【日本在住ベトナム人に聞いた!】知っておきたいベトナムの文化 ~留学、長期滞在、移住、短期滞在・旅行の参考に~

ベトナムってどんな国? 日本からのイメージ

ベトナムは東南アジアのインドシナ半島東部に位置し、南北に細長いS字型の国土を持つ国です。北部の中国から南部のメコンデルタまで、約1,650kmにわたって広がっています。人口は約9,700万人で、首都ハノイと最大の商業都市ホーチミンシティを中心に発展を続けています。

日本人からのイメージとしては、「戦争の歴史」「バイクであふれる道路」「フォーなどの美味しい料理」「親日国」「発展途上の活気ある国」といったものが多いでしょう。また、近年では「製造業の拠点」「IT人材の宝庫」「魅力的な観光地」として注目を集めています。コーヒーの生産地としても知られ、独特のエッグコーヒーは多くの日本人観光客が試してみたい名物の一つです。

ベトナムで暮らす/ベトナムに行くメリットについて

ベトナムで暮らすメリットとしては、まず物価の安さが挙げられます。住居費、食費、交通費など、基本的な生活コストは日本の3分の1から半分程度で済むことが多いです。特に地方都市では、より安価に生活することが可能です。

また、経済成長率が高く、様々なビジネスチャンスに恵まれています。特にIT産業や製造業、観光業などの分野では、日本人の知識や経験が活かせる場面も多いでしょう。

気候も温暖で、特に中部や南部では一年中温かく過ごせます。北部は四季があり、日本人には馴染みやすい環境です。自然環境も豊かで、美しいビーチや山岳地帯、世界遺産に登録された景勝地も多く存在します。

旅行者にとっては、多彩な観光スポットと美味しい料理、そして温かいホスピタリティが魅力です。歴史的建造物、自然景観、伝統文化などを比較的安価に楽しむことができます。また、観光インフラも年々整備されており、快適に旅行できる環境が整ってきています。

 

 

① 知っておきたいベトナムの文化(歴史)

— ベトナムの歴史で日本人があまり知らないことってある?

ベトナムの歴史は非常に長く複雑ですが、特に日本人があまり知らない点としては、中国の支配から独立を勝ち取った女性将軍の存在があります。チュン姉妹(Hai Bà Trưng)は紀元40年頃、中国の漢に対して蜂起し、一時的にベトナムの独立を達成した女性指導者です。現在でも国民的英雄として崇められ、彼女たちを祀る寺院や記念日があります。

また、多くの日本人はベトナム戦争を知っていますが、その前にフランスとの独立戦争(第一次インドシナ戦争)があったことはあまり知られていません。1946年から1954年まで続いたこの戦争では、ディエンビエンフーの戦いでベトナム軍がフランス軍に勝利し、これが植民地支配からの独立につながりました。

さらに意外かもしれないのは、16世紀から17世紀にかけて日本とベトナムの間に活発な交流があったことです。特にホイアンには「日本橋」と呼ばれる日本人街があり、多くの日本人商人が住んでいました。江戸時代初期には朱印船貿易が行われ、日越関係の歴史は400年以上前にさかのぼります。

— ベトナム人が大切にしている歴史的な出来事や伝統ってどんなもの?

ベトナム人が最も大切にしている歴史的な出来事は、紀元前3世紀頃の建国神話にまでさかのぼります。雄王(フン・ブオン)が国を建てたという伝説は国民的アイデンティティの源となっており、毎年4月には「フンヴオン王記念日」として祝われています。

また、13世紀のモンゴル軍の侵攻を3度撃退した歴史も誇りとされています。特にチャン・フン・ダオ将軍の指揮の下での勝利は、世界史的にも稀な「モンゴル帝国に勝った国」としての誇りの源になっています。

伝統文化としては、「水上人形劇」が独特で重要なものです。11世紀にさかのぼるこの芸術形式は、田んぼの水たまりを舞台に始まり、現在では専用の水槽で人形遣いが水中に立って操る形で上演されています。農業や漁業、伝説の場面などを表現した作品が多く、ベトナムの農村文化を伝える重要な伝統芸能です。

— ベトナムの歴史で日本との関係はどうだった?

