【日本在住スペイン人に聞いた!】知っておきたいスペインの文化 ~留学、長期滞在、移住、短期滞在・旅行の参考に~

スペインってどんな国? 日本からのイメージ

スペインはイベリア半島の大部分を占める国で、多様な地域文化と豊かな歴史を持っています。日本の方々からは「情熱の国」「フラメンコ」「闘牛」「サッカー」「パエリア」「サグラダファミリア」などのイメージが強いようですが、実際のスペインはそれ以上に多面的で複雑な魅力に溢れています。

スペインは17の自治州に分かれ、それぞれが独自の言語や文化、伝統を持っています。カタルーニャ州のカタルーニャ語、バスク州のバスク語、ガリシア州のガリシア語など、スペイン語(カスティーリャ語)以外にも複数の公用語が存在します。

温暖な気候、美しい自然、豊かな食文化、そして陽気でフレンドリーな人々が、スペインの大きな魅力となっています。

スペインで暮らす/スペインに行くメリットについて

スペインで暮らしたり、訪れたりするメリットは数多くあります。まず、地中海性気候の恩恵を受け、年間を通して温暖な気候が楽しめます。特に北部の緑豊かな地域から南部の乾燥した地域まで、多様な自然環境があります。

また、世界遺産が豊富で、ガウディの建築物、アルハンブラ宮殿、サンティアゴ・デ・コンポステーラなど、歴史的・文化的な見どころが満載です。食文化も非常に豊かで、地域ごとに特色ある料理が楽しめます。

生活面では、比較的物価が安く、特に食料品や外食、公共交通機関などは日本よりもリーズナブルです。また、家族を大切にする文化や、人生を楽しむ「生活の質」を重視する価値観は、訪れる人や移住する人に新たな視点を与えてくれます。

 

 

① 知っておきたいスペインの文化(歴史)

スペインの歴史で日本人があまり知らないけど面白いことってある?

スペインの歴史は非常に豊かで複雑ですが、多くの日本人が知らない興味深い事実がたくさんあります。最も興味深いのは、8世紀から15世紀までの約800年間、イベリア半島の大部分がイスラム勢力の支配下にあったことです。「アル・アンダルス」と呼ばれたこの時代には、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の文化が共存し、科学、芸術、建築、医学などの分野で大きな発展がありました。

このイスラム文化の影響は現代のスペイン建築や言語、料理にも色濃く残っています。例えば、スペイン語の約4,000語はアラビア語起源で、「アルコール」「アルゴリズム」などの言葉もアラビア語から来ています。また、セビリアのアルカサル、コルドバの大モスク、グラナダのアルハンブラ宮殿など、素晴らしいイスラム建築が今も残っています。

また、多くの日本人が意外に思うのは、スペインは1492年のアメリカ大陸「発見」以降、世界最大の帝国となり、「太陽の沈まない帝国」と呼ばれていたことです。南北アメリカの大部分、フィリピン、カリブ海の島々など広大な領土を持ち、16世紀末には日本とも交流がありました。その影響で現在、世界で約5億人がスペイン語を母語としています。

② 知っておきたいスペインの文化(コミュニケーション)

スペイン人のコミュニケーションの取り方って日本と違う?何か気をつけることはある?

スペイン人のコミュニケーションスタイルは日本人とはかなり異なります。まず、スペイン人は非常にオープンで直接的です。思ったことをそのまま言うことが多く、遠回しな表現や「空気を読む」という概念はあまりありません。

物理的な距離も日本より近く、会話の際には相手に近づいて話します。挨拶では女性同士、または男性と女性の間では頬にキスをします(実際には頬を軽く触れ合わせるだけですが)。男性同士は強く握手したり、肩を抱き合ったりします。これは初対面でも行われることがあり、驚く日本人も多いです。

また、スペイン人は会話を重視し、沈黙を不快に感じる傾向があります。レストランやカフェではいつも賑やかで、大きな声で話し、笑い声が絶えません。日本のように静かに食事をすることはあまりなく、会話を楽しみながら食べるのが一般的です。

時間の概念も異なり、約束の時間に15〜30分程度遅れても全く問題とされないことが多いです。ビジネスミーティングでも同様で、日本のような時間厳守の文化はあまりありません。

スペイン語の面白い表現とか、日本語にはない言い回しってある?

