【フランスの文化を学ぶ!】知っておきたいフランス生活のリアル ~留学、長期滞在、移住、短期滞在・旅行の参考に~

グローバル化が進む中、異文化を理解することは、私たちの視野を広げ、新しい発見をもたらしてくれます。日本人にとっての当たり前が、海外では違って見えるように、フランスの日常は私たち日本人に新鮮な気づきを与えてくれるはずです。
本記事では、日本在住のフランス人にインタビューを行い、フランスの文化や生活について詳しく解説します。留学や長期滞在、移住を考えている方はもちろん、旅行者の方にも参考になる情報が満載です。
フランスってどんな国? 日本からのイメージ
エッフェル塔、モード、ワイン、チーズ、カフェテラス…皆さんはフランスと聞いて、どんなイメージを持ちますか?
フランスはヨーロッパの西部に位置し、ヨーロッパ最大の国土(西ヨーロッパでは)を持ちます。海と山の両方に恵まれ、地域によって気候や文化が大きく異なる多様性に富んだ国です。首都パリを中心に発展してきた中央集権的な国でありながら、アルザス、プロヴァンス、ブルターニュなど、各地方が独自の文化や伝統、時には言語をも保ち続けています。
「自由・平等・博愛」を国是とし、革命の歴史を経て現在の共和国を形成。芸術、哲学、ファッション、料理など、様々な分野で世界に影響を与えてきました。フランス人は「議論を愛する国民」とも言われ、社会問題について積極的に意見を交わす文化があります。
伝統を重んじながらも、常に新しい価値観を模索する国。農村の牧歌的な風景と、先端技術を取り入れた都市部が共存する、多面的な魅力を持つ国です。
フランスで暮らすメリットについて
メリット1:食文化の豊かさ
フランスでは「食」が単なる栄養摂取ではなく、生活の喜びの中心にあります。新鮮な地元の食材、季節感を大切にした料理、バゲットやクロワッサンなどのパン文化、多様なチーズやワイン…。日常の食事を大切にする文化があり、スーパーでも高品質な食材が手に入りやすいです。また、マルシェ(市場)では生産者と直接会話しながら買い物ができ、食材の選び方や料理法のアドバイスをもらえることも。食事の時間をゆっくり楽しむライフスタイルは、忙しい現代人にとって新たな視点を与えてくれます。
メリット2:ワークライフバランスの充実
法定労働時間は週35時間、年間5週間の有給休暇が基本的に保障されています。また「バカンス」の文化があり、夏や冬に長期休暇を取得して家族との時間を過ごすことが一般的です。子育て支援も手厚く、3歳からの幼稚園(エコール・マテルネル)は無料で、働く親を支援する制度が整っています。「生活を楽しむ」ことに価値を置く文化は、日本の「働き方改革」にも示唆を与えるかもしれません。
メリット3:文化的豊かさと公共サービス
美術館、博物館、劇場などの文化施設が充実しており、多くの場所で若者割引や定期的な無料開放日があります。公共交通機関が発達しており、車がなくても生活しやすい環境です。また、医療制度も充実しており、公的健康保険によって医療費の大部分がカバーされます。「文化は贅沢品ではなく生活の一部」という考え方が根付いており、質の高い公共サービスを享受できることは大きな魅力です。
メリット4:地理的優位性と多様な風景
フランス国内だけでも、パリなどの都市部、コート・ダジュールなどの地中海リゾート、アルプスの山岳地帯、大西洋側の農村風景など、多様な環境があります。また、ヨーロッパの中心に位置しているため、隣国への小旅行も容易です。スペイン、イタリア、スイス、ドイツ、ベルギーなど様々な国と国境を接しており、週末旅行や休暇を利用した国際交流の機会も豊富です。四季の変化も美しく、自然とともに生きる喜びを感じることができます。
① 知っておきたいフランス生活のリアル(買い物)
―日本と違う!と思った買い物の仕方とか、買ったものってある?
