたくさん取らず、少しずつ色々な部位を試していくのがおすすめだね。ピッカーニャ→アルカトラ→フランゴの順番で食べると、味の違いがよく分かるよ。

口直しには、焼きパイナップルが定番なんだ。パイナップルの酵素が肉の消化を助けてくれるし、甘みが口をさっぱりさせてくれるんだよ。女性にも男性にも人気があって、シュラスコといえば焼きパイナップルを目当てで来る人も多いんだ。

――部位によって違う味わいや、おすすめの食べ方の順番は?

これは本当に重要なポイントだね!シュラスコの部位にはそれぞれ特徴があるから、順番を考えて食べると より楽しめるんだよ。

最初は「ピッカーニャ」から始めることをおすすめするね。牛のお尻の部位で、脂と赤身のバランスが良くて、肉の味わいを存分に楽しめるんだ。これがシュラスコの代表格だから、まずはこれでブラジルの味を覚えてほしいな。

次は「アルカトラ」(牛のもも肉)がいいよ。ピッカーニャより脂身が少なくて、さっぱりしているのに旨味たっぷりなんだ。赤身好きにはたまらない部位だね。

「フラウジーニャ」(カイノミ)は、肉汁がたっぷりで噛み応えがあるから、3番目くらいがちょうどいいかな。このあたりで一度焼きパイナップルを挟むと、口がリフレッシュされるよ。

「フランゴ」(チキン)は、実は隠れた人気部位なんだ。ブラジルの若鶏は小ぶりだけど、うまみが凝縮されていてジューシーなんだよ。牛肉ばかりで重くなった時の口直しにも最適だね。

最後に「リングイッサ」(ブラジルソーセージ)で締めるのが定番だよ。スパイシーで香ばしくて、お酒にもよく合うんだ。

シュラスコ体験をより深めるためのアドバイス

――観光客がブラジルでシュラスコを楽しむ時に、より本格的な体験をするためのコツは?

本格的なブラジルシュラスコ体験をしたいなら、いくつかのコツがあるよ。

まず、時間帯が重要だね。地元の人と一緒にシュラスコを楽しみたいなら、日曜日の昼間(12時〜15時頃)がベストだよ。ブラジル人は日曜日にファミリーでシュラスカリアに行く習慣があるから、本当にローカルな雰囲気を体験できるんだ。

あとは、ポルトガル語で簡単な挨拶を覚えておくといいね。「オラー」(こんにちは)、「オブリガード/オブリガーダ」(ありがとう)、「ムイト ゴストーゾ」(とても美味しい)くらい覚えておけば、パサドールとのコミュニケーションが楽しくなるよ。

シュラスコに合わせるドリンクも重要だね。ブラジル人の定番は「カイピリーニャ」だよ。カシャーサ(サトウキビの蒸留酒)とライムで作る国民的カクテルで、肉の脂っこさをさっぱりさせてくれるんだ。

料理の組み合わせでは、「フェイジョアーダ」(黒豆と肉の煮込み)も一緒に注文することをおすすめするよ。これはブラジルの国民食で、シュラスコと合わせて食べると、より深いブラジル料理体験ができるんだ。

――初心者におすすめの部位や食べ方のアドバイスは?

初心者の方には、クセの少ない部位から始めて、徐々に個性的なものに挑戦するのがおすすめだね。

最初は絶対に「ピッカーニャ」から始めてほしいな。これはシュラスコの王様で、脂と赤身のバランスが完璧だから、ブラジルの肉文化を理解する入り口として最適なんだよ。

次に「フィレミニョン」(牛ヒレ)を試してみて。これは日本人にも馴染みがある部位だから、安心して楽しめるはずだよ。柔らかくて上品な味わいが特徴だね。

慣れてきたら「フランゴ」(チキン)に挑戦してみて。ブラジルのチキンは本当に美味しいから、牛肉とは違った魅力を発見できるよ。

最後に「コラサォン」(ハツ)や「リングイッサ」(ソーセージ)など、より個性的な部位に挑戦してみるといいね。これらは好みが分かれるけど、ブラジルのシュラスコ文化の多様性を実感できるよ。

大切なのは、無理をしないことだね。量が多いから、最初はゆっくり少しずつ食べて、自分のペースで楽しむことが一番だよ。ブラジル人も「ゆっくり楽しむ」ことを大切にしているから、急がずに2〜3時間かけて味わってほしいな。

まとめ

ブラジルのシュラスコ文化は、単なる肉料理を超えた深い文化的意味を持っています。ガウーショたちが生み出した伝統的な調理法から現代的なシュラスカリアまで、その多様性と情熱こそがブラジルシュラスコの魅力なのです。

今回紹介した5つのお店は、それぞれ異なる角度からブラジルシュラスコ文化を体験できる場所です。高級シュラスカリアで特別な日を祝うも良し、ローカル店で現地の雰囲気を味わうも良し。現地人だからこそ知る本物の体験を楽しんでください。

重要なのは、シュラスコを通じて地元の人々と交流し、その土地の文化に触れることです。言葉の壁があっても、「ムイト ゴストーゾ!」(とても美味しい!)の一言で始まる友情は、きっと忘れられない旅の思い出となるでしょう。

Bom apetite!(ボン・アペチーチ!=召し上がれ!)

この記事を書いた世界人

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