【日本在住イギリス人に聞いた!】知っておきたいイギリスの文化 ~留学、長期滞在、移住、短期滞在・旅行の参考に~

グローバル化が進む現代社会では、異なる文化への理解が私たちの視野を広げ、新しい発見をもたらしてくれます。日本人にとっての当たり前が、海外では異なる意味を持つように、イギリスの文化や習慣は私たち日本人に新鮮な気づきを与えてくれるはずです。

本記事では、日本在住のイギリス人にインタビューを行い、イギリスの文化や習慣について詳しく聞いてみました。留学や長期滞在、移住を考えている方はもちろん、旅行者の方にも参考になる情報をお届けします。

イギリスってどんな国? 日本からのイメージ

紅茶、ロイヤルファミリー、二階建てバス、ビートルズ、ハリーポッター…皆さんはイギリスと聞いて、どんなイメージを持ちますか?

イギリス(正式名称:グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国から構成される島国です。長い歴史と伝統を持ちながらも、多様な文化が共存する社会を形成しています。

シェイクスピアやJ.K.ローリングなどの文学、ザ・ビートルズやアデルなどの音楽、サッカーやクリケットなどのスポーツ発祥の地として、世界の文化に大きな影響を与えてきました。また、大英博物館やテート・モダンなど、世界的に有名な博物館や美術館も数多くあります。

伝統を重んじながらも革新的な側面を持ち、田園地帯の牧歌的な景観から、ロンドンのような国際的な大都市まで、多様な顔を持つ国です。

イギリスで暮らす/行くメリットについて

メリット1:多様性と包括性
特に都市部では、世界中からの移民が集まり、様々な文化、宗教、言語が共存しています。多様なレストラン、フェスティバル、コミュニティイベントがあり、自分のアイデンティティを大切にしながらも新しい文化に触れる機会が豊富です。LGBTQの権利保護など社会的包括性も進んでいます。

メリット2:歴史と文化の豊かさ
何百年もの歴史を持つ建造物が現代の建物と共存する街並みは魅力的です。博物館や美術館の多くが無料で、世界クラスの芸術や歴史的遺物に気軽に触れられます。また、音楽、演劇、文学などの文化的イベントも充実しており、趣味や関心を広げる機会が豊富です。

メリット3:公共サービスの充実
国民保健サービス(NHS)により、基本的な医療サービスが無料または低コストで受けられます。公共交通機関も発達しており、車がなくても快適に生活できる環境です。また、公園や緑地が多く整備されており、都市部でも自然を感じられる場所が身近にあります。

メリット4:地理的な利便性
ヨーロッパ大陸へのアクセスが良く、週末旅行や短期休暇でも様々な国や文化を体験できます。イギリス国内も電車やバスのネットワークが整っており、湖水地方やスコットランド高地など美しい自然、歴史ある都市など多様な観光地に気軽に訪れることができます。

 

 

① 知っておきたいイギリスの文化(歴史)

―日本人が知らずにびっくりされたイギリスの歴史ってある?

イギリスの歴史の「複雑さ」にはよく驚かれますね。一つの島国というイメージがありますが、実際には「イングランド」「スコットランド」「ウェールズ」「北アイルランド」という4つの国からなる連合王国なんです。それぞれが独自の言語、文化、伝統を持っていて、例えばウェールズではウェールズ語、スコットランドではゲール語といった固有の言語が今でも話されています。この4つの国の関係は複雑で、例えばスコットランドには独立を求める声も根強くあるんですよ。

あとは「階級制度」の名残がまだある点も驚かれます。現代のイギリスは民主的な社会ですが、歴史的な階級意識が微妙な形で残っていて、例えば話し方のアクセントや使う言葉遣い、教育を受けた学校などで、その人のバックグラウンドを推測する傾向があります。BBCのような「受信料型」の公共放送があるのも、文化的な平等性を担保するための歴史的な経緯があるんです。

「植民地時代の歴史」についても、日本ではあまり詳しく知られていない部分があります。イギリスは最盛期には世界の約4分の1を支配する大英帝国でしたが、この歴史については近年再評価が進んでいます。特に博物館で展示されている各国の文化遺産の返還問題など、過去の植民地支配の影響は現代にも及んでいて、歴史認識をめぐる議論が活発です。

面白いのは「パブの歴史」です。パブは単なる飲食店ではなく、中世からの社会的な集会所としての機能を持っていました。コミュニティの中心として情報交換や取引の場になり、中には400年以上の歴史を持つパブもあります。パブの名前や看板には当時の歴史的な出来事や人物が反映されていることも多く、例えば「The King’s Head」「The Rose and Crown」といった名前には王室や歴史的背景が関係しています。

―日本人にびっくりされたイギリスの習慣はある?