マルシェ(市場)文化が今でも生きているのが大きな違いですね。週に1〜2回、街の広場に生産者が集まって新鮮な食材を売る市場があります。スーパーよりも新鮮で、直接生産者と会話できるのが魅力です。どうやって調理するか、どれが一番おいしい状態かなどのアドバイスももらえます。日本のスーパーはとても清潔で商品がきれいに並んでいますが、フランスのマルシェは少し混沌としていて、声や匂いや色にあふれた活気ある場所です。買い物をしながら近所の人と立ち話するような、コミュニティの場でもあるんです。
お店の営業時間にも驚くかもしれません。多くの店は昼休み(12時〜14時頃)に閉まりますし、日曜日は基本的に休みです。最近は大型スーパーが日曜の午前中だけ開いていることもありますが、基本的には日曜は家族と過ごす日という考え方が強いです。また、8月はバカンスシーズンで、特に小さな町では多くの店が数週間閉まってしまうこともあります。事前に計画を立てておかないと、必要なものが買えないこともあるので注意が必要です。
支払い方法も違いますね。フランスはクレジットカードやデビットカードが普及していますが、日本のようにポイントカードのシステムはあまり発達していません。また、最近は少なくなってきましたが、チェック(小切手)もまだ使われていて、家賃の支払いなどに利用されることもあります。
あと、パン屋さん(ブーランジェリー)での買い物にも独特の文化があります。フランス人は毎日新鮮なバゲットを買いに行くことが多く、夕方に帰宅途中のフランス人がバゲットを手に持って歩いている姿はとても典型的な光景です。バゲットは包装紙を最小限にして、そのまま素手で持ったり、専用の袋に入れて運びます。パン屋さんに入ったら「Bonjour(ボンジュール)」と挨拶するのがマナーですし、順番を守ることも大切です。
スーパーの陳列方法にも違いがあります。例えば、卵は常温で販売されていますし、牛乳も常温保存できるUHT処理されたものが多いです。チーズコーナーは日本の比ではないくらい充実していて、何十種類ものチーズが並んでいます。また、ワインも非常に安く、数ユーロで良質なワインが買えるのも魅力です。
② 知っておきたいフランス生活のリアル(食事)
―フランスの食事で、え!って思ったことある?
まず、食事の時間の長さに驚くかもしれません。特にディナーは最低でも1時間、家族や友人との食事なら2〜3時間かけることも珍しくありません。前菜、メイン、チーズ、デザートと段階を踏んで、それぞれの料理の間に会話を楽しみながら進めていきます。日本のように「効率よく」食べるという発想はほとんどなく、食事の時間自体を楽しむという文化があります。レストランでも、テーブルは基本的にその晩一組のお客さんだけのものです。「回転率」を上げるということはなく、予約した時間からクローズするまでそのテーブルは自分たちのものという考え方です。
食事の時間帯も日本と異なります。ランチは12時〜14時頃、ディナーは19時〜20時に始めるのが一般的で、特にディナーは21時から始める家族も多いです。レストランも13時過ぎや21時過ぎに行くと満席になっていることが多いですね。また、食事と食事の間にはおやつの習慣はあまりなく、特に子供には「次の食事までおなかをすかせておく」ことが教えられることも。その代わり、16時頃には「goûter(グテ)」と呼ばれるおやつの時間があり、子供たちは学校から帰った後にパンにチョコレートを挟んだものやクッキーなどを食べます。
驚くことの一つに「水への姿勢」があります。レストランでは水を注文すると、多くの場合ミネラルウォーターのボトルが出てきて別料金がかかります。「du carafe(カラフのお水)」と頼めば水道水が無料で出てきますが、特に観光地では言わないと出してくれないこともあります。また、家庭でも水道水よりもミネラルウォーターを好む人が多いです。
パンの扱い方も独特です。フランス人はほぼすべての食事でパン(特にバゲット)を食べます。ただし、パンは直接お皿には置かず、テーブルクロスの上に直に置くのが一般的です。また、パンをかじるのではなく、ちぎって一口サイズにして食べます。パンはソースをすくったり、料理の合間に口の中をリセットするために食べることも多いです。
チーズの食べ方にも独特の文化があります。フランスでは通常、メインディッシュの後、デザートの前にチーズを食べます。チーズボードから好きなものを選び、パンと一緒に食べるのが基本です。また、チーズの切り方にもルールがあり、例えばカマンベールのような円形のチーズは「放射状」に切るのがマナーとされています。チーズは常温で食べるのが基本で、冷蔵庫から出してしばらく置いてから食卓に出します。
―家で料理するときは、どんなものを作るの?