ベトナムと日本の歴史的な関係は意外と古く、16世紀まで遡ります。徳川家康の朱印船貿易の時代、多くの日本人商人がホイアンなどに渡り、「日本町」を形成していました。現在もホイアンには「日本橋」が残っており、当時の交流の証となっています。

近代になると、第二次世界大戦中の1940年代には日本軍がフランス領インドシナ(現在のベトナム)に駐留しました。この時期は複雑な歴史ですが、戦後、多くの日本兵がベトナム独立運動に参加したことはあまり知られていない事実です。「日本兵ベトナム独立義勇軍」として数百人の元日本兵がベトハミン(ベトナム独立同盟)に参加し、フランスとの独立戦争に貢献しました。

現代では、日本はベトナムにとって最大の政府開発援助(ODA)提供国であり、経済的関係も非常に強いです。日本企業のベトナム進出も活発で、特に製造業や小売業では日系企業が多く見られます。また、ベトナムからは多くの技能実習生や留学生が日本に来ており、人的交流も盛んになっています。

② 知っておきたいベトナムの文化(コミュニケーション)

— ベトナム人と話すとき、気をつけた方がいいことってある?

ベトナム人とのコミュニケーションで気をつけたいのは、まず敬語の使い方です。ベトナム語には相手との関係性や年齢によって変わる複雑な呼称システムがあります。例えば、年上の男性には「アイン」、年下の男性には「エム」と呼びかけるなど、相手との関係性を明確にする言葉遣いが重要です。

また、ベトナム人は「面子(メンツ)」を非常に大切にします。公の場で相手を批判したり、恥をかかせたりすることは極力避けるべきです。特にビジネスの場では、問題点を指摘する際も、相手のプライドを傷つけないよう配慮することが大切です。

ベトナム人との会話では、家族のことを尋ねるのは良いコミュニケーションの手段です。特に子どもや両親の話題は歓迎されます。ただし、給料や収入について直接的に質問するのは避けた方が無難です。また、政治や宗教に関する深い議論も、親しい間柄でない限りは避けるのが良いでしょう。

— ベトナム人の独特な挨拶や会話の習慣ってどんなもの?

ベトナム人の挨拶は、西洋のような握手やハグではなく、軽く会釈する程度が一般的です。特に目上の人に対しては、両手を胸の前で軽く合わせる「合掌」のようなジェスチャーをすることもあります。

特徴的なのは、初対面での質問です。日本では「お仕事は何をされていますか?」などと聞くことが多いですが、ベトナムでは「何歳ですか?」「結婚していますか?」「子どもはいますか?」といった質問が一般的です。これは失礼な質問ではなく、相手との関係性を把握するための自然な会話なのです。

また、食事に誘う言葉「アンコムチュア?」(ご飯食べた?)は単なる挨拶表現であり、実際に食事に誘っているわけではありません。これは「調子はどう?」のような意味合いの日常的な挨拶です。

会話の中では、相槌を打つことが重要視されます。「ウィー」(はい)と頻繁に相槌を打つことで、相手の話をしっかり聞いているという意思表示になります。

— ベトナム人の非言語コミュニケーションで特徴的なものはある?

ベトナム人の非言語コミュニケーションでは、まず頭や肩に触れることに注意が必要です。特に目上の人や初対面の人の頭に触れるのはタブーとされています。子どもの頭をなでることも、親しい間柄でない限りは避けた方がよいでしょう。

また、指さしは失礼とされることがあります。人を指すときは、手のひら全体を使うか、あごをしゃくるジェスチャーを使うのが一般的です。

公共の場での大きな笑い声や大声での会話は、都市部ではマナー違反と見なされることがあります。特に寺院や霊廟などの神聖な場所では、静かに振る舞うことが求められます。

興味深いのは、微笑みの文化です。ベトナム人は困った状況や緊張した場面でも微笑むことがあります。これは必ずしも同意や喜びを表すものではなく、時には困惑や恥ずかしさを隠すための表情でもあります。コミュニケーションの文脈を理解して解釈することが大切です。

 

 

③ 知っておきたいベトナムの文化(プレゼント)

— ベトナムでプレゼントを贈る時のマナーってどんなもの?

ベトナムでプレゼントを贈る際のマナーとしては、まず両手で渡すことが丁寧とされています。特に目上の人や年配者に贈る場合は、必ず両手で差し出しましょう。

包装については、華やかな色が好まれます。特に赤や黄色、金色などの明るい色は幸運を象徴し、喜ばれます。ただし、白や黒の包装紙は葬儀を連想させるため避けるべきです。

贈り物を受け取った際に、その場ですぐに開封しない習慣があります。これは贈り物の価値よりも気持ちを大切にする文化の表れです。もし相手がその場で開けない場合は、失礼と思わず、むしろ伝統的なマナーだと理解しましょう。

また、ベトナムでは奇数のものを贈ることが好まれます。例えば花を贈る際は、偶数ではなく奇数本(3本、5本など)を選ぶと良いでしょう。ただし、4は「死」を連想させる数字として避けられることがあります。

— どんな時にどんなプレゼントを贈るのが一般的?