「キューイング(列に並ぶこと)」の文化には多くの日本人が共感しつつも驚きます。イギリス人は列を作って順番を待つことを神聖視していて、横入りは大きな社会的タブーです。バス停でもレジでも、自然と秩序正しい列ができます。日本人も列に並ぶ文化がありますが、イギリスではさらに徹底していて、例えばパブの混雑したバーカウンターでも目に見えない列があり、順番を守る暗黙のルールがあるんです。

「天気の話」への執着も特徴的です。イギリスでは会話の始まりがほぼ必ず天気の話題で、これは単なる世間話ではなく、コミュニケーションの重要な儀式なんです。「Lovely day, isn’t it?(いい天気ですね)」と言われたら、同意するのがマナーです。変わりやすい天気のおかげで、話題には事欠きません(笑)。天気予報もテレビのニュースで大きく取り上げられ、イギリス人の日常会話で最も頻繁に出てくる話題の一つです。

「アフタヌーンティーの儀式感」も驚かれます。現代のイギリスでは日常的にアフタヌーンティーを楽しむ人は少なくなりましたが、特別な機会やホテルでのフォーマルなアフタヌーンティーは今でも人気があります。スコーン、サンドイッチ、ケーキなどを優雅に楽しむ文化で、お茶の入れ方やスコーンの食べ方にも作法があるんです。ちなみに、スコーンにジャムを先に塗るかクロテッドクリームを先に塗るかは、地域によって意見が分かれる大論争なんですよ。

「自己卑下のユーモア」も独特です。イギリス人は自分自身や自分の失敗をネタにした自虐的なジョークを好みます。これは謙虚さの表れでもあり、過度な自慢や自己主張を避ける文化的背景があります。例えば、何か成功したことを聞かれても「まあ、たまたまラッキーだっただけです」と控えめに答えるのが一般的。逆に、自分の成功を大げさに話す人は「らしくない」と思われることもあります。

② 知っておきたいイギリスの文化(コミュニケーション)

―イギリス人のコミュニケーションで、日本と違うなーと思うポイントは?

「控えめな表現」が特徴的です。例えば、イギリス人が「Quite good(まあまあ良い)」と言ったら、実際にはかなり気に入っていることが多いんです。直接的な表現を避ける傾向があり、「Not bad(悪くない)」は高評価、「Interesting(面白い)」は必ずしも肯定的ではないなど、言葉の裏を読む必要があります。特に批判や不満を伝える時は、直接的な表現よりも婉曲的な言い方をすることが多いです。

「アイロニー(皮肉)とサルカズム(風刺)」の使用も日本と大きく異なります。イギリスのユーモアは皮肉を多用し、時に自分自身や周囲の状況を茶化すようなジョークを言います。例えば、大雨の日に「Lovely weather we’re having(素晴らしい天気ですね)」と言うのは典型的な皮肉です。これは否定的な意図ではなく、状況を軽く受け止める心理的な対処法でもあります。初めてイギリス人と話す日本人は、この「本当は逆の意味」の冗談に戸惑うことがあるかもしれません。

「個人的な質問への態度」も違います。日本では親しくなると個人的な質問(年収や結婚予定など)をすることもありますが、イギリスではそういった質問は基本的にタブーです。特に初対面では「What do you do?(お仕事は何ですか?)」程度の質問にとどめ、相手のプライバシーを尊重するのがマナーとされています。また、親しくても「How are you?(調子はどう?)」と聞かれたら、深刻な問題がない限り「Fine, thanks. And you?(元気です、あなたは?)」と返すのが一般的で、本当の悩みを打ち明けるのは親しい間柄に限られます。

「パブでの会話のルール」も独特です。イギリスのパブは社交の中心で、見知らぬ人とも気軽に会話できる場所ですが、いくつかの暗黙のルールがあります。例えば、バーカウンターでは話しかけてもOKですが、テーブルに座っている人には基本的に話しかけません。また、パブでは政治や宗教といった論争を呼ぶ話題よりも、スポーツや映画、天気など軽めの話題が好まれます。そして、自分の順番が来たらグループ全員の飲み物を注文する「ラウンド制」という習慣もあり、これに参加するとグループの一員として受け入れられる感覚があります。

―イギリス人が日本人の行動で驚くことってある?

