「のんびりした母国から日本の真剣さへ」マレーシア育ちのインドネシア人が見た日本の価値観

20代のAres Arradさんは、インドネシア出身でマレーシアで育ち、日本での滞在が2年になります。イスラム教徒として、また東南アジアのよりリラックスした文化的背景を持つ彼にとって、日本での生活は根本的な変化をもたらしました。今回のインタビューでは、彼の目に映る日本の姿と、自身の変化について語っていただきました。
――日本での滞在はどれくらいになりますか?
「2年になります。20代のうちに来日しました。インドネシア出身ですが、マレーシアで育ちました。」
――日本に来てから、ご自身の中で何か変化を感じることはありますか?
「日本に移住したことで、私は根本的に変わりました。特に、日常生活のあらゆる面で真剣さを受け入れるようになりました。時間厳守、プロフェッショナリズム、そして社会的関係を維持する繊細な技術に深く重点を置く日本文化が、仕事と個人的な交流の両方に対する私のアプローチを変えました。
さらに、マナーと尊敬に置かれる社会的価値は、私の職業的な態度を向上させただけでなく、興味深いことに、私の内向的な特性を際立たせました。この日本生活への没入は、これらの美徳への理解と実践を洗練させました。これは、皆がもっとのんびりしている母国では学ぶことができなかったものです。」
――来日前の日本のイメージと、実際に経験した日本との間にギャップはありましたか?
「ここに来る前の最初の考えは、イスラム教徒として生活するのが困難だろうということでした。特にハラル食品を見つけたり、礼拝する場所を見つけたりすることです(私は1日5回礼拝しなければなりません)。また、人々が私の信仰に対してもっと批判的だろうと思っていました。
しかし実際には、日本人はとても寛容で思いやりがあります。ハラルの食べ物の選択肢がたくさんあり(本格的な日本料理でさえも)、礼拝のためのスペースもたくさん提供されています。時には駐車場で礼拝することもできますが、人々は全く気にしません!
これは私にとって最も予想外で嬉しい発見でした。」
――日本人の価値観や考え方で驚いたことはありますか?
「日本に到着した後、日本人が自分の行動が他者にどのような影響を与えるかについて深く配慮していることに驚きました。彼らは誰にも迷惑をかけないよう努め、どんな親切に対しても報いる強い義務感を感じ、しばしば感謝の気持ちで期待以上のことをします。
例えば、私が同僚のために仕事の範囲内で単純にタスクを実行しただけなのに、彼はそれを私への迷惑だと受け取り、翌日チョコレートでいっぱいの箱で寛大に応えてくれました。お返しは必要ないと保証したにもかかわらず、このジェスチャーは、日本人が本当に人々の時間と努力を大切にしていることを浮き彫りにしました。
この細やかな配慮と感謝の文化は、私にとって非常に印象深いものでした。」
――日本でまた訪れたい場所はありますか?
「神奈川県の城ヶ島には絶対にもう一度行きたいです。理由は、アクセスしやすく、たくさんのかわいい猫がうろうろしていて、素晴らしいピクニックスポットもあり、海岸と見事な岩石層の非常に美しい景色があるからです!
神奈川県の愛川町も再訪したい場所です。理由は、住んでいる場所からそれほど遠くなく、滝、巨大なダム(宮ヶ瀬ダム)などの隠れた宝石があり、星空観測のための素晴らしいキャンプスポットがたくさんあるからです!
神奈川県の松田市も魅力的です。この場所は早春の体験には必見です。早咲きの桜(西平畑公園)がたくさんあり、2月には梅の花(曽我梅林)もあります。」
――逆に、もう訪れたくないと思う場所はありますか?
「東京(例:渋谷、新宿など)、京都、大阪です。私は混雑した場所があまり好きではありません。その場所がどんなに美しくても、混雑していれば楽しむことができません。
残念ながら私の学校は東京の最も賑やかな都市の一つに位置していますが、少なくとも便利ではあります。でも観光として選ぶ場所ではありませんね。」
Aresさんの話からは、イスラム教徒として、また東南アジアのよりリラックスした文化的背景を持つ彼が、日本社会の「真剣さ」と「配慮の深さ」に感銘を受けている様子がうかがえます。宗教的な懸念を持って来日したものの、日本社会の寛容性と包容力を発見し、予想を超えた居心地の良さを感じています。日本人の他者への配慮と感謝の文化に深く感動し、それが自身の人格形成にも大きな影響を与えていることが印象的です。また、混雑を避けて神奈川県の隠れた名所を発見し、自然との触れ合いを大切にする価値観も、日本での生活を通じて培われた彼らしい視点と言えるでしょう。