スペイン語には面白い表現がたくさんあります。例えば「Estar como una cabra」(ヤギのようだ)という表現は「頭がおかしい」という意味です。また「No tener pelos en la lengua」(舌に毛がない)は「遠慮なく話す」という意味で使われます。

感情表現も豊かで、「Te quiero」(愛している)という言葉は家族や友人にも気軽に使います。日本では「愛している」と言うのはかなり特別な場面に限られますが、スペインではもっと日常的に使われます。

また、スペイン語では主語を省略することが多いため、文脈から誰の話をしているのかを理解する必要があります。「¿Cómo estás?」(元気?)のように、主語の「tú」(あなた)は省略されるのが普通です。

言葉遣いも地域によって大きく異なり、スペイン本国のスペイン語と南米のスペイン語では発音や語彙に違いがあります。例えば、「coche」(車)はスペインでは一般的ですが、南米では「carro」や「auto」を使うことが多いです。

 

 

③ 知っておきたいスペインの文化(プレゼント)

スペインではどんなプレゼントが喜ばれる?特別な日にあげるものとかある?

スペインでのプレゼント文化は日本とはやや異なります。まず、誕生日や名前の日(聖人の日)にはプレゼントを贈るのが一般的です。名前の日というのは、カトリックの伝統で、自分と同じ名前の聖人を祝う日のことで、スペイン人にとっては誕生日と同じくらい重要な日です。

家に招かれた際には、ワイン、チョコレート、花などを持参するのが一般的です。ただし、花を贈る場合は注意が必要で、赤いバラは恋愛感情を表し、菊は葬式を連想させるので避けた方が良いでしょう。

クリスマスのプレゼント交換は12月25日だけでなく、1月6日の「レイェス・マゴス」(東方三博士の日)にも行われます。この日は特に子どもたちが楽しみにしている日で、靴を窓際に置いて寝ると、三博士がプレゼントを持ってくるという伝統があります。

また、バレンタインデーは「サン・バレンティン」として祝われますが、日本のように女性から男性へのチョコレートのプレゼントという習慣はなく、恋人同士が互いにプレゼントを交換します。

スペインで絶対NGなプレゼントとかマナーってある?

スペインでプレゼントとして避けた方が良いものとしては、ナイフや鋭利な物があります。これは「友情を切る」という迷信があるためです。また、ハンカチも涙を連想させるため、あまり喜ばれないことがあります。

数字の13は不吉とされ、13個の何かをプレゼントするのは避けた方が良いでしょう。また、黄色は不運を招くと考える人もいるので、黄色い花は特に注意が必要です。

マナーとしては、プレゼントはその場ですぐに開けるのが一般的です。日本では後で開けることもありますが、スペインでは贈り主の前で開けて、喜びや感謝の気持ちを表現するのが礼儀です。

また、おもてなしを受けた際には、お返しとして何か贈ることが期待されます。招待された家での食事の後には、次は自分が招待する、もしくは小さなプレゼントを後日持参するなどの習慣があります。

④ 知っておきたいスペインの文化(食文化)

スペインの食事って日本と全然違うよね?どんな特徴がある?

スペインの食文化は日本とは大きく異なります。まず、食事の時間帯が非常に遅いです。朝食は軽めで、コーヒーとパン程度。昼食は14時〜16時頃で一日で最も重要な食事とされ、複数のコースで構成されることが多いです。夕食は21時以降に食べるのが一般的で、レストランも夜遅くまで営業しています。

食事のスタイルも違います。「タパス」と呼ばれる小皿料理を複数人でシェアして食べる文化があり、一人で黙々と食べるというよりは、会話や交流を楽しむための場として食事を捉えています。

地域によって料理は大きく異なります。地中海沿岸ではシーフードやオリーブオイルを多用した料理、内陸部では肉料理や煮込み料理が中心です。例えば、バレンシア地方の「パエリア」、ガリシア地方の「プルポ・ア・ラ・ガジェガ」(タコのガリシア風)、アンダルシア地方の「ガスパチョ」(冷製スープ)など、地域ごとの特色ある料理があります。

また、食事と一緒にワインやビールを楽しむ文化も根付いています。特に「ソブレメサ」と呼ばれる食後の時間は重要で、デザートやコーヒー、リキュールを楽しみながら会話を続けます。この時間が1時間以上続くこともあります。

スペイン人って日本食をどう思ってる?好きな日本料理とかある?

日本食はスペインでも非常に人気があります。特に寿司は高級な食事として認識されており、多くのスペイン人が特別な日に寿司レストランを訪れます。しかし、本格的な日本食を知るスペイン人はまだ少なく、多くの「日本食レストラン」では実は中国人や韓国人が経営していることも多いです。

スペイン人に人気の日本料理としては、やはり寿司が一番ですが、最近では天ぷら、ラーメン、お好み焼きなども人気が出てきています。特に若い世代はアニメなどの影響もあり、日本食に対して非常に興味を持っています。

面白いのは、スペイン人は日本食の「健康的」なイメージを強く持っていることです。日本人の長寿の秘訣は食生活にあると考えている人も多く、それが日本食人気の一因となっています。

また、スペイン料理と日本料理には共通点もあります。どちらも新鮮な素材を大切にし、季節感を重視します。そのため、スペイン人シェフの中には日本の料理技術や考え方に影響を受けた「フュージョン料理」を提供する人も増えています。

⑤ 知っておきたいスペインの文化(その他)

スペインで人気の観光地でもっと知られるべき場所ってどこ?