「本音と建前の区別」に戸惑うイギリス人は多いです。イギリス人は率直に意見を言うことが多く、特にビジネスの場では明確なYes/Noを求めます。一方、日本人は直接的な拒否を避け、婉曲的な表現で「いいえ」を伝えることがありますよね。例えば「ちょっと難しいかもしれません」と言われても、イギリス人は「難しいけど可能」と解釈してしまうことも。この文化の違いから、誤解が生じることがあります。

「謝罪の頻度」も驚きの対象です。日本人は「すみません」をコミュニケーションの潤滑油として頻繁に使いますが、イギリス人からすると「そんなに謝る必要ある?」と思うことも。イギリスでも礼儀正しさは重視されますが、謝罪は本当に必要な時にするもので、過度な謝罪はかえって相手を不快にさせることもあります。

「沈黙への態度」も違います。日本では会話の間に沈黙があっても自然ですが、イギリスでは沈黙を埋めようとする傾向があります。特に初対面の場では「気まずい沈黙」を避けるために、天気や時事ネタなどの話題を次々と振ることがあります。日本人が静かにしていると「何か問題があるのかな?」と心配されることも。

「飲み会の文化」の違いも大きいですね。イギリスにも「パブ文化」はありますが、日本の「飲み会」とは異なります。例えば、イギリスでは上司と部下が一緒に飲んでも、各自が自分の分を支払うのが普通です。また、お酒を飲まない選択も完全に尊重されますし、「一気飲み」のような習慣もありません。代わりに「ラウンド」という、グループ内で順番に全員分の飲み物を買う習慣があります。

「プライベートと仕事の区別」の明確さも特徴的です。イギリスでは仕事とプライベートの境界が比較的はっきりしていて、定時後や週末に仕事の連絡をすることは基本的に避けられます。日本のように仕事のLINEグループで休日に連絡を取り合うことは少なく、この点は日本に住むイギリス人が適応に苦労することもあります。

 

 

③ 知っておきたいイギリスの文化(プレゼント)

―イギリスでは、友人・家族にどんなプレゼントをあげる?

イギリスのプレゼント文化は「実用性」と「個人の趣味」を重視する傾向があります。例えば、ホームウェアやキッチン用品、ガーデニンググッズなど、相手の日常生活で使えるものが喜ばれます。特に「家」はイギリス人にとって重要な価値を持つので、新しい家に引っ越した人には観葉植物やインテリア小物などをプレゼントすることが多いです。

「エクスペリエンスギフト」も最近人気です。モノではなく「体験」をプレゼントするもので、コンサートのチケットやレストランのディナー券、アフタヌーンティー体験など、思い出になるような体験を贈ります。特に若い世代では「モノを増やさない」という環境への意識もあり、こうした体験型のギフトが好まれています。

「季節や機会に合わせたギフト」も一般的です。クリスマスには比較的価値のあるプレゼントを交換しますが、誕生日には相手の趣味や好みに合わせた個人的なギフトを選びます。「Secret Santa(シークレットサンタ)」という、グループ内でランダムに担当者を決めて予算内でプレゼントを贈り合う習慣もあり、職場や友人グループでよく行われています。

イギリスでは「プレゼントの開け方」にも独特のマナーがあります。贈り物をもらったらその場ですぐに開けて、感謝の気持ちを表すのが基本です。日本のように「お持ち帰りして後で開ける」という習慣はなく、プレゼントを渡されたら中身を確認し、喜びや感謝の反応を示すことが期待されています。これは贈り主の選んだプレゼントへの敬意を表す行為と考えられています。

―クリスマスや誕生日の他に、プレゼントを贈る機会ってある?

「イースター(復活祭)」はプレゼント交換の機会の一つです。特に子供たちにはチョコレートの卵やウサギの形をしたお菓子をプレゼントします。家族や友人にも小さなイースターエッグや春をテーマにした小物を贈ることがあります。宗教的な意味合いよりも、春の訪れを祝う行事として楽しまれています。

「ファーザーズデー」と「マザーズデー」も大切にされています。特にマザーズデーはイギリスでは3月第4日曜日(イースター前の日曜日)と、アメリカなどとは異なる日程で祝われます。母親や父親には感謝の気持ちを込めたカードやプレゼントを贈り、多くの家族が一緒に食事をする機会になっています。花束や手作りのギフト、「#1 Dad」「World’s Best Mum」と書かれたマグカップなどが定番です。