フランスの家庭料理は意外とシンプルです。毎日フルコースを作るわけではなく、平日の夕食は「plat principal(メインディッシュ)」と「salade(サラダ)」、それにチーズやヨーグルトなどの乳製品、フルーツというシンプルな構成のことが多いです。メインディッシュとしては「gratin(グラタン)」や「quiche(キッシュ)」など、オーブンで焼く料理が多いですね。これは準備をしてオーブンに入れれば後は放っておけるので、忙しい平日の夕食に便利なんです。
地方によって家庭料理も異なります。南フランスでは「ratatouille(ラタトゥイユ)」のような野菜たっぷりの煮込み料理や、オリーブオイルを使った料理が多いです。北部では「pot-au-feu(ポトフー)」のような肉と野菜の煮込みや、バターを使った料理が中心。アルザス地方では「choucroute(シュークルート)」というザワークラウトと肉の煮込みなど、ドイツの影響を受けた料理もあります。
子供向けの料理としては「hachis parmentier(アシ・パルマンティエ)」というじゃがいもと挽肉のグラタンや、「croque-monsieur(クロック・ムッシュ)」というホットサンドイッチなどが人気です。また、フランスでは子供向けに特別な「キッズメニュー」を作るという概念はあまりなく、小さい頃から大人と同じものを食べることが一般的です。もちろん量やスパイスは調整しますが、「子供だから食べられない」という先入観を持たずに、様々な食材や味に触れさせるという教育的な考え方もあります。
伝統的なフランスの食卓では、デザートに「fruit(フルーツ)」を出すことも多いです。特に季節のフルーツを生で食べるシンプルなスタイルが好まれます。「tarte(タルト)」や「clafoutis(クラフティ)」などのお菓子は週末や特別な日に作ることが多いですね。
忘れてはいけないのが「soupe(スープ)」の存在です。特に冬は野菜のポタージュスープを作ることが多く、これだけでも栄養満点の一皿になります。パンを浸して食べるのが定番で、体を温める家庭の味として親しまれています。
③ 知っておきたいフランス生活のリアル(休日)
―休日ってどんな感じで過ごすの?
フランスの休日の過ごし方は、「余暇を大切にする」文化を強く反映しています。まず、日曜日は基本的に多くのお店が閉まっていて、「家族と過ごす日」という認識が強いです。日曜の午前中は「marché(マルシェ)」に行って新鮮な食材を買い、その後は家族で「déjeuner du dimanche(日曜のランチ)」を楽しむというパターンが典型的です。このランチは特に重視され、前菜、メイン、チーズ、デザートとフルコースで、2〜3時間かけてゆっくり食事を楽しみます。午後はのんびりと過ごし、散歩したり、友人や親戚を訪ねたりすることが多いです。
土曜日は買い物や家の用事を済ませる日という位置づけが多いですが、友人と「café(カフェ)」でおしゃべりを楽しんだり、「exposition(展覧会)」や「cinéma(映画)」に行ったりと、文化的活動に充てることも多いです。フランスでは「文化」が日常生活に深く根付いていて、美術館や博物館に行くことはごく普通の週末の過ごし方の一つです。
季節によっても休日の過ごし方は変わります。夏は「terrasse(テラス)」でドリンクを楽しんだり、公園でピクニックをしたり。多くのフランス人は「être dehors(外にいること)」を好みます。秋や冬は「balade en forêt(森の散策)」や「randonnée(ハイキング)」を楽しむ人も多いです。
そして、フランス人の休日といえば欠かせないのが「vacances(バカンス)」です。特に夏は多くの人が2〜4週間の長期休暇を取り、「mer(海)」や「montagne(山)」などのリゾート地に行きます。8月のパリは市民の多くが避暑地に出かけてしまうため、街はかなり静かになります。このバカンス文化はフランス人のアイデンティティの一部で、「生活の質」を重視する価値観の現れとも言えます。
休日の過ごし方に関して特筆すべきは、オンとオフの切り替えがはっきりしていることです。休日や休暇中は仕事のメールをチェックしないことが多く、「droit à la déconnexion(切断する権利)」という考え方も法律で保護されています。これは仕事とプライベートの境界をしっかり設けることで、効率的に働きながらも充実した私生活を送るというフランス的なワークライフバランスを象徴しています。
④ 知っておきたいフランス生活のリアル(家族)
―家族との過ごし方って、日本とどう違うの?