スペインには有名な観光地以外にも素晴らしい場所がたくさんあります。例えば、北部の「リアス・バイシャス」は美しい入り江と素晴らしいシーフードで知られていますが、外国人観光客にはあまり知られていません。ガリシア地方特有の神秘的な雰囲気と、新鮮なシーフード料理が魅力です。

また、「ラ・リオハ」地方はワイン産地として有名ですが、観光地としてはまだあまり開発されていません。ワイナリー巡りや美しい中世の村々を訪れることができ、本物のスペインを体験できます。

中央部の「エクストレマドゥーラ」地方も見逃せません。ローマ時代の遺跡が多く残り、特に「メリダ」の円形劇場は保存状態が良く、現在でも音楽イベントなどに使用されています。また、この地方はイベリコ豚の産地としても有名で、最高級のハモン・イベリコを味わうことができます。

そして、カナリア諸島の「ラ・パルマ」島は、観光客で混雑するテネリフェ島やグラン・カナリア島に比べて静かで、美しい自然が魅力です。火山の景観や星空観測のための条件が整っていることから「星の島」とも呼ばれています。

スペインに住んでいて日本が恋しくなることってある?スペインで手に入らなくて困るものとか

スペインに住んでいると、やはり日本食が恋しくなることがあります。特に本格的な和食材は大都市以外では手に入りにくく、醤油や味噌などの基本的な調味料以外は、専門店を探す必要があります。わさびや海苔、日本米など、日本人にとっては当たり前の食材が貴重品になることも。

また、日本の季節感や「おもてなし文化」も恋しくなります。スペインのサービスは親しみやすいですが、日本のような繊細さや気配りとは異なります。

日常生活では、便利な日本の家電や文房具が恋しくなることもあります。特に多機能トイレや湿度調整機能付きエアコンなどは、スペインではまだ一般的ではありません。

そして、日本の公共交通機関の正確さも懐かしく感じます。スペインの電車やバスは日本ほど時間に正確ではなく、遅延もよくあります。日本の「定時運行」がいかに素晴らしいかを海外で実感することが多いです。

また、日本の四季折々の風景や行事も恋しくなります。特に桜の季節や紅葉は、日本特有の美しさがあり、スペインでは味わえない風情です。

スペインと日本、似てるところってある?

一見全く異なる文化を持つスペインと日本ですが、意外にも共通点がいくつかあります。まず、両国とも島国または半島という地理的特性があり、独自の文化を発展させてきました。また、歴史的に外部からの影響を受けつつも、独自のアイデンティティを保持してきた点も共通しています。

食文化の面では、新鮮な食材を重視し、季節感を大切にする点が似ています。特に魚介類を多用する点は共通しており、日本の刺身とスペインの「セビーチェ」(マリネした生魚)は似た発想から生まれています。

また、両国とも家族を大切にする文化があります。日本の「家」の概念とスペインの「ファミリア」の概念には共通するものがあり、世代間の結びつきが強い社会です。

興味深いのは、日本の「侘び寂び」の美学とスペインの「ドゥエンデ」(芸術における魂の表現)には、言葉では表現しきれない深い感性を重視するという共通点があります。フラメンコの感情表現と日本の能や歌舞伎の様式美は、表現方法は異なりますが、芸術に対する深い敬意という点では似ています。

また、両国とも伝統と現代が共存している点も似ています。最新技術を取り入れながらも、伝統文化を大切に保存し続けている国民性があります。

まとめ

スペインは多様な文化、豊かな歴史、そして温かい人々が魅力の国です。日本とは異なる時間感覚やコミュニケーションスタイルがありますが、それらの違いを楽しむことで、より充実したスペイン滞在が実現できるでしょう。

スペイン文化の特徴である「生きる喜び」を大切にする価値観は、忙しい現代社会に生きる私たちに新たな視点を与えてくれます。人間関係を重視し、食事や会話を楽しみ、人生の様々な瞬間を祝う文化は、スペインの大きな魅力の一つです。

また、スペインと日本の文化には、一見すると大きな違いがあるように見えて、実は共通点も多くあることが分かります。この両国の文化的架け橋を通じて、互いの国をより深く理解する機会が増えることを願っています。

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