「ハウスウォーミング」(新居祝い)もプレゼントを贈る重要な機会です。イギリス人にとって「家」は大きな価値があり、新しい家に引っ越した人にはプレゼントを持って訪問するのが一般的です。観葉植物、ワインやシャンパン、素敵なティータオルやキッチン用品などが定番で、その家に長く残るようなものを選ぶことが多いです。

「ハンドメイドギフト」の文化も根強く残っています。特に子供からの親へのプレゼントや、予算が限られている学生同士のプレゼントでは、手作りのカードやクッキー、編み物や手芸品などが喜ばれます。最近では「クラフトビール」「手作りジャム」「自家製ジン」など、食べ物や飲み物を手作りしてプレゼントする傾向も高まっています。

「チャリティギフト」も特徴的です。これは贈り物の代わりに受け取る人の名前で慈善団体に寄付をするもので、環境保護や動物愛護など相手の関心に合わせた団体を選ぶことが多いです。「Oxfam Unwrapped」のような寄付プログラムでは、発展途上国の家族に代わりにヤギや鶏などの家畜を贈ることもでき、物質的なものよりも意味のあるギフトとして人気があります。

④ 知っておきたいイギリスの文化(食文化)

―イギリスで、お袋の味と言えば?

「サンデーローストディナー」は多くのイギリス人にとっての「お袋の味」です。日曜日の昼食に家族で集まり、ローストした肉(ビーフ、チキン、ポークなど)、ローストポテト、ヨークシャープディング(小麦粉と卵と牛乳で作るパン状のもの)、様々な野菜、グレービーソースを食べる伝統的な食事です。各家庭で秘伝のレシピやコツがあり、「母のヨークシャープディングは特別だった」といった思い出を持つ人が多いです。

「シェパーズパイ」(ひき肉と野菜の煮込みにマッシュポテトをのせて焼いたもの)も定番の家庭料理です。シンプルながらも、各家庭で使うハーブやスパイス、ソースの配合が異なり、それぞれの「お母さんの味」があります。経済的でボリュームがあるため、大家族の食事としても重宝されてきました。

「トゥードインザホール」(ソーセージを入れたヨークシャープディング)も伝統的な家庭料理の一つです。シンプルな材料で作られるこの料理は、特に寒い季節に体が温まる「懐かしの味」として愛されています。オニオングレービーを添えるのが一般的で、各家庭でソーセージの種類や焼き方に違いがあります。

「スティッキートフィープディング」(デーツ入りの蒸しプディング)などの伝統的なデザートも「お袋の味」として親しまれています。特に冬の寒い季節に、温かいカスタードソースをかけて食べるこのデザートは、多くのイギリス人の幼少期の思い出に結びついています。

地域によっても「お袋の味」は異なります。北部では「ホットポット」(ラム肉と野菜の煮込み)、コーンウォールでは「パスティ」(肉と野菜を包んだパイ)、スコットランドでは「ハギス」(羊の内臓とオーツ麦などを詰めた料理)が地元の家庭料理として受け継がれています。

―イギリスで、記念日に食べる食事はある?

「クリスマスディナー」はイギリスの食文化の中でも最も重要な伝統です。七面鳥のローストがメインで、ローストポテト、ブリュッセルスプラウト(芽キャベツ)、ニンジン、パースニップ(西洋ニンジン)など様々な野菜の付け合わせと、グレービーソース、ブレッドソース、クランベリーソースなどを一緒に食べます。デザートには「クリスマスプディング」(ドライフルーツ入りの蒸しプディング)や「ミンスパイ」(スパイスとドライフルーツ入りの小さなパイ)が定番です。また、この時期には「クリスマスケーキ」(フルーツケーキにマジパンとアイシングをかけたもの)も欠かせません。

「イースター(復活祭)」には特別な食事の伝統があります。「ホットクロスバン」(十字架の模様が入った甘いパン)を食べるのが一般的で、イースターの日曜日には家族でローストラム(子羊のロースト)を楽しむことが多いです。また、チョコレートのイースターエッグを子供たちに贈る習慣もあります。

「パンケーキデー」(四旬節の前の火曜日)には薄いクレープ状のパンケーキを食べる伝統があります。レモン汁と砂糖をかけて食べるのが最も基本的な食べ方ですが、チョコレートソースやゴールデンシロップなど様々なトッピングで楽しむ家庭も増えています。この日は本来、四旬節(復活祭前の40日間の節制期間)に入る前に卵や砂糖などの食材を使い切るという宗教的な背景がありますが、現在では宗教を問わず多くのイギリス人に親しまれています。