フランスにおける家族関係は「respect de l’individualité(個人の尊重)」という考え方が基本にあります。子供も一人の人間として尊重され、早い段階から自分の意見を表明することが奨励されます。家族の食事の場でも、子供を含めて社会問題や政治について話し合うことは珍しくありません。日本では「子供は大人の話に口を挟まない」という考え方もありますが、フランスでは子供の頃から「débat(議論)」の文化に親しむことで批判的思考力を養うという教育観があります。
親子関係にも違いがあります。フランスでは18歳成人後、進学や就職を機に実家を離れる若者が多く、親元に長く留まることはあまり奨励されません。「自立」が重視され、子育ての目標も「親から自立した個人を育てること」とされています。ただし、心理的なつながりは維持され、困ったときには助け合う関係性は続きます。特に「repas de famille(家族の食事会)」は定期的に行われ、離れて暮らしていても家族の絆を確認する機会となっています。
祖父母との関係も興味深いです。三世代同居はあまり一般的ではありませんが、祖父母は「grands-parents gâteaux(甘やかす祖父母)」として孫との時間を楽しむ存在です。日本と似ていますが、フランスでは特に「transmission des valeurs(価値観の伝承)」という役割が重視され、料理のレシピや家族の歴史、伝統を伝える役割を担っていることが多いです。また、共働き家庭では祖父母が「garde d’enfants(子守り)」を担うことも一般的で、学校の休みの時に孫を預かったり、バカンスを一緒に過ごしたりします。
フランスの家族観で特徴的なのは「famille recomposée(再構成された家族)」に対するオープンな姿勢です。離婚や再婚による「ステップファミリー」は珍しくなく、血縁関係だけでなく「affection(愛情)」によって結ばれた家族の形も広く受け入れられています。子供にとっても複数の親や兄弟姉妹との関係を持つことは通常のことと考えられています。
休暇の過ごし方も家族関係を表しています。フランス人にとって「vacances en famille(家族での休暇)」は非常に重要で、夏や冬の長期休暇は家族で過ごすことが一般的です。ただし、子供が成長すると徐々に友人との休暇も増え、親も子供も別々に休暇を楽しむようになります。これも「自立」を促す文化の表れと言えるでしょう。
―フランスでは、クリスマスや新年はどう過ごす?