ベトナムでは、テト(旧正月)の時期に贈り物を交換する習慣があります。この時期には、果物(特に形のいいみかんや柿)、お菓子の詰め合わせ、高級茶葉などが定番です。また、子どもや若い未婚者には「リーシー」という赤い封筒にお金を入れて贈る習慣もあります。

結婚祝いとしては、実用的な家電製品やホームアクセサリー、食器セットなどが喜ばれます。伝統的には赤や金色で装飾された品物が幸運を呼ぶとされています。

出産祝いには、赤ちゃん用の衣服や布団、おもちゃなどが一般的です。特に冬生まれの赤ちゃんには暖かい服や帽子が喜ばれます。また、母親へのケアグッズも思いやりのある贈り物と考えられています。

訪問の際の手土産としては、高級フルーツ、お菓子、輸入品のチョコレートなどが適しています。特に日本からの訪問者であれば、日本のお菓子や小物は珍しさもあって喜ばれるでしょう。

— ベトナムでは贈ってはいけないものってある?

ベトナムで避けるべき贈り物としては、まず尖ったものや鋭利なものがあります。ナイフや鋏などは、「関係を切る」という不吉な意味合いを持つと考えられているため、贈り物には適していません。

また、時計も避けた方が無難です。時計(「ドンホー」)の発音が「終わりの時」を意味する言葉に似ているため、特に年配者への贈り物としては不適切とされています。

ハンカチも伝統的には涙を拭くものとして、悲しみを連想させるため避けられることがあります。特に年配者への贈り物としては不向きです。

白い花、特にキクやユリは葬儀に使われることが多いため、贈り物としては避けるべきです。また、緑の帽子も男性には絶対に贈らないようにしましょう。これは「浮気された男性」を意味するスラングに関連しているためです。

④ 知っておきたいベトナムの文化(食文化)

— ベトナム料理の基本的な考え方や特徴ってどんなもの?

ベトナム料理の基本的な考え方は「陰陽五行」の思想に基づいています。料理には五つの味(甘い、塩辛い、酸っぱい、辛い、苦い)と五つの要素(木、火、土、金、水)のバランスを重視します。これにより、栄養バランスに優れた健康的な料理が多いのが特徴です。

また、ハーブや香辛料を豊富に使うことも特徴的です。パクチー、ミント、バジル、レモングラスなど、様々な香草が料理に深みと爽やかさを加えています。これらは料理の風味を高めるだけでなく、薬効があるとも考えられています。

米を主食とするアジアの国ですが、フランス統治時代の影響でバゲットを使った料理(バインミー)も発達しました。また、ヌクマム(魚醤)は多くの料理に使われる基本調味料で、独特の旨味を生み出しています。

地域によっても特徴が異なり、北部は比較的あっさりした味付け、中部は辛い料理が多く、南部は甘めの味付けが特徴的です。特に中部のフエ料理は宮廷料理の影響を受けた繊細な味わいで知られています。

— 日本人が意外と知らないベトナム料理のマナーってある?

ベトナム料理を食べる際のマナーで意外と知られていないのは、箸の使い方です。箸を器に突き立てることは日本と同様にタブーですが、ベトナムでは食事の終わりに箸を器の上に平行に置くのではなく、テーブルに直接置くことが一般的です。

また、共同の取り分け用の取り箸がない場合も多いです。自分の箸で直接共有の皿から取ることが普通であり、これは失礼にはあたりません。ただし、目上の人がいる場合は、最初に取り分けてもらうのを待つのがマナーです。

フォー(米粉のスープ麺)やブン(春雨状の麺)を食べる際は、レモンやナンプラー、唐辛子などの調味料を自分好みに調整します。これは食事の楽しみ方の一つと考えられており、むしろ調整せずにそのまま食べるほうが珍しいとされています。

また、ベトナムの食事はスープから始まるのではなく、主食と一緒に食べるスタイルです。スープを最後に取っておくという日本の習慣とは異なります。

— ベトナム人の食事の時間帯や食事のスタイルは日本と違う?

ベトナム人の食事時間は日本よりも全体的に早い傾向があります。朝食は6時~7時頃、昼食は11時~12時頃、夕食は18時~19時頃が一般的です。特に朝食の文化が発達しており、フォーなどの温かい麺類を朝から屋台で食べる習慣があります。

食事のスタイルは家族や友人と円卓を囲んで、複数の料理を全員でシェアするのが基本です。個々に一人分ずつ料理が出されるのではなく、中央に複数の料理が並び、各自が少しずつ取り分けて食べます。日本の定食スタイルとは大きく異なるこの食べ方は、家族や友人との絆を深める重要な文化となっています。

また、都市部では外食文化が非常に発達しており、特に朝食と昼食は屋台や小さな食堂で済ませる人が多いです。路上の小さなプラスチックの椅子に座って食べるスタイルは、ベトナムの日常風景として親しまれています。