「ガイ・フォークス・ナイト」(11月5日)には、焚き火の周りで「ジャケットポテト」(皮ごと焼いたじゃがいも)や「キャラメルアップル」(りんごにキャラメルをコーティングしたお菓子)、「パーキン」(生姜の効いたケーキ)などを食べる習慣があります。この日は1605年の国会議事堂爆破計画の失敗を記念する日で、全国で花火や焚き火のイベントが開催されます。

「バーンズナイト」(1月25日)はスコットランドの詩人ロバート・バーンズを称える日で、この日には「ハギス」(羊の内臓とオーツ麦などを詰めた料理)と「ニップスアンドタティーズ」(カブとジャガイモのピューレ)を食べながら、バーンズの詩を朗読する伝統があります。スコットランドではこの日を家族や友人と集まって祝うことが多いです。

⑤ 知っておきたいイギリスの文化(その他)

―イギリスで人気のエンターテイメントって何?

「パブクイズ」はイギリスを代表する社交イベントです。多くのパブで週に一度、様々なトピックに関するクイズ大会を開催しています。友人や同僚とチームを組んで参加し、優勝するとドリンク券や軽食など賞品がもらえることも。単なるクイズというよりも、コミュニティの交流の場として重要な役割を果たしていて、地元の常連だけでなく観光客も気軽に参加できるのが魅力です。

「フェスティバル文化」も非常に盛んです。特に夏は全国各地で音楽、アート、食、文学などをテーマにしたフェスティバルが開催されます。「グラストンベリー・フェスティバル」は世界的に有名な音楽祭で、毎年チケットは発売後すぐに売り切れます。地方の小さなフェスティバルも数多くあり、地域のコミュニティを活性化する役割も担っています。雨が降ってもテントで寝泊まりし、泥だらけになりながらも楽しむイギリス人の姿勢は有名です。

「ウェスト・エンドのミュージカル」もロンドンを中心に人気のエンターテイメントです。「レ・ミゼラブル」「ライオンキング」「マンマ・ミーア」など長年上演されている人気作から、新しい作品まで幅広く楽しめます。特別な日の外出プランとして、ディナーとショーを組み合わせた「ディナー&シアター」パッケージを利用する人も多いです。地方都市でも巡回公演やローカルの劇場で質の高い演劇が楽しめます。

「スポーツ観戦」も国民的な娯楽です。特にサッカー(フットボール)は熱狂的なファンが多く、プレミアリーグの試合日にはパブは応援で賑わいます。クリケットやラグビー、テニスなども人気で、ウィンブルドン選手権のような伝統的なスポーツイベントは社会的な行事としての側面も持ちます。スポーツの種類によって観客層や観戦スタイルが異なるのも特徴的です。

「アフタヌーンティー」は特別な日の贅沢な楽しみとして人気です。高級ホテルやティールームでスコーン、サンドイッチ、ケーキなどを優雅に楽しむ文化で、誕生日や記念日のお祝いとして親しまれています。また、「カントリーハウス」(歴史的な邸宅)を訪れることも人気のレジャーで、美しい庭園や歴史的な建物を見学し、敷地内のカフェで一休みするのが定番コースです。

―イギリス人に人気の観光地って、外国人があまり行かないような場所はある?

「コッツウォルズ」は蜂蜜色の石造りの家々が並ぶ美しい村々が点在する地域で、イギリス人に大人気の休暇先です。特に「バイブリー」「ボートン・オン・ザ・ウォーター」「チッピング・カムデン」などの村は絵葉書のような景観で知られています。ロンドンから日帰り圏内ですが、一泊して朝夕の静かな時間を過ごすのがおすすめです。近年は外国人観光客も増えていますが、まだ穴場的な村も多く残っています。

「ノーフォーク・ブロード」はイースト・アングリア地方の運河や湖が広がる地域で、ボートでの休暇が楽しめる場所です。イギリス人家族が一週間ほどボートを借りて水上生活を楽しむのが定番で、野鳥観察や釣り、水辺のパブでの食事など自然を満喫できます。外国人観光客にはあまり知られていませんが、英国の田園風景を楽しむのに最適の場所です。

「ノーサンバーランド」はイングランド最北部の地域で、広大な国立公園、美しい海岸線、中世の城など見どころが満載です。特に「ホーリー島(リンディスファーン)」は干潮時にのみ陸続きになる神秘的な島で、古代修道院の遺跡や野生動物が見られる特別な場所です。イギリス人は静かなビーチや歴史的な雰囲気を求めてこの地域を訪れますが、海外からの観光客は比較的少ないです。