「Noël(クリスマス)」はフランスの家族にとって最も重要な祝日の一つです。特に「réveillon de Noël(クリスマス・イブの晩餐)」は家族が集まる特別な機会で、豪華な食事を囲みます。メニューは地方によって異なりますが、「foie gras(フォアグラ)」や「huîtres(牡蠣)」などの前菜、「dinde aux marrons(栗を詰めた七面鳥)」などのメインディッシュ、そして「bûche de Noël(ユール・ログ)」と呼ばれるケーキが定番です。この食事は遅く始まり、深夜まで続くことも珍しくありません。
子供たちにとっては「cadeaux de Noël(クリスマスプレゼント)」が大きな楽しみで、伝統的には24日の夜か25日の朝に「Père Noël(サンタクロース)」がプレゼントを持ってくると言われています。地方によっては独自の伝統もあり、例えばアルザス地方では「Saint Nicolas(聖ニコラス)」が12月6日にお菓子を持ってくるという習慣もあります。
「Nouvel An(新年)」はクリスマスほど家族中心ではなく、友人と過ごすことも多いです。「réveillon de la Saint-Sylvestre(大晦日の宴)」では「champagne(シャンパン)」を飲み、カウントダウンをして新年を祝います。1月1日には「étrennes(お年玉)」を子供や郵便配達人などサービス業の人に渡す習慣があります。
また、新年には「galette des rois(王様のケーキ)」という伝統もあります。1月6日の「Épiphanie(公現祭)」を祝うもので、アーモンドクリームを詰めたパイ生地のケーキの中に小さな「fève(フェーヴ)」と呼ばれる陶器の飾りが隠されています。これが当たった人は「王様(または女王様)」となり、紙の王冠をかぶります。家族や職場で楽しむ習慣で、1月中はほとんどのパン屋やパティスリーでこのケーキが販売されています。
これらの行事は「traditions familiales(家族の伝統)」として大切にされており、遠方に住んでいる家族も集まる機会となります。フランス人にとって、これらの行事は単なるお祝いというよりも、家族のつながりを確認し、世代を超えて伝統を継承する重要な時間なのです。
⑤ 知っておきたいフランス生活のリアル(その他)
―フランス人に人気のスポーツとか、観光地って何?
フランスでスポーツと言えば、断然「football(サッカー)」が国民的人気を誇ります。特に「coupe du monde(ワールドカップ)」や「Euro(ヨーロッパ選手権)」の時期は国中が熱狂し、フランス代表チームが試合をする日はカフェやバーにテレビ観戦のために集まる人々でいっぱいになります。「Roland-Garros(全仏オープン)」で知られる「tennis(テニス)」も人気が高く、クレーコートでプレーする人が多いのが特徴です。また、「Tour de France(ツール・ド・フランス)」で有名な「cyclisme(サイクリング)」も盛んで、休日に家族や友人とサイクリングを楽しむ姿はよく見かけます。
フランス人に人気の観光地は、外国人観光客があまり訪れない穴場スポットが多くあります。「Bretagne(ブルターニュ)」の荒々しい海岸線は国内でのバカンス先として大人気で、「crêpes(クレープ)」や「cidre(シードル)」といった郷土料理も魅力です。南西部の「Dordogne(ドルドーニュ)」地方も国内旅行先として評価が高く、中世の村々や先史時代の洞窟画など、歴史的な見どころが豊富です。
自然好きのフランス人に愛されているのが「Gorges du Verdon(ヴェルドン渓谷)」。南仏プロヴァンスにあるヨーロッパ最大の渓谷で、エメラルドグリーンの水が流れる絶景は「フランスのグランドキャニオン」とも呼ばれています。カヌーやカヤックを楽しんだり、崖沿いのハイキングコースを歩いたりして自然を満喫できる場所です。
料理好きなら「Pays Basque(バスク地方)」もおすすめです。スペインとの国境近くに位置するこの地域は、独自の文化と美食で知られています。「pintxos(ピンチョス)」と呼ばれる小皿料理や「piment d’Espelette(エスペレット唐辛子)」など、スペインの影響を受けた独特の食文化が楽しめます。また、「Biarritz(ビアリッツ)」などのビーチリゾートでサーフィンを楽しむフランス人も多いです。
歴史ファンには「Route des châteaux(シャトーロード)」と呼ばれるロワール渓谷の古城めぐりがおすすめです。「Chambord(シャンボール)」や「Chenonceau(シュノンソー)」などのルネサンス様式の美しい城館が点在し、じっくりと時間をかけて巡るのがフランス流。各シャトーで地元のワインを試飲したり、城の庭園でピクニックを楽しんだりする人も多いです。
―フランス人に人気のレストランは?外国人があまり行かないところだと?