食後にはお茶(特に緑茶)を飲む習慣があり、これは消化を助け、口の中をさっぱりさせるためとされています。また、食後のデザートとしてトロピカルフルーツを食べることも一般的です。

⑤ 知っておきたいベトナムの文化(その他)

— ベトナムの伝統的な服装について教えて

ベトナムの伝統的な民族衣装として最も有名なのは「アオザイ」です。体にフィットした上着と緩やかなパンツからなるこの衣装は、特に女性が結婚式や旧正月などの特別な行事で着用します。現代では学校の制服や公式行事の際の服装としても使われています。男性用のアオザイもありますが、現在ではあまり日常的には着られません。

北部の山岳地帯に住む少数民族には、それぞれ独自の民族衣装があります。例えば、モン族の女性は藍染めの麻布に色鮮やかな刺繍を施した衣装を着用します。観光地のサパなどでは、これらの伝統衣装を見ることができます。

日常着としては、特に農村部では「ノンラー」と呼ばれる円錐形の麦わら帽子が実用的な帽子として今でも使われています。これは強い日差しや突然のスコールから身を守るのに役立ちます。

現代のベトナムでは、特に若い世代は西洋風の服装が一般的になっていますが、伝統的な要素を取り入れたファッションも人気があります。特に都市部では、アオザイの生地や刺繍のパターンを現代的にアレンジした服も見られます。

— ベトナムの若者文化で最近のトレンドは?

ベトナムの若者文化で最近最も影響力があるのは、K-POPやK-ドラマを中心とした韓国文化の人気です。韓国のファッション、メイク、音楽、映画などに強く影響を受けており、韓国アイドルのファッションを真似る若者も多く見られます。

SNSの活用も盛んで、特にTikTokやInstagramは若者の間で絶大な人気を誇ります。「インスタ映え」するカフェやレストランは常に若者で賑わい、写真撮影のための装飾に工夫を凝らした店舗が増えています。

コーヒー文化も独特で、特に「エッグコーヒー」や「ココナッツコーヒー」などの創作ドリンクが人気です。おしゃれなカフェで勉強やリモートワークをする若者の姿も増えています。

また、環境問題への意識も高まっており、プラスチックストローの使用を控えたり、エコバッグを使用したりする若者も増えています。特に都市部の教育水準の高い若者を中心に、持続可能なライフスタイルへの関心が高まっています。

— ベトナム旅行で知っておくと役立つヒントやコツは?

ベトナム旅行の際に役立つヒントとしては、まず交通事情への対応があります。特に大都市では、道路を横断するのが初めての旅行者には難しく感じられます。絶え間なく流れるバイクの波の中を渡るコツは、ゆっくりと一定のペースで進むことです。急に止まったり走ったりすると、バイクの運転手が予測できず危険です。

また、買い物では値段交渉が基本です。特に観光地やマーケットでは、最初に提示される価格は大幅に高く設定されていることがほとんどです。地元の相場の半分から3分の2程度を目安に交渉するのが良いでしょう。ただし、笑顔で友好的に交渉することが大切です。

気候に関しては、地域によって大きく異なります。北部は四季があり、冬は冷え込むこともあります。一方、南部は一年中暑いですが、雨季(5月~10月頃)にはスコールが頻繁に発生します。旅行計画はこうした気候の違いを考慮して立てるのが賢明です。

食事面では、屋台や地元の人で賑わう小さなレストランで食べることも一つの楽しみですが、衛生状態が心配な場合は、水道水を使った氷や生野菜には注意が必要です。ミネラルウォーターや加熱済みの食べ物を選ぶのが安全です。

まとめ

ベトナムは長い歴史と豊かな文化を持つ国であり、日本とも深いつながりがあります。その複雑な歴史は現代の国民性や文化にも大きく影響しており、伝統を大切にしながらも急速に発展している面白い国です。

コミュニケーションでは、敬語や面子の文化、非言語的なサインの重要性など、日本とは異なる特徴があります。これらを理解することで、ベトナム人との交流がより円滑になるでしょう。

プレゼントに関する習慣や、食文化の特徴、伝統衣装、若者文化など、様々な側面からベトナム文化を知ることで、単なる観光以上の深い体験ができるはずです。特に食文化は地域によって大きく異なり、その多様性を楽しむことがベトナム旅行の大きな魅力の一つといえます。

ベトナムへの留学や旅行、長期滞在を計画している方は、こうした文化的背景を理解しておくことで、より充実した経験ができるでしょう。また、日本に住むベトナム人との交流においても、お互いの文化を尊重し理解することで、より深い絆を築くことができます。

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