「ウェールズの海岸線」、特に「ペンブロークシャー・コースト国立公園」は息をのむような断崖絶壁と美しいビーチが続く地域です。サーフィンやコースタルウォーキング(海岸線沿いのハイキング)が人気で、「テンビー」や「セント・デイビッズ」などの小さな町も魅力的です。天候に恵まれればカリブ海のような青い海と白い砂浜も楽しめる、イギリス人のバケーション先として人気の場所です。

「スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島」は最も美しい景観を持つ地域の一つとされています。特に「ルイス島」や「ハリス島」には真っ白な砂浜と透明度の高いターコイズブルーの海が広がり、まるで熱帯の島のような景観が楽しめます。アクセスが比較的難しいため、多くのイギリス人も人生で一度は行ってみたい「憧れの地」としているほどの秘境です。

―イギリス人に人気のレストランってどんな感じ?外国人があまり行かないところだと?

「ガストロパブ」はイギリス人に最も愛されている食事スポットの一つです。従来のパブの雰囲気を保ちながら、質の高い食事を提供する業態で、地元の食材を使った創作料理や季節のメニューが特徴です。特に「サンデーローストディナー」を提供するパブは、週末に家族連れで賑わいます。都市部の観光客向けパブとは異なり、住宅街や田舎の村にある地元客向けのパブは、本物のイギリス料理と地元の雰囲気が楽しめる穴場スポットです。

「フィッシュ・アンド・チップス・ショップ」も外国人があまり行かない地元の人気店です。観光地のものは割高でボリュームも控えめなことが多いですが、地元の人が通う店は値段も手頃で量も多いのが特徴。特に海沿いの町にある店では、その日に獲れた新鮮な魚を使っていることもあります。イギリス人は「自分の街で一番のチップショップ」について熱く語ることができるほど、地元愛と結びついた食文化です。

「グリークス・カフェ」(Greek’s Cafe)と呼ばれる、イギリス風カフェも面白い文化です。名前は「ギリシャ」ですが、実際にはイタリア系やキプロス系の移民が経営していることが多く、イングリッシュブレックファストやサンドイッチなどイギリス的なメニューとエスプレッソなど南欧の影響を受けたドリンクを提供する庶民的な食堂です。地元の労働者や高齢者に人気で、リーズナブルな価格と気取らない雰囲気が魅力です。

「パイ・アンド・マッシュ」のショップはロンドンの伝統的な食文化で、特に東ロンドンでは今でも人気があります。ミンチ肉のパイにマッシュポテト、「リクア」(パセリソース)を添えた素朴な料理ですが、地元の人々にとっては「ソウルフード」とも言える存在です。観光客向けではないため、外国人はなかなか訪れませんが、イギリスの庶民的な食文化を体験するには最適の場所です。

「カレーハウス」もイギリス独自の食文化として欠かせません。特にブリックレーン(ロンドン)やカリーマイル(バーミンガム)など、南アジア系コミュニティが集まる地域には本格的なインド料理やパキスタン料理、バングラデシュ料理のレストランが軒を連ねています。「チキン・ティッカ・マサラ」や「バルティ」といったイギリス生まれのカレーは、今や国民食とも言える存在です。イギリス人は週末になると友人とカレーを食べに行く「カレーナイト」の習慣を持つ人も多いです。

まとめ

イギリスの文化を知ることで、表面的な「紅茶と女王」のイメージを超えた、多様で奥深い国の実態に触れることができます。「控えめな表現」や「自己卑下のユーモア」といったコミュニケーションスタイル、「プライバシーの尊重」と「個人の自由」を重んじる価値観、そして「伝統を守りながらも革新を取り入れる」柔軟性は、現代のイギリス文化を特徴づけています。

特に、多様な文化的背景を持つ人々が共存するイギリス社会では、異なる習慣や価値観を尊重する姿勢が育まれてきました。パブでの交流、サンデーローストディナーを囲む家族の時間、季節ごとのお祭りや行事など、コミュニティとのつながりを大切にする一方で、個人のプライバシーや自己決定権も重視される、バランスの取れた社会と言えるでしょう。

イギリスへの留学や長期滞在、移住を考えている方は、こうした文化的な背景を理解しておくことで、より充実した経験ができるはずです。また、短期の旅行者も、有名な観光地だけでなく、地元の人々に愛されるパブや市場、自然公園などを訪れることで、より深くイギリスの魅力を発見することができるでしょう。

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