フランス人が日常的に通う「bistrot(ビストロ)」こそ、外国人観光客があまり足を踏み入れない「本物のフランス」を体験できる場所です。観光客向けのレストランと違って、メニューはフランス語のみ、英語での対応も限られているかもしれませんが、その分地元の雰囲気を味わえます。特に「menu du jour(本日のメニュー)」と呼ばれる日替わりコースは、リーズナブルな価格で本格的なフランス料理が楽しめるお得なシステムです。ビストロは「quartier(地区)」ごとに特色があり、地元の人々の社交場になっている場所も多いです。
「brasserie(ブラッスリー)」もフランス人に親しまれている食事処です。元々はビールを提供する場所という意味ですが、現在は一日中食事が提供される大きめのレストランを指します。「choucroute(シュークルート)」や「plateau de fruits de mer(シーフードプラトー)」などの定番メニューがあり、予約なしでも利用しやすいのが特徴です。パリの「Lipp」や「La Coupole」などの老舗ブラッスリーは観光客も多いですが、住宅地にある地元向けのブラッスリーは穴場的存在です。
地方都市では「marché couvert(屋内市場)」の中にある食事処も地元の人に人気です。新鮮な食材を販売する店舗に混じって、簡単な料理を提供する「comptoir(カウンター)」があり、マルシェで買い物をした後にワインを一杯飲みながら軽食を楽しむという使い方をします。特に「Lyon(リヨン)」の「Les Halles de Lyon Paul Bocuse」や「Bordeaux(ボルドー)」の「Marché des Capucins」などは、地元の食文化の中心地となっています。
フランス人が頻繁に利用するもう一つの食事スポットが「crêperie(クレープリー)」です。ブルターニュ地方発祥の「galette(ガレット)」と呼ばれる塩味のソバ粉のクレープと、デザート用の小麦粉の「crêpe(クレープ)」を提供する専門店で、手頃な価格でボリュームのある食事が楽しめます。特に学生や若い家族連れに人気があります。
隠れた名店として「routiers(ルーティエ)」と呼ばれるトラック運転手向けの食堂も挙げられます。高速道路沿いやトラックが停まるエリアにあり、シンプルで量が多く、そして何より美味しい料理を提供しています。地元の食材を使った「cuisine traditionnelle(伝統的な料理)」が中心で、ワインも含めて非常にリーズナブルな価格が魅力です。
まとめ
フランスの文化を知ることで、「生活の質」を重視する価値観や、食事や休暇などの日常の喜びを大切にする姿勢に触れることができます。効率や生産性だけでなく、人生の様々な瞬間を味わい尽くす「art de vivre(生きる技術)」は、私たちの日常にも取り入れられるヒントが詰まっています。
特に食文化に関しては、「料理」という結果だけでなく、食材を選ぶ過程や食事を囲む時間自体を楽しむという姿勢が印象的です。また、家族との関係においても、一人の個人として互いを尊重しながらも絆を大切にするバランス感覚や、子供の自立を促しつつも伝統や価値観を伝える教育観など、現代社会で家族のあり方を考える上で参考になる点が多くあります。
フランスの休日や休暇の過ごし方も、「余暇」を人生の重要な部分と位置づける考え方は、働き方や人生設計を見直すきっかけになるかもしれません。文化や芸術を日常に取り入れる習慣や、自然とともに過ごす時間を大切にする感覚は、心の豊かさを育む視点を私たちに与えてくれます。
多様な地方文化を持つフランスでの体験は、パリという窓口を超えて、より深く幅広い魅力に触れる機会となるでしょう。旅行者としてだけでなく、その土地に暮らす人々の日常に寄り添うような体験は、より豊かな異文化理解につながるのではないでしょうか。
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